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そうだ!シンプルに行こう!

いきなりですが、一本の電話から、思考が確変!した私。

えっ?パチンコではありませんよ!

ただ、これからこう言う発想で進んだら、良いんじゃねぇ?
こんな気がする出来事だった。

先日、電話が鳴りました。
その内容は、それはそれは遠い記憶に格納された、過去メニューの問い合わせでした。

古い記憶を巻き戻し…
「そう言われたら、そんなお菓子を焼いていたこと、あったっけ」
自分、結構、イイカゲンです。

電話を受けた時点では、このように電話をしてまでのご来店とは、今時、何と有難いお客様かと涙が出そうでした。

すると「今日は、あのお菓子、ありますか? 頂きたいのですが」
この声を聞いた途端、平身低頭になりました。

何故なら、そのメニューは既に作っていないから。
と言うより「その食感の類」は、以降、焼いていないから。

事情を話すと、少々トーンの下がった、がっかりな気持ちが見え隠れする声で「営業時間内に伺います」と仰る。

はぁ〜困った。
ご来店は有り難いけど、残念な思いをさせてしまうじゃないか!
そのレシピは、レシピ帳から外してしまっていた。

こんな時は、普段なら決して見られない機敏な決断と行動力にスイッチが入る。
火事場の馬鹿力的な…。

それからの自分の動きは記憶にない。

ただ、そのお客様の来店前には、ご希望のメニューに限りなく近い菓子が焼き上がっていた。

そして、歓喜の声を聞いた。
そうだ!この声を聞きたかったんだ!
この満面の笑みを見たかったんだ!

嬉しいじゃないか!

そればかりじゃない。
最も喜んでいたのは、電話をかけたお客様ではなく、
連れていた10歳くらいの女の子だった。

「この子がね、美味しい美味しいって全部食べちゃって、だからまた来たの」と、電話の声の母親が言う。

子供から〝はなまる 💮〟 を貰えるなんて、嬉しいじゃないか!

何故なら、子供は残酷なまでに正直だからだ。
美味しいと感じたものは親に強請る。
リピートする。
だが、そうではない場合、遠慮会釈無くどころか、全く以って拒否をする。

純粋な子供の味覚に認められたということは、菓子屋冥利に尽きるというものだ。

やった!
やった〜!
滅多に、使わない台詞が口からこぼれる。

そうだ!
シンプルで行こう。
これでイイのだ。

そして今日、気持ち新たにザクザク食感の菓子を焼いた。




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