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日立とパナソニックの1兆円規模の買収〜買収マルチプルについて〜
こんにちは、「まいにち企業ニュース」のヒビノケイです。今回は日立とパナソニックの買収案件をもとに、M&Aの買収マルチプルについて解説していきます。
*今回の記事は、ざっくりとしたイメージを持ってもらうために、数字はかなり丸めていますので、ご注意を。
日立とパナソニックが大型の買収発表
2020年4月に、日立がシステム開発会社のグローバルロジック(米国)を、パナソニックがサプライチェーン関連のソフトウエア開発会社のブルーヨンダー(米国)を、それぞれ買収することを発表しました。
どちらも約1兆円の買収額であり、日本を代表する製造業が、ソフトウェア会社を買収、クロスボーダーM&Aという点で、とても類似した案件になりますね。
*パナソニックは20%の株式を既に保有しており、今回は残りの80%を約8,000億円で買収しました(100%換算でざっくり買収額1兆円とします)。
両案件の買収マルチプル
買収価格の決め方は、①インカムアプローチ(DCF法)、②マーケットアプローチ(マルチプル法)、③コストアプローチ(純資産法)の3つが代表的なやり方です。
今回のように、複数の案件を比べたい、相場を見たいという場合は、②のマーケットアプローチ(マルチプル法)が適しています。これは、売上やEBITDAに対して、買収額が何倍になるのかを見るやり方です。
ということで、両者の損益を見ていきましょう。グローバルロジックとブルーヨンダーは、どちらも1,000億円程度の売上高、EBITDAも約270億円で同じ規模になります(偶然!)。
*損益については、グローバルロジックは2021年3月期、ブルーヨンダーは2020年12月期を便宜的に使います。
買収額1兆円÷売上1,000億円なので、売上マルチプルはざっくり10倍です。買収額1兆円÷EBITDA270億円なので、EBITDAマルチプルはざっくり37倍です。
偶然にもほどがすぎる(!)
と言いたいほど、数字が似通っていますね。マルチプルは、同業他社の倍率を参考に値決めをするやり方なので、まあ当然といえば当然なのですが、「(同じような買い手が)同じ国の、同じような業種の、同じような規模の会社を、同じ時期に買ったら」、マルチプルがピタリと合うということになるんですね。ちなみに、売上高成長率も年平均で10〜20%というところも、両社は似ています。
また、日立もパナソニックも「類似企業のEBITDAマルチプルは大体40倍とかなので、今回の買収は割高ではない」と言っているので、そこも一緒かい!と思わずにいられませんね。
おわりに
今回は、日立とパナソニックの買収事例から、マルチプルについて考察してみました。
バリュエーションについてもっと知りたい方は、こちらの本がオススメです。
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