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hana_8787_
億の眼
ひどく青ざめた夕暮れ 黒い蝶が飛んでいく
街にひとはおらず にもかかわらず 億の眼に見つめられている
足先に踏みにじられたケシの花 誰にも摘まれることもなく 踏まれ 雨に打たれ それでも花を増やす
歩道に煙草の灰を落とす 億の眼がささやきだす
僕は背後を振り向く 電柱の影が揺れ 工場の煙が赤く染まり 億の眼がささやきだす
億の眼は僕を裁きだす 神でも法でもない億の眼に僕は裁かれる
煙草を落とし ケシの花もろとも 靴底で擦りつけ 唾を吐く
億の眼の声が街に響き渡り 青ざめた空に舞う蝶は烏に 烏は鷲に変わり
僕にめがけて飛んでくる
何も持たない僕には 身体を守る盾もなく
裁きを受けよ 過ちを認めよ 億の眼は厳格に正邪を判じる
僕の身と心を滅ぼして
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