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こんにちは酒井倫明です。東京都内で美容外科・美容皮膚科をやってます。美容医療をしっかりと「医療」の観点から情報発信していきます。本日のテーマは「傷跡」です。

とても多い傷跡の悩み


事故や不注意、またはスポーツをしていての怪我など、日常にはトラブルがつきものです。怪我をした場合、その箇所の治療に専念することが第一優先ですが、その後にできてしまう傷跡に関してまでトラブル当時は頭が回らないものです。傷跡のケアは実はよく見落とされてしまい、侮りがちな点なのです。「傷跡が残ってしまったけど美容外科を標榜している医師であれば、魔法の様に私の顔を綺麗にしてくれる」と思っている患者様も少なくありません。

しかし、ちょっと待ってください。傷跡の修正は、どんな診療科・出身の先生に任せても大丈夫だと本当に思いますか?
それに、傷跡修正手術はすぐには結果が出るものではありません。場合によっては2〜3年かかることもあります。さらには、患者様本人の肌質も大きく結果に関係します。

今回は傷跡修正を行うに関して、要点を私なりにまとめてみました。

傷跡の経過について

傷跡の経過はおおよそ下記になります。(体の部位によっては経過に差があります。)
 
1週間後     :抜糸
3〜10週間程度 :傷周囲の赤み、硬さ、盛り上がり、が確認。
3〜12ヶ月程度 :傷周囲の色素沈着(赤黒さや茶色の痣状)。
1〜3年                  :ほぼ落ち着いてくる。

術直後

↑手術直後

術後7日 抜糸直後

↑術後10日 抜糸直後

術後30日

↑術後2ヶ月 まだ赤みが強いです

術後6ヶ月

↑術後6ヶ月 うっすらと傷跡はピンクから茶色の色素沈着が見えます。

術後18ヶ月

↑術後18ヶ月 わずかに傷跡を認識できる程度。

ここまできて、ようやく傷跡が落ち着いたと考えれます。

肌質による個人差について

人の肌質はかなり違いがあります。ニキビの跡が激しく残っていて「あばた」と呼ばれる事もあれば、まったく跡が残らない方もいらっしゃいます。
一般的に「傷跡が残る・汚い」と言われるのは、創傷治癒期間に膠原線維が過度に増殖してしまうからです。また、この膠原線維の発生度は遺伝的に決まっています。とても残念なことですが、膠原線維が異常に増殖してしまうケロイドという病態もあり、東アジアの人種では3000人に1人くらいの割合で遺伝子が存在するそうです。この場合形成外科専門施設では、ステロイドの瘢痕注射や塗布薬処置、また、トラニラストの内服継続が推奨されています。

傷跡修正には「形成外科専門医」を選びましょう


美容外科は形成外科の一分野で、少なくとも形成外科学会の専門医が担当するのが妥当でしょう。しかし、巷の美容外科は形成外科専門医が少ないのが現状です。ここは日本の標榜診療制度に疑問を抱く点です。(ちなみに、米国では美容外科を表簿するのに、形成外科専門医であることが必須とされています。)
形成外科専門医は主に人体の体表面の形態の正常化を目的とする外科学です。そのため、形成外科を目指す外科医師はまず、縫合法を身に付けます。それは、きわめて丁寧な手技を必要としまた、そのための必要以上の時間を縫合に費やさなければなりません。
こうした日々の技術指導を経て、形成外科専門医を取得したのち、美容外科を目指した専門医はさらに精緻な縫合法や特異な手術技術を身につけていきます。
したがって、より美容性の高い手術を希望する患者様においては、日本形成外科学会専門医または指導医の資格のある美容外科医師を選任すると良い結果が生まれると考えれます。

本日のまとめ

もし傷跡に悩まれている患者様がいらっしゃいましたら、あなたの肌質を見極め、術後処置や投薬をしてくれる美容形成外科専門施設を選んでください。

カウンセリング時、手術法や術後の状態の説明、アフターケアの方法を丁寧に説明してくれる医師を探しましょう。その時に担当医がどんな専門医をもっているのかもHPでチェックすることをお勧めします。もちろん、患者様自身のアフターケアも大切です。


「身も心も美しい人生で」
引き続きよろしくお願いいたします。

酒井倫明(さかいみちあき)
酒井形成外科:https://www.sakai-keisei.gr.jp/

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