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Ponde
2018年4月20日 22:23
「プラモデルの塗装なんて何が楽しいのかしら」そう言って、形のいい爪にふぅと息を吹きかけながら彼女はテレビを一瞥。けれど僕の視線の先にある彼女の爪は、綺麗なピンク色に彩られていて。これから更に上塗りするらしい。「君のそれもあまり変わらないと思うけれど」「んま、失礼ね。そう言うなら貴方のそれもおんなじ」君こそなんて失礼な。「絶対あげないから」とそっぽ向くと、僕はチョコレートたっぷりのザ
2018年4月12日 12:46
「一体どこまで行くつもりなんだい」「もうちょっと」僕の声なんて聞こえていないかのように、彼女は知らない道をどんどん歩き続ける。「ふたりで行きたいところがあるの」だなんてお誘いに、ほんの少しの期待を寄せてふたつ返事でOKしたものの、今僕がいるのはオシャレなお店でもアパートの一室でもなく、もう見渡す限りの大自然で。こういうのも悪くはないけれど。歩きながら適当に見渡すが、目ぼしいものは特にない
2018年4月12日 01:26
過去のもの寄せ集め———「書いてあるアドレスをタップしたら携帯がおかしくなったのよ。見て!」 そういって彼女が突き出してくるスマホの画面をまじまじと見つめる。異形、異質、異物、異色、異音…悲しいことに、一目でわかった。 「随分な災難だな。この世のURLじゃないよ、これ」 『URL』———軽く力を入れれば、ぷつりと音を立ててフォークの先端が柔らかな肉に食い込む。美しく光る
2018年4月12日 01:11
ランダム辞書で出た言葉がお題———「出したものくらいキチンと片付けなさい」仕事帰りにスーパーで買ってきた食材を冷蔵庫に入れるのも忘れて、一番下の娘を叱りつける。なにせ、彼女がこの家一番の散らかし職人であったから。ところが娘はオモチャを弄りながら柔らかい頬を膨らませた。「私じゃないもん」どうやら見当違いだったようで、機嫌を損ねたらしい。先程まで宝物のように抱き締めていたウサギのぬ