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欠員補充による中途採用が慢性化している場合に見直すべきこと

中途採用を行う理由は、大きく分けて2つあると思います。

1. 事業拡大のため
2. 欠員補充のため

前者は、会社を大きくするための積極的な投資だとすれば、後者は規模縮小を防ぐための消極的な投資。
中途採用を行う場合、採用の目的がどちらなのかを正確に把握しておく必要があります。
もしも、後者の欠員補充であるならば、まずは人が漏れ出している原因を探り穴を塞ぐ作業から始めないと、結局は採用した人もまた同じように穴から漏れていってしまう可能性が高くなってしまいます。

退職者が一定数出てしまうのは今のご時世では仕方ないのではないか?と諦めて策を打たないのは絶対に辞めた方が良いです。
その理由を数字という客観的に判断できる材料を使ってお伝えしていきたいと思います。

早期退職者が多い場合(1年以内)

まずは、早期退職者の場合。早期の定義は会社によって違うかもしれませんが、今回は1年で設定させていただきます。
まずは、採用に掛かったコストから計算していきましょう。
(数字は適当に設定しています)

・中途採用での求人広告が50万円。
・中途採用業務に関わった社員の人件費が50万円。
・入社に掛かる事務手続きに関する人件費、手数料等が5万円。
・入社時の教育、研修に関する費用が50万円。
・OJT形式による即戦力化までの費用が100万円。

などなど、一人を採用するという事は採用コストだけではなく、研修コスト(研修時の新入社員の給料や、OJTで面倒を見る既存社員の人件費など)といった費用を企業は負担しているわけです。
もしも退職者が出ていなかったら、負担する必要のなかったコストです。
社員数が100名以下の会社などであれば、社員一人一人に臨時ボーナスで1万円程度を支給できる規模のコストです。

更に、その社員の研修が終了したとしても、月々の給料はランニングコストとして発生し、投資(採用コスト〜月々の給料)を回収できるまでに、2~3年の時間が必要であったとした場合、1年以内に早期退職されてしまったら、一体、いくらの損失を会社が被る事になるのでしょうか??
単純に考えると、

その人が上げた利益 ー コスト(採用・研修・給料)= 収益

こうなるでしょう。加えて、企業はまた新しい欠員補充をするために採用活動をする必要がありますから、新しい人が採用できるまでの採用コストが嵩んでしまうという訳です。

スター社員が退職する場合

ここでいうスター社員とは、会社の中で最も成果を上げている社員を指しています。こういった人材は育てようと思っても、すぐに育つ訳でもありませんし、採用しようと思っても簡単にできる訳ではありません。また、会社としても一人で何人分もの利益を稼いでくれる社員なだけに退職されるとなると、損害は計り知れません。
そんなスター社員が退職を申し出た際は、あらゆる手を尽くしてでも退職を思いとどまってもらえるように交渉すべきでしょう。
(もちろん、社員の人生もあるので、無理強いしすぎる事は良くないですが。)
もし、退職理由が仕事の成果に対する給料が低いというのであれば、次の査定時までに目標とする成果を達成すれば、見合った額のボーナスを支払うことや、転職する時に有利になるようにという理由で、昇進させてマネージメント業務を経験させる代わりに後任となるようなスター社員の育成を任せるなど、両者にとってメリットのある解決策を提示した方が良いでしょう。

もしも、スター社員の引き止めに失敗した場合、

スター社員の収益+中途採用コスト+育成コスト

この損失が一気に発生します。そのコストを計算してみれば、給料やポジションを理由に転職を考えているのであれば、それを満たしてあげることは安い事では無いでしょうか?

今回は、分かりやすいようにスター社員で表現しましたが、通常レベルの活躍をしてくれる社員であっても同様です。
期待をかなり下回る社員が退職を申し出てくれた場合は、その人を雇い続ける場合の収益と新人採用をする場合のコストを比べてみて、判断すれば良いでしょう。

まとめ

中途採用は、コストも労力も掛かる大変な業務です。事業拡大に伴った採用活動であれば、社内全体も活気づいているので多くの社員も協力して参加してくれるかもしれません。
しかし、退職者が多く常に欠員補充は担当者にとっても社員にとってもネガティブな業務でしかありません。

もしも欠員補充による採用を繰り返しているのであれば、採用活動よりも退職率の低下を優先度高くして取り組んだ方が良いでしょう。

採用することもよりも退職者を減らす事の方が容易なはずです。
なぜなら、その社員の事は多少なりとも分かっているはずですし、もしよく分かっていないのだとしたら、時間を掛けて話をして理解する機会を作ることで解決できる問題かもしれないから。
それくらいの時間やコストは、採用・研修コストに比べたら、かなり安いものだと思います。

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