転職したいと思う人こそ、転職すべきではない理由
タイトルが強めになっていますが、決して誇張している訳ではありません。
『転職したい』では転職すべきではない理由
『転職したい』
これは日本で働いている人であれば、9割以上の人が一度は抱いた事がある欲求なのではないかと思っています。
この欲求のメカニズムを解明すると、
転職したい
⬆️
会社を辞めたい
⬆️
会社で嫌な事があった or 会社に対し不満がある
こういうStepを踏んでいます。
ここで大事なことは、
『転職したい』という思いは『会社で嫌なことがあった or 不満がある』というネガティブ感情を起因とした欲求であるということ。
そして、ネガティブ感情を起因として生じた欲求は解消したところで何の解決にもなりません。
例えば、同じような状況として『嫌なことがあった』から『飲みに行きたい』という欲求を解消する場合を考えてみます。
この場合、
嫌な事があって、それを忘れるために飲みに行きたいと欲求が生まれ、お酒を飲むという行動へと繋がって行きます。
すると、
普段より強い度数のお酒を飲む・大量のお酒を飲むなど一時の感情に任せた行動を取りがちになります。
結果、
二日酔いになる・他人に迷惑を掛ける・路上などで寝て物盗りにあう・犯罪に巻き込まれる・散財するetc、新しい頭痛の種を自ら蒔いてしまうという目を覆いたくなるような事態を招く。
しかし、欲求を生じさせた原因である『嫌なことがあった』ことへの解決策は何も考えられていないため、また『嫌なことがあった』時は、お酒を飲んで、頭痛の種を一つ蒔くという悪循環に陥って行くことになってしまいます。
『転職したい』の場合も、このお酒の例と一緒です。
会社で嫌な事があった or 会社に対し不満がある(原因)
⬇︎
会社を辞めたい(根源欲求)
⬇︎
転職したい(表層欲求)
⬇︎
転職する(行動)
このロジックの前提のもと、転職することで解消できるものは、『転職したい・会社を辞めたい』という欲求までです。
もし、『会社で嫌なことがあった(原因)』が人間関係だとして、転職先でも同じタイプの人がいたら、また転職するという行動を取ることを選ぶでしょう。
その繰り返しを続ければ、いつか必ず『転職』という行動が取れなくなる日が来ます。そうなってしまったら、残された道は残りの人生は目を覆いたくなるようなモノになるでしょう。
転職を選択することがベストな場合
『転職したい』では転職すべきではないとすると、どんな時であったら転職すべきなのかと疑問に思う方もいると思います。
『転職を選択することがベストな場合』
それは、
『転職しなければならない』
という状況です。
分かりやすい状況でいえば、会社倒産が決まった場合であったり、業界が完全に消滅することが分かっている場合などでしょう。そもそも働いている場所が無くなってしまったら、転職しなければならないですよね。
では、会社も業界も消滅しない前提だったとした場合はどうか?
それは、大きく分けて2通りです。
1. 現状の問題点の解決手段が転職しかないと判明した場合
2. 目指す将来から逆算した時、現状のままでは実現不可能な場合
1については、例えば、セクハラ・パワハラなどで困っていて、人事部や直属上司の更に上の上席などに相談したにも関わらず、一向に改善されないケースなどです。人事権や決裁権を持つ人間が動かない以上、一社員にできる行動は『環境からの脱出=転職』しかありません。
故に、この場合は、『転職しなければならない』状況に当てはまります。
他にも、現在は創業100年を超える大企業で働いているが、創業1年目の社員数名のベンチャーで働いてみたいという場合も、大企業を飛び出すしかないでしょう。
社内ベンチャーを立ち上げる手段もありますが、大企業の資本力に支えられている環境ではなく、何もない0からの環境で働いてみたいのであれば、『転職しなければならない』状況に当てはまっています。
もちろん、この逆パターンも『転職しなければならない』状況に当てはまります。
社員10名の会社が、3ヶ月後に社員1000名の会社になることは現実的に考えると実現可能性は0に近く、環境を変えることでしか、社員1000名の会社で働くことは経験できないからです。
(ただ、死ぬまでに一度で良いからということであるならば、今いる会社を自分の力で1000名規模に大きくするでも良いと思います。)
しかし、
『新しいことにチャレンジしてみたい』『大手企業を担当してみたい』といった業務面が強い場合であれば、『転職しなければならない』状況とは言い切れません。
なぜなら、『新しいことにチャレンジ』したいなら、今いる会社で出来るからです。
こういうと、『社内ベンチャー制度など無いから無理だ』と言う方もいます。それならば、まずは『社内ベンチャー制度を作る』という経験したことのない新しい行動をまずは今いる会社でやってみてはいかがでしょうか?
