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【日記】余韻/2023年1月6日(金)

※写真=ようやく作った「お雑煮もどき」。具なし、餅のみ。汁はほんだし、醤油、料理酒を適当な分量入れたもの。おふくろの偉大さをしみじみと感じる。

 朝風呂に入って頭を冷やす。といきたいところだったが、43℃設定の湯船はことのほか心地よく、頭までふやけてしまった。ふやけた頭で原稿の構成を考える。何となくだが方向性は固まった。

 エディオンアリーナ大阪で開催される『3150FIGHT』は、13:30前座開始。重岡銀次朗の世界初挑戦まで「5時間30分」の表示。なかなかタフな興行だ。
 別立ての批評3試合を除き、注目していた3試合の寸評を。
花田歩夢(神拳阪神)のチャレンジマッチは、1階級下の世界ランカー、アサエル・ビジャル(パナマ)戦。花田は足取りが重たいのか、ビジャルのゆったりとしたリズムに敢えて合わせにいっていたのか。序盤はビジャルのインサイドから放つ左フック、アッパーを食らっていた。得意の左ボディブローを決めたいのは明らかだったが、その間合いを外される。4ラウンドにギアを上げてダウンを2度奪ったものの、連打で打ち疲れ、次の回はジャブを打ちながら休んだ。
 この日の花田のブローはシャープさを欠き、強打を意識してか、遠回りした軌道が目立つ。ビジャルはその中を捉える巧さを持っていて、クリーンヒットでは上回られていた印象だった。が、7ラウンド、右足左足と小さく引いてビジャルをおびき寄せ、一転してワンツーを繰り出して効かせると、追撃の右をヒットさせてレフェリーストップに持ち込んだ。
 見事な駆け引きを披露した花田だが、もしもウェイト調整が厳しいのならば、階級を上げて足運びのスムーズさ、シャープさを取り戻してほしい。
 奈良井翼(RK蒲田)対一道宏(T&T)は、距離の深い一道に、奈良井がストレートボディを差して上手くコントロール。防御意識を強く持ちながら、右クロスを決めて一道の左目にアクシデントを起こさせた。
 目の不調は明らかだったが、レフェリーはとうとう1度もドクターチェックを促さなかった。ここは診断を仰ぐべきだったろう。
 目をつぶり、左グローブでその目を隠しながら一道も右一撃に賭けた。だが、奈良井は丁寧に距離をコントロールしていった。5ラウンドにはスリップしたと同時に右をかすめられてダウン宣告されたが、内容はフルマークの完勝だった。
 長身の中川麦茶(一力)対山下賢哉(JB SPORTS)は一方的な展開に。中川の右に左フック合わせを狙い、さらには跳びながら打つ左フックに賭けた山下だったが、中川は得意の左ジャブをビシビシと決めてペースを握り、3ラウンドに右アッパーからの連打で倒し、右を打つと同時に右足前からの左を次々に決めて山下を追い込んだ。
 山下の目を眩ませる、目隠しの左も多用。最後は左ダブルでタイミングを計り、もう1度左ダブルから右アッパーへと繋ぎ、山下を大の字にした。
 山下はボディブローからの崩しを入れたかっただろうが、中川の打ち下ろしやアッパーがそれをさせなかったのだろう。中川のように間断なくではないが、山下は左ジャブに独特のタイミングを持つ。中川も、これに少し戸惑いを見せただけに有効利用したかったが、中川がその余裕を削り取ってしまった。

 全10試合+エキシビションひとつ。ハーフタイムショーと題したミュージシャンのライブも挟まり、メインが終了したのは20:30過ぎ。トータル7時間という大ボリュームだ。
 その中でも個人的に注目していたカードは6試合。それでも集中して見られる限度を超えている。さらに、ボクシング観戦でもっとも大事な“余韻”。このボリュームでは、それに浸ることができない。今日だけでなく、後日まで持っていきたい余韻だ。
 他でも好カードをてんこ盛りする興行がたくさんある。試合をたくさん入れることで、チケット購入や視聴数を増やしたいという意図があることは重々承知している。だが、それらと同じくらい、ボクシングには「終わった後の余韻を堪能する」という大切な行いが存在する。これをないがしろにしてしまうと、試合をただただ消化・消費しているようになってしまう。
 余韻を堪能させるということは、その選手への想いを増幅させ、次回以降のチケット購入にもつながると常々考えてきた。実際に、かつての自分がそうだったから。

 関東のリングも同様だが、リングアナウンサーが勝利者インタビューをすることに「?」を抱いている。たしかに詳しいのかもしれない。でも、リングアナはJBC(日本ボクシングコミッション)所属というかたちを取っているはず。いわば中立の立場にあるはずの者が、「今日の出来は素晴らしかったですね」とか「見事なKO勝利でした!」と呼びかけるのは、違和感しか残らない。インタビュアーは中継のアナウンサー、もしくは解説者が、テレビ放送&ネット配信がない場合は、プロモーターが用意すべきだと思う。

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