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<アカデミー賞ノミネート記念スペシャル>TALK TALK CINEMA~映画 PERFECT DAYSと映画を楽しむ5つの視点~ 第1回 ゲスト:佐渡島庸平氏


2023年12月22日に日本公開した映画『PERFECT DAYS』。
ヴィム・ヴェンダース監督が役所広司を主演に迎え、東京・渋谷を舞台にトイレ清掃員・平山の日常を描く。

映画『PERFECT DAYS』をさらに掘り下げ映画としての新たなおもしろさを発見すべく、ヴィム・ヴェンダースとともに共同脚本・プロデュースを担当した高崎卓馬氏をメインに「TALK TALK CINEMA~映画 PERFECT DAYSと映画を楽しむ5つの視点~」と題し、トークイベントが2月3日(土)福岡・六本松 蔦屋書店にて行われました。福岡を皮切りに、東京、京都、高知、北海道の全国5箇所で開催します。

第1回 六本松 蔦屋書店(福岡)のテーマは「プロデュースの技術」。編集者としてこれまで「ドラゴン桜」や「宇宙兄弟」など数々のヒット漫画を手掛け、現在はクリエーター・エージェンシー・株式会社コルクの代表を務め様々なプロデュースを手掛ける佐渡島庸平氏をゲストにトークセッションが行われました。

満席となった会場に、まずは高崎氏が登場。本企画の趣旨や映画『PERFECT DAYS』の現状について話したあと、自身が刺激をもらえる相手のひとりであるという佐渡島氏を迎えた。福岡出身の高崎氏と現在、福岡在住の佐渡島氏という不思議な縁をもつふたり。

イベント会場となった六本松 蔦屋書店には普段から来店しているという話から、受動的コンテンツが多い現代で、 “本を選んで読むこと”、“映画を映画館に観に行く”という、能動的なクリエイティビティーについての話題に。

高崎「この映画は、携帯や端末で観ると少し得るものが変わってしまうかもしれない。大きなスクリーンで2時間集中して観るからこそ、小さな変化を大きく感じることができたりする。そこが映画の面白さでもある」

佐渡島「いま、効率を求める人が多い時代ですけど、ゆっくり時間をかけて何かをするということで見えてくるものがあるんです。僕は編集者に教える時に、作家が書く速度で読むことができるかを課題にすることがあります。作家が1週間かけて20ページ書いたものを1週間かけて読むことで、作家が何を伝えたいのかがわかってくるのだと教えます」

効率化、時短、要約が求められる現代において、創造に必要な第一歩が共通していることで話は様々な方向へ。この寄り道話がおもしろく、参加者からも笑いがこぼれ会場は和やかなムードに包まれました。

本作は、通常の映画作品の制作を始める際に用意する企画書もなくスタートしたとのこと。その理由は、最初はいわゆる商業映画を作ろうとは思っていかなったからです。だから映画作りのセオリーをあまり踏襲しないで作っていった。それがこの映画を何か特別なものにした気がします。

そして、ヴィム・ヴェンダースに監督を依頼した経緯やキャスティングなど、チームづくりのポイントを語っていた高崎氏。

実際にプロの清掃員と一緒に渋谷のトイレ清掃をしてまわったというエピソードやヴィム・ヴェンダース監督からもらった教えに感銘を受けたことなど、これまでにインタビューなどでは語られなかったたくさんの経験を話してくれました。

今回のテーマである「プロデュースの技術」では、数々のヒット漫画を世に送り出した佐渡島氏に、どのようにしてヒット作に導いていくのかというダイレクトな質問など、なかなか聞くことができない内容に。

佐渡島「自分で提案することはほとんどないですが、編集者として考えるのは、その作品をどう社会とマッチさせていくのかということですね」

佐渡島氏の会社がミッションとして掲げる「物語の力で、一人一人の世界を変える」の具体的な話など、まさに高崎氏だから聞ける突っ込んだ内容で、参加者も興味深く耳を傾けていました。

また本作でもうひとつのメインともなりうる音楽についても監督が「脚本を作りながらDJをしているようだった」というほどセレクトについてのこだわりがあったことを話してくれました。

本来予定していた時間をオーバーするほどに盛り上がりを見せたトークセッション。全国5箇所でのイベントも、日々アップデートした映画情報もあわせて盛り上がりをみせていく予定です。

オノセイゲン氏とは、日本と海外の音のつくりかたのちがい、映画のサウンドデザインの考え方を。安藤桃子氏とは、映画づくりの根源的なエネルギーのもちかたなど。中井圭氏とは、批評が育てるものについて。批評的な映画の見方の面白さについてなど。今後の視点のちがうトークイベントにご期待ください。

「TALK TALK CINEMA~映画 PERFECT DAYSと映画を楽しむ5つの視点~」は、
①「映画と⾳」
・会場:六本木 蔦屋書店(東京):2024年2月16日(金)19:00~20:30
・定員:会場40名/オンライン200名
・特別ゲスト:オノ セイゲン
➡①六本木 蔦屋書店(東京)の会場参加チケットは満員御礼のため、申込み受付を終了しました。

■他会場
➁「プロデュースの技術」 ※終了
・会場:六本松 蔦屋書店(福岡):2024年2月3日(土)17:00~18:30
・定員:会場40名/オンライン200名
・特別ゲスト:佐渡島 庸平

③「インディペンデントの意義」
・会場:高知 蔦屋書店:2024年2月17日(土)15:00~16:30
・定員:会場50名/オンライン200名
・特別ゲスト:安藤 桃⼦

④「映画と国境」
・会場:京都 蔦屋書店:2024年2月21日(水)19:00~20:30
・定員:会場40名/オンライン200名
・特別ゲスト:石川 慶

⑤「映画と批評」
・会場:函館 蔦屋書店:2024年2月23日(金)13:00~14:30
・定員:会場40名/オンライン200名
・特別ゲスト:中井 圭


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