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非営利組織の経営

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非営利組織の経営に関する記事をまとめました
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記事一覧

働き方改革とは何だったのか?

ご覧いただきありがとうございます。 さて、人は歳を取ると同じ説明を繰り返すのがだんだん嫌になってきますが、これはエネルギーを保存したいという欲が高まってくるからなのでしょうか? ということで、以前は研修などの場でよく話していた話を、今回は文章とパワポで再現して記録しておきたいと思います。 (画像は、2017年10月27日開催、株式会社キャリアクリエイツ主催 第308回リーダーシップ研究会「働き方改革を改革する処方箋」から、筆者の作成した資料を引用しています。) 働き方

NPO法人ドラッカー学会設立記念大会でお話させていただいたこと

先日、研究会での発表について記事化させていただきました。 これには実は背景がありまして、参加者の皆様より、一度、聴いただけでは全貌がわからない、と言われたこと。時間も限られていますし、資料も全部読んでいたら時間がかかってしまうので、はしょりながら発表したことも、原因のひとつかと思います。 ただ、それでもこのときには時間がまだありましたが、今日の標題の「NPO法人ドラッカー学会設立記念大会でお話させていただいたこと」については、わずか15分ということもあり、文字化しておいた

ドラッカー『非営利組織の経営』第I部「ミッションとリーダーシップ」を読み説く

ドラッカー『非営利組織の経営』第I部「ミッションとリーダーシップ」を読み説く お読みいただきありがとうございます。 前回のこちらの記事で、準備が整った感がありますので、これから数回に渡り、ドラッカーの『非営利組織の経営』を読み解いていきたいと思います。 今回の記事では、第I部「ミッションとリーダーシップ」を読み解きます。 と、その前に、目次から、この本の構成を確認しておきます。この本は全5部からなっていまして、それぞれの部が全5章で成り立っています。そのうち1つか2つ

ドラッカーの言う社会サービスの意味を追求していったら、企業別労働組合の可能性に気づいてしまった

下記の前回の記事に入れようと思ったのですが、ちょっと話が限定的になってしまうと考えて、分けることにしました。 ドラッカーが『ポスト資本主義社会』の第9章「社会セクターによる市民性の回復」中で、下記のような記述をしていることを、前回は紹介しました。今回は引用で紹介します。 コミュニティと人に働きかける社会サービスの分野、というのがよくわからないかと思いますが、ドラッカーはこの後、詳細は説明せずに、政府がこれを担うことは無理、という話を展開します。その後に、今ではおなじみのサ

ドラッカーは晩年、なぜ、非営利組織のマネジメントに関心を持ったのか?

お読みいただきありがとうございます。 今回は、佐藤等先生(実践するドラッカーシリーズ他の著作の作者でもあり、NPO法人ドラッカー学会の代表理事)が講師を務めるEDM(エッセンシャル・ドラッカーマネジメント実践コース)の3期を半年間ほど運営していて、このコースでは参加者に毎回、リフレクションと称するレポートを書いてもらうのですが、私も運営側ながら毎回、書いていて、そこでの気づきをシェアします。 佐藤等先生はこちらの方です。 今回のコースでは、ドラッカー教授の「関心」にフォ

from Me 体験会で気づいてしまったこと

お読みいただきありがとうございます。 5/27に田町で、6/9に甲府で、from Meというゲームの体験会に参加してきました。今回はそこで気づいたことのシェアを記録しておきたいと思います。 ゲームの体験談のシェアなので、ゼルダの伝説ブレス・オブ・ワイルドで、マジックハンドという技が出てくるよ、という程度のネタバレは出てきますので、それが見たくない、という方は読まずにスルーしてくださると幸いです。 そもそも、このゲームのことを知ったのは、3/9に開催された「ファンドレイジ

非営利組織の経営の本質⑥:ドラッカー『非営利組織の経営』原著を目次だけでさっと読む

非営利組織の経営に関する書籍や論文を探していますが、法律や会計などの制度、歴史や意義、みたいなものは発見できるんですが、「良い非営利組織の経営とは?」についてのものはほとんどないですね。この春に2本、私が書いたものが刊行されますが、この分野って語りにくいのかしら? 実際、ソーシャルセクターの皆様を見ていると、とても頑張っていらっしゃっていて、成功されていると傍から見られている組織でも、常に試行錯誤で努力されていらっしゃいます。ということで、あまり実践の場から「こうすれば成功

非営利組織の経営の本質⑤:なぜ非営利組織の経営を学ぶのか?

ひょんなことから非営利組織の経営について、大学生のための授業を持つことになり、ちょっと悩んでいます。 大学生といえば、若い。 その若い、貴重な時間を使ってもらうのに、それに見合う価値が提供できるのだろうか、と。 そして、提供できるとしたら、どんな価値だろうか、と。 ということで、大学生ではないけど、この前まで大学生だった方にヒヤリングしてみたところ、大学生は授業に何も期待していない、という返事が返ってきました。まあ、自分もそうだったよな。 とはいえ、それではモチベー

非営利組織の経営の本質④:マーケティングって何?

2024年01月25日のリリースで、公益財団法人日本マーケティング協会が、34年振りにマーケティングの定義を見直した、とありました。 リリース本文はこちら とりあえず引用してみましょう。 では、34年前はどうだったのか、というと、こちらも記載がありましたので引用しておきましょう。 この変更の背景と言いますか、思想的な影響を与えているのは、やはり生けるマーケティングのグル、フィリップ・コトラーさんではないかと思います。 コトラーさんは昔からずっとマーケティングの研究を

非営利組織の経営の本質③:「サードセクター」という発想の次に来るもの

今回はちょっと先走った、余談的な内容。しかもマニアックかもしれないですw 前回、社会的経済の話を書いたときに、資本の論理と人や社会の論理の話を書いた。で、非営利セクターがその矛盾をバランスしてくれるのではないか、というのが結論であった。 で、このとき、気になったのは、サードセクターという表現。 まあ、非営利セクターがサードセクターなのは、まぁ、いい。では、何がファーストで、何がセカンドなのか? というわけで、ググってみたら、経済産業研究所の後 房雄さんによる 「日本に

非営利組織の経営の本質②:非営利組織=ボランティアというイメージはどこから生まれてきたのか?

前回の記事で、ドラッカーの『非営利組織の経営』の日本語版の冒頭の「日本語版へのまえがき」にあるドラッカーのこんな言葉を紹介しました。 このまえがきをもっと読んでいて、とても興味深いのは、ドラッカーがアメリカの非営利組織の特殊性について、「ボランティアが支えていること」だと言っていることです。引用します。 この文章は日本語版へのまえがきで、2007年に刊行された本のもの。その時代認識に立ったうえで、最後、ドラッカーはこの文章をこう締めくくっています。 ドラッカーがアメリカ

非営利組織の経営の本質①:非営利活動ってなんだ?

 10年ほど前からいわゆるソーシャルセクターに関心を持って関わり始め、非営利組織の資金調達などを実務で行う認定ファンドレイザーなんて資格も取得していたのですが、ちょっと近い将来、非営利組織の経営についてお伝えしなければならない機会が出てきそうで、そのために、ちょっと整理しておこうと思ったのですが、取り掛かってみると、なかなかこれが厄介なこと に気づきました。  田尾雅夫先生、吉田忠彦先生の『非営利組織論』(有斐閣アルマ)の冒頭を読んでいると、こういう表現がされていました。