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12/19-24 往復書簡を読んで、山納め_s

松本俊彦さんと横道誠さんの往復書簡

大変読み応えあり、カンゲキしてしまった。お二人とも、畏れ多くも、現場の片端の方にいる私なんかが感じるあらゆる違和感を、言語化してくれている。

私は前々からアルコール依存症治療について「少しでも飲んだらアウト」というプレッシャーが、かえってアルコール依存症者にもの凄い重圧を与えてしまっており、多くの人を治療から遠ざけてるのでは、と思っていた。やり方がマッチョすぎるというか、なんかへんだなぁと思ってた。文章の中ではイギリスのホームレスの炊き出しでアルコールを提供するが飲むためにはその前に栄養ある食事を摂らないといけないって話もあり、なるほど、世界の取り組みはやはりだいぶ先を行ってるんだなぁと。

松本さんが書いてる、依存は苦痛の緩和である、っていう記述も、重要なのは対話や繋がりって話も、めちゃくちゃ理解できる。自己治癒って本当、そうそう、そうなんだよと思った。私が今まで(公私問わず)接した依存症(と、呼べる状態)の人は、背景に過酷な子ども時代や暗い過去がある人が何人もいた。アルコールも薬物も快楽だと思われてるけど、ほとんどの人は全然楽しそうじゃない。むしろずっと苦しそう。いろんな人のいろんな話を聞いてると、大変な苦痛を抱えながら生きなきゃいけない中で、さして他人に迷惑がかからないアルコールや薬物に溺れてなにが悪いんだろう、それ以外に苦痛を和らげる方法がないのに、じゃあほかにどうすれば苦痛が和らぐの!?と思ってしまう。やめろやめろというばかりで、傷口は開きっぱなしで、支援サイドが優等生的な価値観を押し付ける感じに違和感があった。苦痛なんか想像しもしない人たちが、生まれた時から暴力や貧困の中にいたせいで今もギリギリの生活を強いられてる人たちに、辞めないと人間じゃないぞ、ほかに方法はないぞ、って圧力を暗にかけてくる、あの感じ。それってすごく傲慢なことなんじゃないかって。

すごく過酷な人生を歩んできた人の話を聞くと「私だったら、どうか」ということを常に考える。愛されるべき親から毎日暴力を受けたらどうか、学校の授業についていけなかったらどうか、馬鹿にされたり、排除されたり、ひたすらそうした経験を重ねてきて、それでも「しっかりしろ」というメッセージを毎日浴び続けたら?耐え難いし、しっかりするどころか簡単に何がしかにハマっていってしまうだろうと思う。この年齢までは生きてないかもしれない。私なら、よく生きてきたねってまずは労って欲しい。話を聞いてほしいと思う。

全ては理解できなくても、ちゃんと今までの辛かったことと、幸せだった瞬間、楽しいと思えることを知りたい。いつもは怖い顔でいる人が、昔の話をしてフワっと力が抜けるように表情がほころんだ時、あぁ嬉しいなぁ、もっとこんな表情が見たいなぁ、と思う。ひとときの付き合いかもしれないが、少しでも「まだ、自分の話を聞いてくれる人がいる」と思ってほしい。価値観の押し付けをして、より絶望してしまわないように。

まあ、そんなことは少しも書いてはいないが笑、きっとちゃんと対象者の話を聞いて信じていなければ、自己治癒とか、背景に苦痛がある、という考えには至らないと思う。きっとお二人はちゃんと、人として向き合っているんだって思うと、私が密かに我流でやってきたことも案外的外れじゃなかったのかもって。心強かった。

ADHDの人が大麻を吸って自分をちょうど良い塩梅に保ってラッパーやってるって分析はなるほどと思った。依存症ではないけど、ある意味私にとっては、他者の話を聞くことが自己治癒なのかも?とか一瞬思ったけど、依存症=自己治癒って、「自分にとって不利益なこと」を行ってることに「治癒」って付けてるとこがミソなんであって、話を聞くのが治癒って、他者と接してれば自分自身が相対化できるわけだから普通にただ他者の力なのかもしれないが。

山納め

今年は秩父へ。朝。とにかく寒い。12月の秩父は、寒い。こんもりした丘のような山のような尾根道を上ったり下りたり。下調べでは眺望なし、地味、とさんざんな書かれようだったが、全然楽しめた。街は見えるし、快晴の空に、遠くは赤城山も。キラキラした石の内側が白い結晶みたいになってた。動物のフンが落ちてた。たくさんドングリも。14時台には電車に乗り、帰りは祭りの湯デビュー。温泉の入り口でおじさんに話しかけられたが、前も秩父で声かけられた人だった。2回目...。各地に点在する、声かけおじさんたち。そろそろZINEが発行できるくらいの情報量になってきた。おじさんたちは、①知識・経験語り系②ワンチャン下心系③暇を持て余してる系がある気がする。今回は電話番号教えるからうちに来なよ、などアグレッシブ路線だったので②だな、と判断して丁重に断る。②の場合、引き際は早い。おじさんたちは8割型は善意のようなので、いつもはありがたく話を聞くことが多いが、②だけは唐突な場合が多くかなり警戒している。温泉に映像が映し出されてクラブみたいになってた。楽しかった!

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