マウスピース

マウスピース(マウスガード)を使うように生徒たちには指導しているんだけど決して使おうとしない人もいるわけで、人間には愚かなことをする権利があるのとまったくおなじ理由でノーマウスピース柔術を止めることはない。うんこを食べる姿をインターネットに掲載したい趣味のひとを止める理由がないのと全く同じ理由でノーマウスピース族を止める理由がない。

白帯の人とかにはスパーリングの最中に「マウスピースしてますか?」って聞いてからサブミッションをとりにいくことがある。これはつまり、その人がマウスピースをするまではまともにスパーリングをしてあげられないよごめんね、という意味にもなるのだけど別にそこまで口に出す必要もない。紫帯とか茶帯のノーマウスピース族には、まあいいやよいしょとそのまま無言でアタックにいく。

声のデカさがすべてを解決する、とはトライフォース志木のインストラクターたち全員に徹底している格言であり、私はテクニック指導のときはさすがに声量や快活さを優先してマウスピースをしないけれど、自分個人の練習を池袋とかでやるときは練習開始前からマウスピースをしている。池袋でテクニック説明の受け手をつとめるときとか、リアルな実演を生徒たちに示したいとの情熱に突き動かされた先生が結構リアルなチョークをすることとかもあり、マウスピースは途中でタップしてはならぬという使命感を支えてくれる。マウスピースは本気の顕現でもある。ちなみに今日、マウスピースを新たに2つ作って受け取ってきました。うれしい。新品はいつでもうれしい。

虫歯になりたくない、歯を欠損したくない、歯医者が怖い、歯のダメージを最小限にしたいといったモチベーションで、私は口に何かを入れたらそのあとすぐに歯を磨くし、寝るときもマウスピースするし、柔術のときなどなおさらマウスピースをする。
健康でいたいことに神経質になるとき、お金がなくなったら怖い、人間関係が悪化したら怖い、のとまったく同一の身体反応を感じるのでたぶん病的に固執するとうつとかを招きかねず、いいことではないがとりあえず周りに迷惑だけはかけないように生きる。そしてどうしても健康でいたいなら柔術をやめて寝たきり生活をおくってぽっちゃりとしたぽちゃぽちゃポチャッコ人生を歩めばいいのだが、その意味で、私にも愚行する権利はある。

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