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2021年8月の記事一覧

億の眼

億の眼

ひどく青ざめた夕暮れ 黒い蝶が飛んでいく
街にひとはおらず にもかかわらず 億の眼に見つめられている
足先に踏みにじられたケシの花 誰にも摘まれることもなく 踏まれ 雨に打たれ それでも花を増やす
歩道に煙草の灰を落とす 億の眼がささやきだす
僕は背後を振り向く 電柱の影が揺れ 工場の煙が赤く染まり 億の眼がささやきだす
億の眼は僕を裁きだす 神でも法でもない億の眼に僕は裁かれる
煙草を落とし ケ

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