ドラッカーとマッキンゼーと経営コンサルティング
それにしても、自分の本棚から本を探すのがいかに大変な作業か、思い知らされている。どっかで2日3日かけて、綺麗に本棚を整理したいところ。
は、ともかく、今日のタイトルは何かしら、部屋とTシャツと私を匂わせていますが、よく考えると、単に3つの名刺を「と」で繋いでいるだけです。いかに構造がオリジナルだとインパクトがあるかがわかりますね。
昨日、ある勉強会で、ドラッカーがかつて日経新聞に連載していた「私の履歴書」が単行本になっているという話が出て、あ、そういえば持っていたな、と引っ張り出してきた。
この本の中で、ドラッカーがいわゆる「経営コンサルタント」について、下記のように述べています。
ちなみに、この話をマッキンゼー側はどう受け取っているのか、という話なんですが、2冊に当たってみました。
1冊目は、マッキンゼーの中興の祖、マービン・バウワーの生涯に焦点を当てた『マッキンゼーをつくった男 マービン・バウワー』。この本には、こう書かれています。
ドラッカーのことなんて、完全スルーw
もう一冊は、マッキンゼーの暴露本なのか紹介本なのか、その名もずばり『マッキンゼー』という書籍。こちらも見ましたが、「経営コンサルティング」という名称についての話は一切、ない。
ただ、思うことは、バウワーも、実はものすごく「経営コンサルティング」という仕事とその倫理観のようなところには、とても尽力されていて、自分の名前よりは創業者の名前を残すとか、とっても、いい人っぽい。ドラッカーも別に「それ、俺が考えたんじゃーい」と声高に主張するキャラクターでも、もともとない。
こういう彼らのスタンスそのものに、彼らが「経営コンサルティング」という言葉に込めた思いが、そこはかとなく伝わってくるのではないかな、と思うのです。
もうひとつ。
いや、これ、すごいw
自分自身、過去に出会ってきた(自称)コンサルタントさんを思い出して、この言葉以上に、まともなコンサルかどうかを見抜く方法はないんじゃないかと思いましたよ。
ちなみに、日本でどこまで普及しているのかわからないですが、「経営コンサルティング」に関しては、ILO(国際労働事務局)がまさに『経営コンサルティング』という書籍を出していまして、こんな風に定義が書かれています。(最新版ではないかもなので、変わっているかもですが。)
2つあります。(太文字は筆者)
もうひとつ。(太文字は筆者)
多少、ニュアンスは違いますが、通じるものがある、とこの本ではまとめています。
で、どうでしょう?日本人の方の中には(って、日本語なんで日本人しか読んでないと思いますが)、ちょっと自分が出会っているコンサルタントとは違ったスタンスだなぁ、と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
何やら提案書を書いてきて、それを偉そうにプレゼンし、予算を確保して、彼らのやり方で実行してこちらの仕事を増やするのがコンサルタント、ではないのです。いや、コンサルタントが提案したりプレゼンしたりしない、と言っているのではありません。
ここで言われているコンサルタントのメインのお仕事は、助力。
ダメ出しをすることでも、プログラムを売りつけることでもありません。
ちなみに、助力を辞書で調べてみましょう。
はい。手助け、ですね。
こう考えると、ドラッカーの手法もまさに、これだったと思い当たります。例えば、ドラッカーはバウワーが自分のサービスの名前に困っていたとき、「経営コンサルティング」という名前を提案したのかもしれません。しかし、それを採用したのはバウワーであり、これは、バウワーが決めた、と言うことを意味します。これが「助力」のスタンスです。先のコンサルティングの定義にもありました。「コンサルタントは業務それ自体の遂行に責任はなく、実際の責任者を助力している」という奴です。責任が無いのだから、手柄もない。
手柄は取るが責任は取らない。こういう人っていますよね(笑。でも、こういう人はコンサルティングではないのです。
ではなにか、ということで、次に考えを深めていきたいのが、エドガー・シャイン先生の次の著作群です。
謙虚なコンサルティング、人を助けることはどういうことか、問いかける技術。
ということですが、これを原著の刊行順に並べると、
人を助けることはどういうことか(2009年)
問いかける技術(2013年)
謙虚なコンサルティング(2016年)
という順番になります。最初の疑問から、最後にコンサルティングの在り方の話につながるわけですね。
自伝を見ると、このシャイン先生も面白い研究経歴をお持ちなのですが、それについてはまた別な記事で書かせていただくとして、最初の本の冒頭に問題提起が書かれています。
ここに、コンサルティング業もカウンセリング業もコーチング業も、共通の問いでくくられることとなります。
何が人の役に立ち、何が役に立たないのか。
この問いを持ち続け、探究している人以外の人に、コンサルティングもカウンセリングもコーチングもお願いしない方が良いかなー、というのが、今回の私の結論です。
まあ、さすがに、カウンセラーやコーチで、この問いを持っていない人は居なさそうですが、コンサルタント、特にコンサルティング会社にお勤めのサラリーマン・コンサルタントは居てそうだなー、ということを、個人的には思っています。会社のお仕事でそんなコンサルタントに会ってしまった方には、御愁傷様、とお声がけしたいです。
とりあえず、現場からは以上です。
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