安易に満足し その場で留まらないこと
こんにちは。
幼い頃から何かにつけて「妹の分際で」とか「分を知りなさい」とか、叱られていた baker Bitteです。
いつの頃からか、自ら「分相応」を考えるようになりました。
実に思考と言うものは、刷り込みと自己暗示だと思います。
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しかし、店を経営する身となってからは、
この「分相応」と言う言葉が思考の邪魔をします。
今一つ!
ほぃ!もう少し!
掛け声だけで、行動はと言うと、ちんまりとその場で留まったまま。
せっかく出たはずの「突き抜けた発想」でさえ、
時間の経過と共にジリジリと引っ込めてしまう。
あぁ体たらくな哀しい自分。
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先ごろ、私の店はリニューアルオープンしました。
何が新しくなったかと言えば、売り場に鎮座する如何にもパンが並んでいそうなショーケースが、この度、台(テーブル)になりました。
そして菓子皿に焼菓子が並ぶようになりました。
当然と言えば当然です。
が!しかし
今なお人々の記憶、情報は更新されません。
情報細分化の昨今、この小さい店の情報を〝アップデートして下さい〟などと
言ったところで、それは無理と言うものだ。
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お客様の来店は「パンありますか」のセリフから会話が始まる。
都度、昨年夏よりパンは焼いていない旨を説明する。
しかも、ここらでソウルフードと言われる、香りも甘いミルクバターが分厚くサンドされたソフトな「牛乳パン」が、この店にもあると思ってのご来店だったりする。
申し訳ありませんが、当店はソフト&スイートなパンをお出しした経験はありません。(趣味では作るけど)
当店に並ぶパンと言えば、ここらでは「そんなもん誰が食べるんだ?」と言われるクセツヨのライ麦パンだけでした。
…過去の経験すら間違って伝わっている。
今、リニューアルを意識しているからこそ、なお悲しい。
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さて、一新の店内。
新しいテーブルには、誰もが知っているメニューを目貫きに配置したくなるものです。
そして発酵菓子とか、誰も知らない(であろう)メニューは、こっそり隅に。
何故なら、自分が知らないもの、想像の付かない味には興味を持たないもの。
これが保守的な地域の普通であり、広くを見渡しても一般的な思考だと思うから。
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それでリニューアルしたこの店は、このline up で満足なのか?
一瞬、一瞬、自問自答するのです。
これで良いの?
これが自分が目指した地点なの?
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否、これで良いハズがない。
この line upで、満足出来るワケがない。
だって…「世間で人気」と言う理由で作っているのだから。
本当に人気か?
それすら知らない。
自分が美味しいと思っているのか?
実はあまり美味しいものではないと感じている。
正直に言えば、美味しいと思ったことがない。
どうしてこれが、それほど人気なのか?が、分からない。
それでも自分なりに工夫を重ね、美味しいと感じられるまで突き詰めた。
そして「商品」になった。
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それにしても「世間で人気」を意識したline up だなんて…。
どれほどマイナーなことばかりやって来たか?の表れだけど…。
それでも安易な発想で揃えたline up で満足しないこと。
これで安泰とばかりに、一所に留まらないこと。
ところで、このマイナーな店が世間に迎合するような商品を
誰が期待しているだろうか?
こんなことさえ考える。
いづれにしても、求められるのは推進力。
「作る」が本業だが、「作る」だけでは終わらない。
いろいろな力が求められると言うものだ。