また、『大手企業を担当してみたい』と思うならば、
・大手担当の部署に配属される方法を上司と共に考え、実行してみる。
・現状の会社で大手顧客が0なら、上司に相談して大手顧客獲得に向けたプロジェクトチームを立ち上げて行動してみる。
など、行動してみてはいかがでしょうか?
他にも人によって様々な問題点を抱えていると思いますが、まずは『転職』という手段は捨てて、その問題点を現在の会社で解決するための方法を考えてみてください。
すると、多くの場合が『転職しなければならない』状況ではなく、『転職したい』というモノに当てはまると思います。
目指す将来から逆算した時、現状のままでは実現不可能な場合
こちらのケースは、視点が『今』ではなく『未来』にあります。
・漁師になって海の上で働く生活を送るのが昔からの夢である。
・1年後に2000万円貯める必要があり、何としても短期間でお金を稼ぐ必要がある。
・5年後の起業に向けて、必要な経験・資源を集めるための計画がある。
将来は漁師になる人が、都会のど真ん中で金融マンとして働いていても、その仕事の延長線上に「漁師」という仕事を自分が行う機会は訪れることはないでしょう。であれば、漁師という仕事に『転職しなければならない』でしょう。
また、タイムリミットまでの『時間』が限られている場合。
限られた時間の中で、自分にとって必要なものを手に入れるには現状の職場や環境では不可能である場合も、『転職しなければならない』状況に当てはまっているでしょう。
ここで1つだけ注意点があります。それは、その『未来』をなぜ、手に入れたいのか?を熱く語れるかどうかということです。
『喉から手が出るほど欲しいモノ』であったり、『一生、一緒にいたいと思う人』であったり、『自分の忘れられない思い出』などは本当に自分にとって大切なモノだから、語ることに照れがあったとしても話し始めたら止まらないと思います。
もし、あなたが手に入れたいと思っている『未来』について『熱量持って話せない』『話したことに質問されたら答えに困る』ということであるならば、その『未来』は『今』の状況から抜け出したいという欲求が作り出した現実逃避した未来の可能性が高いです。
そして、現実逃避した未来に向けた転職は、『しなければならない転職』ではありません。
『転職したい』で転職した先に待っている未来
本来、「転職」とは手段であり、目的ではありません。
しかし、『転職したい』は転職自体が目的となっています。
いくら現在の日本が転職がレアケースではなくなってきたとはいえ、短期間で転職を繰り返している人は、会社員としての『社会的信用』が無くなってしまいます。
あなたが会社の経営者だったとしたら、『30歳で転職経験が10回以上』ある人が面接に来たら前のめりで採用したいと思いますか?
あなたが部長だったとしたら、部署の将来を担うような継続的に重要な仕事を、『30歳で転職経験が10回以上』ある人に仕事を任せようと思いますか?
あなたが新人教育の担当だったとしたら、自分の業務で手一杯の中、『30歳で転職経験が10回以上』ある人に仕事を真剣に教えようと素直に思えますか?
恐らく、どのケースでも「NO」と思いませんでしたか?
「NO」の理由はなにかと言えば、「また、この会社でもすぐに辞めるでしょ、こういう人は」と考え、その人を信じることが出来ないからでしょう。
現在、ネットでは『やりたくない仕事をやるくらいなら転職した良い』『転職経験が一度もない人はヤバい』『転職ノウハウ』といった転職を肯定化している記事や情報が溢れています。
だからといって、
安易に転職することだけは絶対にしないでください。
『転職したい』という一時の欲求に従い、転職しないでください。
転職はあらゆる手段を検討し、どの手段でも原因を解決できないと分かった時に取る最終手段です。
転職とは、
『環境をガラリと変える』ものです。
『未来を大幅に変える』ものです。
『あなたの今とこれからの人生を180度変える』ものです。
二日酔い程度の失敗なら1日を棒に振れば解決できます。
しかし、転職は人生そのものを変えるほどの劇薬です。
転職が及ぼす影響は、あなたの人生のずっと先の将来まで続きます。
そのことをしっかりと踏まえ、転職という手段を考えてください。
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