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from Me 体験会で気づいてしまったこと

お読みいただきありがとうございます。

5/27に田町で、6/9に甲府で、from Meというゲームの体験会に参加してきました。今回はそこで気づいたことのシェアを記録しておきたいと思います。

ゲームの体験談のシェアなので、ゼルダの伝説ブレス・オブ・ワイルドで、マジックハンドという技が出てくるよ、という程度のネタバレは出てきますので、それが見たくない、という方は読まずにスルーしてくださると幸いです。

そもそも、このゲームのことを知ったのは、3/9に開催された「ファンドレイジング・日本2024」というファンドレイジングの大会のブースで、見かけたことがきっかけでした。(この大会のレポートもアップしていないので、いずれアップします。)

FRJ2024会場案内版

なぜかそのものの写真は撮っておらず。

面白そうだと思ったので、家に帰ってホームページを確認。

ただ、参加できそうな体験会の日程が無かったので、知り合いでファシリテーターの資格をお持ちの方にお願いして、体験会を企画して開催していただきました。

準備風景

その後、なぜか自宅から車で5分のところで体験会をやるという情報が流れてきて、そちらも参加させていただきました。こちらは開発者の小針さんがファシリテーターをさせていて、とってもぜいたくな時間になりました。

開発者で普及担当の小針さん
こんな感じで、カードを使ったゲームです

このゲームは、寄付文化の醸成のために作られたゲーム、とのことですが、個人的な感想では、お金に関してどのような行動をすることが社会や自分にどのような影響を与えるのか、ということをシミュレーションするゲームと感じました。

その前提となっている考え方がいくつかあって、それがゲームの作家性を感じて面白かった!(あくまで個人の感想です。)

それを簡単に整理すると、この3つでした。

・個人の価値観(関心)を大事にする
・消費・貯金・投資・寄付という4つのお金の使い方がある
・世界を生活圏、社会圏、経済圏の3層に分けて影響を見る

ひとつひとつ見ていきます。

個人の価値観(関心)を大事にする

このゲームの表向きの目標は、無作為で配られた個人の目標を達成することになります。それは基本的にはウェルビーイングポイント(WP)とお金、そして世界の状況の3つのパラメータで示されます。

この理論的根拠は、ポジティブ心理学のPERMA理論のウェルビーイングを高めるための5つの要素から考えられているそうです。

P=ポジティブな感情
E=エンゲージメント
R=人間関係
M=意味
A=達成感

例えば、上に出した写真の場合、「仕事」となっていますが、私が最初に体験したのは、「健康」のカードでした。

「健康」のゴールは、WP10以上

このゲームの公式なルールでは、ランダムに配られるというものらしいのですが、例えば参加人数が多い場合、同じ関心のカードを選んだ人がチームになって、相談しながら進める、というのも面白そうです。

消費・貯金・投資・寄付という4つのお金の使い方がある

2つめのポイントですが、このゲームは下記の本を参考に作られたということで、この話は書籍で書かれています。

まあ、実際のところ、ゲームの中で「貯金」という行動を取る人は居ないのですが、それはなぜかと言えば、何もしない、ということを選択しないとできないから。ゲームにわざわざ参加して何もしない、って人はなかなかいませんよね。

ということで、消費・投資・寄付の3つの行動を取ることになるわけですが、これがなかなか巧みに設計されていて、投資に見えるけど消費とか、投資っぽい寄付とか、逆に寄付っぽいけど投資とか、いろいろややこしいわけです。まあ、それを振り返る時間はないので、気にされない方は気にならなかったかもしれません。

世界を生活圏、社会圏、経済圏の3層に分けて影響を見る

ゲームの中では、全体に対して「経済」「社会」「環境」という3つの「状況メーター」なるものが示されています。誰かが行った行動が、基本的にはこのメーターの数値を上げて、世界がよりよくなっていきます。これはこのゲームの制作者さんの優しい嘘でありファンタジーなわけで、実際の世界では、利己的な行動、戦争や虐殺などの悲劇、詐欺や犯罪や事故などがあるわけですが、ここに居るプレイヤーはそういう行動は取らないものとして設計されています。

それはさておき、この3つは(ネタバレ)SDGsの「生活圏」「社会圏」「経済圏」の3層をイメージして開発されたそうです。(「SDGsウェディングケーキモデル」と呼ばれるモデルだそうです。)

実は2回目やったときの私の価値観のカードは「仕事」だったのですが、これは、個人のWP(ウェルビーイングポイント)を上げるだけではなく、「社会」の状況メーターを上げないと達成できない、ということに途中から気づきまして、行動をスイッチしました。(この意味に気づくような仕掛けが、ゲーム内にデザインされています。)

自分のお金に関する行動が、「経済」「社会」「環境」に影響し、それが誰かのウィルビーイングに影響する、しかもたいてい、ポジティブな影響が起こる、というのは、なかなかに楽しい体験であり、これは寄付文化の醸成につながるというのはありそうだな、とは思いました。

体験会で気づいてしまったこと

自分が企画した体験会では、ゲームの感想を離れて、いろいろな意見を交換する場を持ちました。その感想シェアを聞いていて、これは、おそらくゲームの設計者も意図していなかったであろう、いくつか面白いことに気づきました。

まず、思ったのは、このゲームには、政府と税金が出てこない、ということです。なので、このゲームが前提しているのは、政府の機能をソーシャルセクターが集合知で担っている世界なのかな、と思っていました。

そしてもうひとつ、税金はないのですが、このゲームには定期収入があります。いわゆるベーシックインカムだなーと思ったのですが、定期収入が保証されると、先ほども書いたように、人は貯蓄をしなくなるな、ということが面白く思えました。

つまり総合すると、このゲームでは、税金はそのままベーシックインカムとして配られ、国民がそれぞれ自分の価値観に基づき、最適と思える経済活動をすることで、社会と国民の幸せを達成しましょう、というゲームなんだ、ということを思いました。

しかし、それだけじゃないな、と2回の体験会を体験して感じたのは、政府セクターの仕事として最も重要な仕事は「状況メーター」を示すこと、なのではないか、と思ったのです。

そういえば、政府の大事な仕事として「白書」がありますが、これは現在、ほとんどレポートになっていて、本来の意味での「状況モニタリング」の機能を果たしていないように思えます。一応、定期的にちゃんとやれているのは経済指標くらいじゃないでしょうか?

国民のウェルビーイングにつながるような指標をきちんと設定して、それをモニタリングする。税金は基本的には再分配して必要なところに流す。これこそが、本来、政府セクターに求められることなんじゃないのかな、と思ったのでした。

本来の仕事をきちんとしないで、マイクロマネジメントばかりしていては、組織は疲弊しますし、人は腐ります。今の日本の政府セクターは、そんな病気に陥っているのではないかな、と思いました。

そして、もうひとつ。このゲームには嘘と言いますか、ファンタジーがありまして、それは、NPONGOに寄付しさえすれば、世界は必ず良い方向に向かっていく、というところです。

そのためには、ソーシャルセクターに適切なマネジメント、まさに『非営利組織の経営』のノウハウが必要なんですが、なかなかそのレベルにまで達していない非営利組織が多く、ここを改善することも、社会からは求められているんだなぁ、と思ったのでした。

というわけで、体験会、とても楽しかったし勉強になりました。開催に際し、御準備いただいた皆様、ありがとうございました!

この記事を読まれた方で御興味持たれた方がいらっしゃれば、是非、下記の体験会のページもご覧になってみてください!

現場からは以上です。

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