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【雑談】7月読んだ本/恋愛小説になぜはまったのか

こんにちは、8月になりましたね。最近になってようやくこちらでは、雨が降るようになりました。雨って、焚火の爆ぜる音に似ていて、なんだか耳と頭に心地よく響くのですよね。雨の独特の匂いが部屋にしのびこむのも、なんかしんみりしていい。

という前置き。先月(7月)読んだ本を紹介します。

・「アンナ・カレーニナ(中・下)」トルストイ 木村浩/訳(新潮社)
・「失敗の科学」マシュー・サイド 有枝 春/訳(ディスカバー・トゥエンティワン)
・「幽霊」イーディス・ウォートン 薗田美和子、山田晴子/訳(作品社)
・「ヒトの発達の謎を解く」明和 政子(筑摩書房)

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計5冊(うち3冊文学作品)といったところですね。


・アンナ・カレーニナ


「アンナ・カレーニナ」をついに読み終えました……! ものすごく濃厚だったので、あとで記事に起こせたらいいなと思います。じつは学生の頃にさらさらと読んでいて、あまりピンとこなかったのですが、もういい大人になったところで再読したら「女の描き方」が濃かったですね……。男性が女性を(あるいは女性が男性を)書くのって、通常なら違和感を覚えるものなのですが、トルストイは容赦なく女性の心理を描写するので、その観察力および集中力で「わかる……(わかって痛い)」と感じました。つまり、納得しました。

ひとつ「女の描き方の濃さ」挙げるとするなら、主人公が交際相手に質問攻撃をするところですね。主人公アンナは交際相手(不倫相手なのですが)をじつは、信じられておらず、ちゃんと自分を愛してくれているのか、他に女の人を見ているのでは……? という疑念を持っています。ですが、アンナは賢さゆえに、ストレートに訊かないんですよ。遠まわしに質問に質問を重ねて(でも明らかに相手を信じていないことがわかる)、交際相手がうとましいなあ、と感じるわけですよ……、このねちっこいやり方、やんわり聞いているけど、根底にどろどろとしたものがあり、それを抑えている感じ。女って感じがしましたね……。

(でもそれをしたら、男性のおおかたは嫌がる。ここが痛い

こういう細部やエピソードが積もり積もって、本当の(女性の)幸福とは何か、結婚と恋愛の違いは何か――を考えさせられるわけです。最終的には裏の主人公(男性貴族です、トルストイ自身を投影していると思います)の、信仰に対する確信で終わるわけなのですが。

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・幽霊:イーディス・ウォートン


「幽霊」のイーディス・ウォートンは初読。彼女はアメリカの作家です。Wikipediaで調べたら、裕福な家庭で生まれてデザイナーでもあるようですね。物語のジャンルは、ホラーです。屋敷にまつわる、幽霊を題材にした、どちらかというと大衆向けというよりは文学寄りの作風だと感じました。ホラーは、日本の作品のほうが設定がしっかりして(というあいまいな表現)奇抜さがあるので、それと同様のスリルや恐怖を期待したらがっかりするかも。わたしはウォートンの文章がとてもきれいだし、深読みしたくなるラスト(あえて書かないってやつですね)もいいな、と感じました。庭園の描写がとてもいいんですよ。わたしは描写が苦手なのですが、巧い書き手は人物と風景、心理描写を連動して書くので、映像的に動いて見えるのですよね。この技術は、なかなか難しいです。できるようになりたい。

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・(雑談)過去にはまった恋愛小説について思うこと

とつぜんですが、恋愛小説好きでしょうか? わたしが好きだからこの雑談テーマを選んだのですが笑

20歳くらいから読書をし始めて(文学少女ではありませんでした)、小説を読みたいと思った動機のひとつは恋愛ものの物語が読みたいから、という俗っぽいものだったのですよね。もちろん、ミステリも好きでしたが。

恋愛小説といっても、多岐にわたり……。村上春樹の性描写がちがちのものから、夏目漱石の「心」や「それから」「門」(恋愛小説にカウントしていいものか)、島本理生や江國香織、川上弘美など、いろいろ巡っていました。

とくに江國香織や川上弘美に、彼女たちの描く恋愛小説はまったわけですが、なぜだろうと考え巡らすと男性の描き方が好きだったからなのかな、と彼女たちの作品から離れた今、思うわけです。もちろん、文章の雰囲気にも惹かれたわけではありますが。いちばん大きかったのは、自分の理想としている(近くにいたらいいなというキモい願望)男性像に近かったからなのかも、と。

江國香織と川上弘美の描く男性像を、あえて解像度を粗くして述べると「男性が男性らしい言葉を使わない」というところですね。おぼろげな記憶から言うと、ガテン系、マッチョ系、ヤンキー系はあまりいなかったと思います。「おいお前!~~だぜ!」みたいに言うキャラがあんまりいないわけですよ。優しい言葉を使うんですよ、ほとんど。

これが何を指しているのかというと。少女漫画で描かれる男性像に近いわけです。少女漫画を読み慣れている者(わたし)からすれば、憧れやすいし、好意を持ちやすいわけですね。

さらにいえば、そういう優しい男性像がわりとリアルというところ。読めばわかると思うのですが(と説明を省略する)、人物造形が真実味があるわけですよ。それははまるよね。人物に真実味があるなら主人公に感情移入すれば、疑似的に恋愛感情を持つわけだから。

あまり恋愛経験はないわたしですが、恋愛小説を読みながらいろいろ学べたのかな、と思います。(こう言うと切ないね……
恋愛小説がとくに人物の心理的な葛藤が浮かびやすいと思うため、です。

だからおもしろいよ、恋愛小説。最高。
なんの結びなのやら。






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