小児のインフルエンザ予防接種回数は1回か2回か?
(以前,別のところに書いたものです。)
小児のインフルエンザ予防接種の推奨される回数は米国と日本で微妙に異なります。
日本では添付文書で,
小児科学会の推奨もこれに準じ,
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/vaccine_schedule.pdf
一方,米国では,6ヶ月から8歳までの小児で初めてインフルエンザ予防接種を受ける場合は4週間以上間隔を空けて2回,過去のシーズンで2回接種を受けたことがあれば,以降のシーズンは1回でよいとされます。
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/rr/rr7005a1.htm#F1_down
日本でも米国のように初めてのシーズンだけ2回接種し,以降は1回でよいのではないか?という意見の人もいます。しかし,ワクチンは国によって認可している製剤が異なったり,製剤に含まれる抗原の量やアジュバントの成分が異なる場合があり,単純に海外の推奨を取り入れてよいかは慎重になった方がよいと思います。
例えば,破傷風は,米国のACIPの推奨によるとブースターとして終生10年毎の接種が推奨されています。
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6903a5.htm
私がリヴァプールのDTM&Hで学んだとき,英国では破傷風は5回接種で終生免疫と教えられました。
https://www.gov.uk/government/publications/tetanus-the-green-book-chapter-30
WHOのポジションペーパーでは,6回接種で終生免疫と書かれています。
国によって色々違います。日本国内では,破傷風について,外傷の際の接種を除けば,成人以降の定期的なブースター接種についての推奨は確か,なかったと思います。
話をインフルエンザに戻すと,2019年に日本の6ヶ月から12歳の小児を対象にした研究が発表されています。
Shinjoh M, Sugaya N, Furuichi M, Araki E, Maeda N, Isshiki K, et al. Effectiveness of inactivated influenza vaccine in children by vaccine dose, 2013-18. Vaccine. 2019 Jul 9;37(30):4047–54.
1回接種と2回接種は接種なしと比べて概ね50%インフルエンザ感染を減らし,1回接種と2回接種はいくつかのシーズンのB型インフルエンザを除けばあまり差はなかったという結果でした。また,1回接種,2回接種ともに,インフルエンザによる入院を減らしたという結果でした。
この結果を見ると,これまで2回接種を受けたことがある小児については,1回接種だけでもよいだろうと思います。
ということで,うちの子どもたちは最初の年だけ2回接種で,以降は毎年1回にしています。
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