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12/25-1/3 『Saltburn』、年末年始_s

『Saltburn』

 『プロミシング・ヤング・ウーマン』のエメラルド・フェネル監督の作品。前作は話題になっていたようだったけど、今回はあまり注目されていない。アマプラで検索をかけるとなぜかタイトルでは出てこず、監督名で検索したら出てきた。これも要因のひとつではないかと思われる。エリート名門大学に進学したイケてない若者が、自らを不幸な生い立ちと設定して関心を引きながら貴族出身の人気者である同級生にすり寄って次第に打ち解けて家(豪邸というか城)に住ませてもらうほど親しくなるが、次第に真実が明るみになって…というようなストーリー。男性同士の友情とも恋愛ともつかない微妙な距離感が出ていて、終始スリリングな雰囲気が漂う。それに男性間の嫉妬や妬みを、同性愛的な愛情や欲望といっしょくたになっているものとして描いているのは画期的だと思った。裕福な人たちが暇すぎて貧乏人に興味津々というところも、なんだかリアルにありそう。ただ少し気になったのは意図的にそうしたのかもしれないけど、主人公がまわりに嘘をついているということが明るみになるのが、大どんでん返し、というわけでもなく徐々に分かるというところが、これはこんな感じで明るみになるだけでいいのか?というところ。前半、貴族の友人が部屋を紹介するシーンでは、広い豪邸(城)の内部をカメラが滑らかに後を追うのだが、長いシーンなのにまったく飽きない、ずっと観ていたいくらいで、あーこの監督このシーン撮ってる時たぶんめちゃくちゃノリノリだー!という感じだったから、あれができたらなら後半、主人公の闇が明らかになっていくあたりももっとすごい演出が出来たはずだと思って惜しいなと思った。あと『プロミシング…』の時ほどではないけど、画面の色使いが時々ビビッドで素敵。目が喜ぶ感じ。観ちゃう。役者は有名なのかもしれないが、よくこんな人見つけてくるな、という感じで、主人公の特徴的な顔つきも合っていた。

帰省

 3日連続でヨガに行ったあと、実家に帰った。家族と過ごすのもいい。元旦はこたつに入って祖母の足にぶつかりながらうつらうつらして過ごす。正月くらいそのままじっとしてればいいのだけど、せっかくなので夕方、昔、犬の散歩したりジョギングしていた遊歩道を走った。懐かしい景色や表札を眺めては、あーまだこの建物あるんだなーとか、この人ここに住んでいるんだなーと確認したり。かつてはザ・閑静な住宅街な地元が嫌で嫌で仕方がなかったけど、今になってみると普通に暮らしやすいいいな町だなと思った。ゴール地点に設定していた公園の近くのマンションが緑が豊富で高低差もあり素敵な雰囲気だったので帰って価格を調べたら目玉が飛び出そうになった。現実に引き戻される。

 最近は帰るたびに家族からの聞き取り情報で新しい発見があるが、今回は祖母の家に頻繁に来ていた電気屋さんについての話に、へえーと思ったのでメモ。電気屋さんはMさんといって、私の幼少期の記憶としては、困ったら相談するとすぐに来てくれてなんかおしゃべりして帰るおじさん、として認識していた。Mさんはもう80代で引退されたそうだが、なぜあんなに親切だったのか聞くと、もともと祖父母と母が住んでいた家の通り沿いの電気屋さんに丁稚奉公に来ていた当時中学生くらいの少年だったそうで、駅からの帰り道にその電気屋さんの前を通るので、挨拶したりして顔見知りになったという。その少年が独立し、以来引っ越し後もなんでも相談に乗ってもらっていたそうな。「特に用事がなくても家に来てた」「いつもおしゃべりして帰って行ってた」「ああいう関係性って今はもうないだろうねえ」と母。たしかに。今は何十年も同じ業者の同じ人に何かを依頼する、という文化は絶滅しかかっているだろう。というか、時代なのか、祖父母の家はやたら人が来る家で、家族で遊びに行くと縁側に誰かしらが座って室内にいる祖父となんか楽しそうに話して、お茶のんで「んじゃ!」と言って帰っていくのが普通だった。家族で団らんしていても「ちわー」と言って縁側から来客があってそこに普通に参加してる感じだった。最近は地域福祉とか言って自治体が気合入れてコミュニティスペースを作ったりしているが、もともとはこういう自然発生的なものがたくさんあったんだろうなあ。羨ましいような気がするけど、実際は結構めんどくさかったんだろう(特におもてなししていた祖母の苦労を思うと)。しかし我々ひとり身の老後を思うと、こういう文化を徐々に復活させる必要もあるのではないか、とぼんやり考えたりする。ただ身にしみついてないので、どうやったらいいのかよくわからない。バーチャルに頼る感じのほうがストレスは無さそうだからそういう方向性になるんだろうか。

 連休最後もヨガで締めた。miwaちゃんの日記もそろそろ読みたいなあ。まだかなあ。








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