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10/2-8 言語を変える、オーディブル、さいたま国際芸術祭_s

夏の疲れなのか何日か微熱が続くも仕事を休むほどではなく、いつも通り出社。行き帰りの電車で 「40代 女性 微熱が続く」と検索すると「更年期」の文字が。さすがに早いとは思うけど、そんなワードがヒットする歳頃かぁ、、と目を細めて遠くの山々を眺める。鳥よ。自然界にもあるんでしょうか、更年期が。

そうはいっても我々は男性陣が築いてきた我慢と忍耐の残骸の謎社会にいるので普通に激務。私があと2人くらいほしいナ、、いや、あと2人いても2人とものんびりしたいだろうからあんまり意味ないな、普通に人員が増えたらいいな、やはり他人は偉大だな、とか考える。とはいえ私にも出来ることもあり通訳の真似事をしたり、けっこう楽しい。どうやら英語だと思ってることが抵抗なく話せるみたいで、それは自分の主張をしても失礼に当たらないどころか歓迎してくれる、という文化に合わせるからなのか、言葉の音とか文法のおかげなのかわからないが、とにかく私が私のまま話してるという感じなのだ。権利主張しても引かれないどころかたいていは感心を持って聞いてくれる気がする。日本語で(よく知らない人と)話すときは謙遜したり丁寧にしなきゃという意識がありすぎて思ってることがほとんど話せてないような。意識しすぎなのかもしれないけど。時々自分を開放してあげないと疲れてしまう。

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本を読む量が劇的に減ってる中、上記の英語ブーム?でNYTのポッドキャストを聴いてたらオーディオブックというスタイルを激推ししててオーディブルに登録してみた。昔一度試した時は本の数が少なくてすぐに辞めてしまったが、かなり増えてる。読みたかった市川沙央さんの『ハンチバック』を聴く。性的な描写の部分がちょっと生々しすぎて電車内でイヤホンの音量を慌てて下げる等しつつ、ちょっとこれはやはり文字で読むべきだったと悔やんだ。障がいを持った立場から見た違和感や怒りをストレートに題材にしながらも、ユーモラスな笑いも忘れない。カッコいい。聴き終わってから、ズドーンと突き落とされた感じがして、この感じはなんだろうと思ったけど、しばらくしてこれは私に問いかけてるからなんだ、と思った。漠然とした社会にではなく、私に、問いかけてる。それでいいと思ってるんですか、と。同時にそれは、遥かにパワーが異なるとはいえ、わたしが他者に対して感じてきた違和感や怒りと共鳴するようなものであったとも感じた。作者に比べたら本当に些細な怒りだとは思うけれど。健常者と言われる立場である自分は、障がいを持っている人がたちがどんな日常を経験しながら生活しているのかを、知っている人や出会ったことがある人から見聞きする話をつぎはぎさせながら、想像して考えることしかできないけど、考えることすらやめてしまうことがないか。楽なほうに流されて誰かを追いこんでないか。ちゃんと見られてる。しっかりしないといけない。

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mちゃんに誘われてさいたま国際芸術祭のテリーライリーライブへ。人混みの大宮駅で右往左往して気持ち悪くなったところでmちゃん到着。google map で行き方を調べてながらまたしても知らない町で右往左往するふたり。途中、間違えて台湾喫茶に向かうなどハプニングもありつつ無事に会場に着いた。

向かいの珈琲店でコーヒーをゲットしたあと会場に入る。黒服の人がたくさんいてあまりこういう催し物に慣れてないのでちょっと怖かった。スタッフさんの数が多くて気合い入りようが伺えた。入り口でキュートなテリーさんグッズ売ってた。舞台に巨大な植物が生えていて背景が透明な板で仕切られていて、舞台裏が見てるようになっている。そういうコンセプトなのだとmちゃんの解説を聞く。ライブはスペーシーで大きな抽象画の中にいるみたいだった。音楽やる人は音で表現してるんだ、近くに置いたり遠くにやったり形を変化させたりして全体を形作ってるんだなとあたりまえなことを思った。途中で叙情的なフレーズが入るかと思ったり、また背景のような音に変わったり。ここ数ヶ月はなるべく感情を揺さぶられたくなくて音楽を避けていたけど、こういう音なら聴けるかもしれない。終わったあとアンコールの拍手があったけど一曲アンコールしたらもう1時間くらいあるのでは、と余計な心配をしたりした。願わくばもっと大きな音で聞きたかったのと、外の、森の中で夜、ハンモックに揺れながら聴いてみたい。気持ちいいだろうな。

脳内が一旦フラットな状態になったような、身体が軽くマッサージされたような感じで会場をあとにして、近くのイタリアンに入る。パスタとピザ食べながら、おすすめの小説やドラマについて語る。我々のやりとりもだいぶ往年の漫才コンビみたいになってきている。帰ったら久しぶりに深い深い眠りについて一度も目覚めず朝になった。

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