見出し画像

安易に満足し その場で留まらないこと

こんにちは。
幼い頃から何かにつけて「妹の分際で」とか「分を知りなさい」とか、叱られていた baker Bitteです。

いつの頃からか、自ら「分相応」を考えるようになりました。 

実に思考と言うものは、刷り込みと自己暗示だと思います。

・・・・・・・ 

しかし、店を経営する身となってからは、
この「分相応」と言う言葉が思考の邪魔をします。

今一つ!
ほぃ!もう少し!
掛け声だけで、行動はと言うと、ちんまりとその場で留まったまま。

せっかく出たはずの「突き抜けた発想」でさえ、
時間の経過と共にジリジリと引っ込めてしまう。 

あぁ体たらくていたらくな哀しい自分。

・・・・・・・・・・・・  

先ごろ、私の店はリニューアルオープンしました。
何が新しくなったかと言えば、売り場に鎮座する如何にもパンが並んでいそうなショーケースが、この度、台(テーブル)になりました。

そして菓子皿に焼菓子が並ぶようになりました。
当然と言えば当然です。

が!しかし
今なお人々の記憶、情報は更新されません。

情報細分化の昨今、この小さい店の情報を〝アップデートして下さい〟などと
言ったところで、それは無理と言うものだ。

・・・・・・・

お客様の来店は「パンありますか」のセリフから会話が始まる。
都度、昨年夏よりパンは焼いていない旨を説明する。

しかも、ここらでこの周辺地域でソウルフードと言われる、香りも甘いミルクバターが分厚くサンドされたソフトな「牛乳パン」が、この店にもあると思ってのご来店だったりする。

申し訳ありませんが、当店はソフト&スイートなパンをお出しした経験はありません。(趣味では作るけど)
当店に並ぶパンと言えば、ここらでは「そんなもん誰が食べるんだ?」と言われるクセツヨのライ麦パンだけでした。

…過去の経験すら間違って伝わっている。
今、リニューアルを意識しているからこそ、なお悲しい。

・・・・・・・

さて、一新の店内。
新しいテーブルには、誰もが知っているメニューを目貫きに配置したくなるものです。
そして発酵菓子とか、誰も知らない(であろう)メニューは、こっそり隅に。

何故なら、自分が知らないもの、想像の付かない味には興味を持たないもの。
これが保守的な地域の普通であり、広くを見渡しても一般的な思考だと思うから。

・・・・・・・

それでリニューアルしたこの店は、このline up で満足なのか?
一瞬、一瞬、自問自答するのです。

これで良いの?

これが自分が目指した地点なの?

・・・・・・・

否、これで良いハズがない。

この line upで、満足出来るワケがない。

だって…「世間で人気」と言う理由で作っているのだから。

本当に人気か?
それすら知らない。
自分が美味しいと思っているのか?
実はあまり美味しいものではないと感じている。
正直に言えば、美味しいと思ったことがない。
どうしてこれが、それほど人気なのか?が、分からない。

それでも自分なりに工夫を重ね、美味しいと感じられるまで突き詰めた。
そして「商品」になった。

・・・・・・・

それにしても「世間で人気」を意識したline up だなんて…。
どれほどマイナーなことばかりやって来たか?の表れだけど…。

それでも安易な発想で揃えたline up で満足しないこと。
これで安泰とばかりに、一所に留まらないこと。

ところで、このマイナーな店が世間に迎合するような商品を
誰が期待しているだろうか?
こんなことさえ考える。

いづれにしても、求められるのは推進力。

「作る」が本業だが、「作る」だけでは終わらない。
いろいろな力が求められると言うものだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?