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ドナー部をどう評価するか② CVとは?

こんにちは、アルモ形成クリニック 植毛医の内田直宏です。

前回、「ドナー部をどう評価するか①」では評価の大切な9項目についてご説明いたしました。
今回は、パート②としてお伝えしたいと思っています。

患者様からよく受ける質問「先生、具体的に私のドナーはあとどれくらい採取可能なのですか?」があります。これについて前回の①でお答えした考えと同様に非常に重要な概念があるのです。

CV(coverage value)という概念です。

もともと、この概念はK.Erdogan医師により提起された概念です。

ドナー部とはそもそも後頭部や側頭部のことですが、ドナー部の毛根を採取するときには、ドナー部が術後時間が経過しても問題ないかどうかは

1、毛髪直径(mm)
2、単位FUあたりの毛髪数(hairs/FU)
3、毛包密度(FU/cm2)

の3項目に大きく依存します。ここで想像していただきたいのは、草木と地面の関係です。草木が細く、密度も少ないとなれば当然地面が丸見えな状態となってしまうのと同様に、薄い後頭部からたくさん毛根を採取してしまうと当然地肌が丸見えな状態となってしまいます。
一方で、1本1本の草木が太く、生い茂っている場合は多く草刈りをしても地面の土は見えない状態です。同様に、後頭部の毛髪が1本1本太く密度も高い場合は、多く採取してもキズは全く目立たない状態になるということです。

CVを求めるには、毛包密度(Fu/cm2)にFU単位あたりの毛髪数(hairs/FU)を乗じて、毛軸径を乗じることで算出します。

CV=毛包密度(FU/cm2) × 単位FU毛髪数(hairs/FU) × 毛軸直径 ・・・・・①

わたしは、診察時のマクロ的な視点と同時に、拡大鏡、専用スコープを用いて以下の方法を改変し、使用しております。

このCVとは、日本語では「最小被覆率」とも呼ぶことがあります。

CVを求めることにより、(1) ドナー領域から安全に採取できるグラフト数 (2) レシピエントの領域で良好な被覆を形成するための最小限のグラフト数を求めることが可能となります。

このCV(=最小被覆率)の最小値は、5.4という研究結果があります。
CVは5.4〜15の間を動きます。(0になることも理論上はあります)

例えば、これからFUEの手術を行う男性が、毛包密度:75Fu/cm2、単位毛髪数:2.0hairs/FU、毛軸口径0.06mmと仮定すると、CV=75×2.0×0.06=9.0(理想的CV)となります。

この数値は術前ですから、術前CV 9.0となるのですが、実際には加齢の影響を減じて考慮する必要があるため、原法では、15%減じておりますが、私は12%としています。ここでは一旦12%としておきます。患者の状態やAGAの状態を評価し、10~15%の数値を選択します。

すると、理想的CV9.0×(1-0.12)=7.92=実質的な術前CV となり、この方の採取CV=7.92-5.4(最小値)=2.52となります。

①に代入すると、毛包密度は21Fu/cm2となり、元の後頭部の密度の28%まで採取してもよいということになります。

あとは、この毛包密度と面積計算により採取可能なグラフト数を算出できます。

例えば、この方の後頭部と両方の側頭部の面積が合計220cm2と仮定すると、220×21=4620グラフトを採取しても生涯に渡り、全く問題が生じないと言えます。

ただし、この式は後頭部や側頭部で分けていないため概算となることにご注意ください。

わたしは、この概念を側頭部、後頭部と分解して考えております。なぜなら側頭部と後頭部でやや太さや密度が違うからです。
慣れればこの計算は早くできますが、この計算に頼りすぎるのもよくありません。均一でなかったり、患者様により部分部分でかなり異なることがあるからです。

他のクリニックでは患者様全員に対して後頭部や側頭部の1/4とか割合を決めている場合があるようですが、
これは大きく間違いで、側頭部や後頭部のその人、採取する場所などに応じて、臨機応援に採取する割合を変更していかなければなりません。

国際毛髪外科学会では他の医師達との議論やプレゼンでも頻繁に出てくる概念ですが日本ではまだあまり浸透していないかもしれません。

また、ドナー部をどう評価するか①でも記載しておりますが
このCVという値は髪の色調や皮膚の色調のコントラスト、髪の毛の湾曲の度合い、長さを評価していないことが欠点であり、実際にはトータルでの評価が必要となり、植毛医としていかに術後のドナーを分析して見ているかが成功の鍵であることは間違いないです。

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