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三井住友建設の苦境

名門ゼネコンである三井住友建設が、2025年3月期の業績予想を下方修正し、80億円の赤字に転落する見通しを発表しました。これは、国内の大型建築工事の遅れによる追加損失が主因です。私自身、このような大手企業が直面する難局には多くの学びがあると思っています。この記事では、三井住友建設の現状と、企業が直面する課題について考察します。

赤字転落の理由

三井住友建設が赤字に転落した主な理由は、施工中の大型工事の遅れです。特に「麻布台ヒルズ」のタワーマンションが影響を及ぼしています。このプロジェクトは、地下工事の工法変更や資材の不具合、高騰する資材費が重なり、当初の完成予定から大幅に遅れています

工事の複雑さ

麻布台ヒルズは、地上64階、高さ260メートルの巨大なタワーマンションで、地下工事の難易度が高いことが問題の一因です。例えば、地下工事では地盤の状況に応じて工法を変更する必要がありますが、これが遅延を引き起こす要因となります。

経営の混乱

赤字転落とともに、経営内部でも混乱が生じています。今年2月、社長の辞任を求める“クーデター”が発生し、社内が二分される事態に。これにより、経営の安定性が損なわれ、外部からの信頼も揺らいでいます。

三井住友建設は12日、2025年3月期の連結最終損益が80億円の赤字(前期は40億円の黒字)になる見通しだと発表した。従来予想(12%増の45億円の黒字)から一転、2年ぶりの最終赤字になる。複数の損失計上が続く国内の大型建築工事で、資材価格や人件費が上がったほか工事に携わる技術者を増やしたことなどで131億円の損失を計上する。
 業績悪化の責任をとり、役員報酬を減らす。代表取締役社長で月額報酬のうち30%、社外取締役を除く取締役で20%、4カ月間減額する。
 売上高は前期比5%減の4550億円と従来予想から据え置いたものの、営業利益は88%減の10億円と115億円引き下げた。
 今回損失を出した工事ではこれまで部材の再製作などが生じ、24年3月期までの3年間で計600億円超の損失を計上している。
 9月に柱やはりなどの主要な構造体の工事をほぼ終えており、同社は「(25年8月に予定する)完成までの資材価格や労務費の高騰などあらゆる可能性を加味して損失を計上した。竣工までのコストはおおむね確定している」と説明した。
 同日、先行きの業績改善を訴えるため、26年3月期以降3年分の業績見通しを示した。26年3月期に純利益75億円、28年3月期に110億円と見込む。
 25年3月期の配当は年14円と前期と同額を見込み、従来予想を据え置いた。
引用:2024/11/13 日本経済新聞 朝刊 19ページ

ガバナンスの問題

三井住友建設の問題の根本には、ガバナンスの欠如が指摘されています。調査報告書でも、経営管理体制の不備が問題とされています。企業のガバナンスとは、企業がどのように管理され、意思決定が行われるかを示すものです。適切なガバナンスがなければ、重大な決定においても誤りが生じるリスクが高まります。

メインバンクとの距離感

特に注目すべきは、メインバンクである三井住友銀行との関係が悪化している点です。かつては銀行主導での統合が模索されていましたが、現在では距離を置かれているようです。

銀行の役割

メインバンクは、企業にとって重要な資金供給源であり、経営に大きな影響を与えます。銀行が企業に対して信頼を失うと、資金調達が困難になり、さらに経営が厳しくなることがあります。このような状況では、企業は自力での改善を迫られることになります。

成功のためのポイント

このような苦境にある三井住友建設から、他の企業が学べるポイントはいくつかあります。

  1. ガバナンスの強化: 経営管理体制を見直し、透明性のある意思決定を行うことが重要です。例えば、外部の専門家を招いて経営のチェック体制を強化することが考えられます。

  2. リスク管理の徹底: プロジェクトのリスクを事前に評価し、適切な対策を講じることが大切です。特に大型プロジェクトにおいては、リスクを細分化し、管理する体制が求められます。

  3. メインバンクとの関係構築: 銀行との良好な関係を維持するために、定期的なコミュニケーションを図ることが必要です。信頼関係が強まることで、必要な資金調達がスムーズになる可能性があります。

結論

三井住友建設の苦境は、企業にとっての教訓です。ガバナンスの重要性や、経営の安定性を保つためのリスク管理の必要性を再認識させてくれます。私自身も、企業経営やプロジェクト管理において、これらの教訓を心に留めておきたいと思います。

引用:https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/363860


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