見出し画像

フィナステリドとデュタステリド

こんにちは、植毛医の内田直宏です。

日本皮膚科学会が公表している男性AGAに対するフィナステリドあるいはデュタステリド内服の推奨度はA(最も推奨できる)というのは皆様ご存知の通りだと思います。

どのような違いがあるかという点ですが、

フィナステリドの血中濃度の半減期は6-8時間で、組織内の半減期は30日程度と言われております。

一方で、デュタステリドの血中濃度の半減期は5週間程度と、かなり長めになっております。

二つの薬剤は半減期の長さこそ異なりますが、最大の違いは

5α還元酵素(5αリダクターゼ)Ⅱ型のみをを阻害するのがフィナステリド
5α還元酵素(5αリダクターゼ)Ⅰ型とⅡ型の両方を阻害するのがデュタステリド

という点です。

Ⅱ型の5α還元酵素は頭皮を含む皮膚(頭頂部、後頭部に特に多い)に多く存在し、
Ⅰ型の5α還元酵素は後頭部、側頭部、前立腺、皮脂腺に多く存在しているということも重要な点の一つです。

デュタステリドはⅠ型5α還元酵素を阻害し、皮脂腺の活動を抑制する効果も期待できると言われており、脂肌の方や脂肌によりニキビができやすい方は内服するメリットもあるかもしれません。

直近の第30回国際毛髪外科学会でも、副作用の発生リスクの観点から、併用はおすすめしない医師が大半でしたが、併用療法により著しく毛髪密度が改善したという報告もあるようです。
(Boyapati A, Sinclair R. Combination therapy with finasteride and low-dose dutasteride in the treatment of androgenetic alopecia. Australas J Dermatol. 2013;54(1):49-51.)

デュタステリドもフィナステリドもそもそもが前立腺肥大症に対しての適用が承認されていた薬剤です。
デュタステリドは、米国ではFDAの第3相試験が永久に保留されているようです。

デュタステリドはフィナステリドに比べて3倍のⅡ型5α還元酵素の阻害効力を発揮します。I型に至っては5α還元酵素酵素の阻害作用は100倍以上であるという研究もあるようです。

その結果として、デュタステリドは血清のジヒドロテストステロン値を90%までも減少させることが可能となっています。(フィナステリドだと70%減少に留まる)
一方で、上記のように半減期がかなり長くなるため、副作用発生リスクというのも高まるのは容易に想像できるのではないでしょうか。

なお、いずれの薬剤ともに男性乳がん発症リスクとの関連性を示すデータは集まっていないようなので、心配する必要はないと思います。
(Duijnhoven RG, Straus SM, Souverein PC, et al. Long-term use of 5 α-reductase inhibitors and the risk of male breast cancer. Cancer Causes Control. 2014;25(11):1577-1582.)

植毛手術を受ける前に無視されがちですが、植毛手術はやはりAGA治療薬(5α還元酵素阻害薬)を内服することは大切です。

植毛手術はAGAや薄毛の進行を予防することはできないからです。

自毛植毛は、あくまで、髪の毛の引っ越しにとどまる、AGAの進行を予防することができないというのが植毛手術の限界です。

現状では、植毛と同時にリスクを許容しながら、内服薬(フィナステリドあるいはデュタステリド)を内服しておくことが必須とも言えるでしょう。

次回は、フィナステリドの副作用について述べていきます。

アルモ形成クリニック HP  
薄毛でお悩みでしたら、ご相談ください。
↓↓


植毛医 内田直宏 アルモ形成クリニック 公式LINE
↓↓

自毛植毛に関するお悩みや個別のご質問はこちら
↓↓
なおるん薄毛相談室(質問掲示板 無料会員制)

植毛医 内田直宏のinstagram
↓↓

植毛医 内田直宏のYou Tube
↓↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?