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M&Aの会計処理〜のれん代とは〜

こんにちは、「まいにち企業ニュース」のヒビノケイです。今回はM&Aの会計処理(のれん代)について解説していきます。

国際会計基準(IFRS)と日本基準の違い

近年は日系企業のグローバル化が進み、それに合わせて多くの日系企業がIFRSへの移行を表明しています。

両者の細かい違いは置いておいて、「M&Aにおけるのれん代」の扱いが大きく違うということだけを押さえておきましょう

のれん代とは、「買収額と純資産額の差」のことで、100億円の純資産の会社を150億円で買収したとすれば、差し引き50億円をのれん代として無形固定資産に載せる必要があります。

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日本会計基準の場合

日本会計基準の場合は、こうしたのれんを毎年減価償却していきます。期間は20年以内であれば買収した会社が自由に決められます。通常は、「その会社を買収するために投じた費用を何年で回収できるか」を考え、10年で回収できるとみるなら10年とするのが一般的です。今回のケースでは50億円ののれんを10年で償却すると、毎年営業利益は5億円を引いた形で算出することになりますね。

IFRSの場合

IFRSの場合は、のれんを定期的に償却する必要はありませんが、毎年「減損テスト」をする必要があります。今回のケースののれん代50億円を毎年評価して、のれんの価値が30億円しかないと判断すれば、差額の20億円を現存します。日本会計基準であれば定期的にのれんを償却していくのですが、IFRSの場合は、巨額の減損が一気に起こる可能性が高いですね。

日系企業のケース

ダイヤモンドオンラインに、日系のIFRS採用企業の「のれんの自己資本に対する比率が高い企業ランキング」が紹介されていました。

IFRSはのれんの償却がない分、大型の減損(数千億円規模?)が起こりうる可能性が高いということが分かりますね。

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画像引用:ダイヤモンドオンライン


Facebook社のケース

Facebook社の事例を紹介します。Facebook社は米国会計基準(GAAP)を採用しており、こちらはIFRSと同じでのれんを償却しません。B/Sをみて見ると、19Bドル(約2兆円)もののれんが見られます。

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これは一体何なのでしょうか?一番は、2014年にWhatsApp(メッセンジャーアプリ)を1.9兆円で買収したことに原因がありますね。

参考書籍

のれん代の扱いについては、この書籍を参考にさせて頂きました。基本はアカウンティングの内容ですが、M&Aの章もあってとても楽しく読めました。


おわりに

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