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【日記】名古屋観戦記/2023年1月28日(土)

 寂しいなんてもんじゃない懐事情を振り切って、名古屋へと向かった。もちろんお目当ては国際会議場である。

「ボクシング記者」なんて名乗っているくせに、これが今年初の現場(試合会場)取材となる。“地の不利”が大きく、かかる交通費が半端ないというのが最大の理由。あとは(無所属)ということで、こんな私でも多少遠慮しているという面もある。だが、先週の矢吹正道直々の気遣い(ラストスパーリングへの声掛け)もあって、どうしても生の目で見ておかねばならないと思ったのだ。

 レフェリーがピンマイクをつけているのは、JBC(日本ボクシングコミッション)の試みだろうか、それともABEMAの要望か。いずれにしてもこれはとてもよい。「どんな注意を与えているのか」、「選手へどんな声掛けをしているのか」が、マイクを通して場内に流れるので一聴瞭然なのだ。
 昨年、レフェリーが注意しているのかどうか、不明瞭な試合がかなりあった。観客どころか選手にも伝わっていないような場面も見受けられた。これについての対策なのだろう。ぜひ、全国どこの会場、興行でも取り入れてほしい。

 2試合目のミニマム級8回戦は、諸岡直樹(セレス)が丁野拓海(中日)を判定で破ったが、諸岡サイド(青コーナー)寄りの記者席に座っていたため、セコンドの指示がよく聞こえ、その的確さ、統一感に感銘を受けた。特に岩佐亮佑のものがやはり優れており、絶妙なタイミングでひと言が放たれる。
 身長で劣る諸岡が丁野を引きつけてアウトボックス、というベースが築かれた(いわゆる“定石”を破り、選手の特性を生かした素晴らしい戦い方)ものの、手数が極端に減れば、「もう少し出していこう!」。丁野のプレスを捌ききれなくなりかけたときは、「中に入って打とう!」。
 展開と印象点、雰囲気を察知し、ペースを奪い返しかけていた丁野の先読みをする。事故が起きてしまう可能性を、未然に摘み取っていったのだ。
 もちろん、それに反応した諸岡の冷静さも評価したい。左腕の上下動からのジャブ、完全にだらりと下げた状態からのフリッカージャブと、この使い分けも工夫も素晴らしかった。この勝利で五分の戦績(7勝3KO7敗)に持ち込んだわけだが、そんな戦績の選手には到底見えなかった。
 敗れた丁野は右クロス、左フックをしっかりと打てる好選手。そこに持ち込むための過程を丁寧に作れるようになれば、上位進出も期待できる。

 セミ扱いとなった58.0kg契約6回戦は、山内翔貴(本田フィットネス)が移籍初戦の飯見嵐(緑)を3回TKO。開始早々からジャブ、ワンツーでリズムを握った山内は、右フック、左ジャブで再三効かせて圧勝。飯見はリカバリーミスなのか体が重そうで、ほぼ何もできないまま終わってしまった。
「山内はスーパーフライ級で試合をしていたこともあるんですよ。クラスを上げて3連勝です」と隣のやすおかだいごくん。身長も高く、しっかりとした体の山内だけに、「スーパーフライは無謀だね」と呟いてしまった。

 前座3試合、地元・名古屋の選手が負けてしまうという最悪の雰囲気の中、“真打ち”は別記事に書いた(有料でごめんなさい)とおりの完勝。
「打ち下ろしで頭を殴ってしまい、試合終盤は右も痛めていた」そうだが、そんなことは露とも感じさせない決め方をしてみせた。

谷口、山本さん、実況の西達彦さん。
ちゃっかり目線を貰ったものも撮ったのですが、
目を瞑っている方がいたので…(誰かは言いません)

 ABEMAの解説は谷口将隆、そしてゲストは女優の山本千尋さん(なんでも武術の世界ジュニア選手権金メダリストという凄い経歴の持ち主)。私も昨年1年間、堪能させていただいた『鎌倉殿の13人』で、暗殺者トウを演じた方だ。それ以前にも、木村拓哉、満島ひかりが主演したドラマでボクサー役を演じたそう(ごめん。観てない)。その関係でジムに通い詰め、実際にプロライセンスも取得してしまったとか。
 大好評の谷口の解説、そして関係者に聞いたところ、山本さんのコメントも素晴らしかったとのこと。これは後日、ABEMAでぜひ確認したい。
 三重テレビの解説は五十嵐俊幸。前回の矢吹の試合でも解説を務め、こちらも大変好評だったよう。五十嵐くんの解説も、いつか拝聴してみたいなぁ。

「え? なんで撮るんですか?」と試合後の矢吹。
「noteの日記に使うからです!」

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