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棚の本:史上最強の哲学入門

哲学者31人の格闘技大会の本です。

くまとら便り

本書には、刃牙の成分が注入されているそうです。
なぜだか分かりませんが、第1ラウンドから第4ラウンドまで、哲学者たちが闘っていきます。それが面白い。
そして分かりやすい。

例えば、第1ラウンドでは、プロタゴラスが『人それぞれだよね』という相対主義を繰り出して、これに対して、ソクラテスが政治家たちを質問攻めにして絶対的な真理を追究しようとし、次にデカルトが・・・というように、哲学が歴史的にどう進化していったのかが、格闘技の形で語られます。
第1ラウンドだけで、現代哲学の限界まで知ることができます。

第1ラウンドが真理、第2ラウンドは国家、第3ラウンドは神、第4ラウンドは存在についての闘いとなっています。

哲学者ごとに得意技が書かれており、格闘ゲームのキャラクターと逸話の解説書のようです。
哲学書を読んだことがなくても、というか、読んだことのない人こそ、楽しめるはず。

個人的には、ルソーの尻出し事件が衝撃的でした(哲学関係ない…)。
哲学との関連では、ギリシャ哲学で、誰と誰が師匠と弟子の関係なのか分かるようになりました(高校で習ったかもしれませんが、記憶なし)。サルトルと共産主義運動の関連、レヴィ=ストロースとの仲違い(50、60年代は文字どおり激動の時代だったのですね。)、国家と経済をめぐるアダム・スミスとマルクスの思想対決、キリストとユダヤ教なども、イメージしやすく面白かったです。
時代の変わり目には、人々の熱い支持を受ける哲学者が必ず出るんですね。

audible版では、声優の白井悠介さんが、男たちの熱き闘いを声で再現されています。哲学者の入場シーンは、格闘技会場に来たかのような臨場感です。
こちらもおすすめ。
そしておそらく、紙の本も手元に置きたくなるかと。
毎日哲学者を1人ずつ聴くと、1か月で全員を聴ける計算になりますよ。



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