【ベース】レコーディングで気をつけていること10選
無料配布しているパラデータを元にした、コラムです。
▼前提
「弦を新品に張り替える」「チューニングを合わせる」といった、DAWをさわる前段階は省略。DAW上での録音スタート以降に話を絞りました。環境としては、自宅でDAWを使ってセルフレックするような場面(DTM)を想定しています。
①録音設定の確認
まずは録り始める前に、以下3点の確認。
・プロジェクトの設定(kHz/bit)
・モノラルトラックになっているか
・クリッピングしてしまわないか
2系統で録る場合でも、録音段階で2つの入力値をギチギチにそろえなくてOK。結局後でプラグインかけたり調整したりするので。
※ステレオエフェクトをかけ録りする場合などは、ステレオトラックで。
②クリックパターンの調整
自分はスネア(裏拍)をメインに感じながら弾きたいので、なるべくクリックアクセントを裏にしています。
表クリック:"ピ"コココ
裏クリック:ココ"ピ"コ
(……これ、伝わりますでしょうか🙇)
クリックをドラムっぽく聴きたいので。とはいえ裏クリックで鳴らすと弾きにくくなるフレーズは、普通に表拍で鳴らして録ります。
曲調次第で、アクセントの周期を変えたり、逆に減らしたりもします。
表クリック:"ピ"コ"ピ"コ
裏クリック:コ"ピ"コ"ピ"
など。クリックパターンの調整は、常に選択肢に入れています。
③フレーズ頭よりも、終わりに気を配る
フレーズの入りよりも、終わり際が重要。
例えば「000、000、」という刻みの場合、3個目と6個目の0をちゃんとピッキングできているか。
経験上フレーズの「入り」が合うように弾く人が多いですが、ぶっちゃけ入りは後で編集しやすい。
入りのズレよりも、間が詰まっていたり、後ろが揺れてたりの方が、エディット大変です。
入りは自然と気をつけるし分かりやすいからこそ、終わり際に注目。
「無駄な音をカットする」は簡単ですが、「鳴ってない音を作る」は難しい。
④全体がズレている場合は、全体ごとズラす
「入りがズレた!」
「終わりがズレた!」
それだけでテイクを消しちゃうのはまだ早いです。いったんテイク全体ごとズラしてみると、意外とハマるかも。
例えば「走りがち」と「リズムが揺れる」のは微妙に違うと思っていて。テイク全体が均等に走っているならば、丸ごと後ろにズラせば解決。
もちろん明らかにブレているならともかく、「ニュアンスは良い感じだったのになぁ」みたいなときは、「全体ズラし」も1つの選択肢。
⑤録るフレーズの前後も弾く
録りたいフレーズは、少し手前から弾き始めて、少し越えてから止めます。
目的のフレーズだけを弾いてしまうと、エディット時に空白ができやすい。
例えばNorthern Wingsのリフ入りは、2つのテイクをつなげています。オレンジ色の部分と、その後のブルーは別々のテイク。
音源で聴くとこうなっています▼
こういう切り貼りのフレーズを録るときは、無理にすぐに止める必要はありません。
つなぎ合わせる前の、オレンジの元テイク尺▼
終わり際、少しだけオーバーしています。最初から複数テイクをつなぎ合わせる気ならば、割り切って、最後の音は伸ばし気味に録っておくとはかどります。
⑥一音ずつ録音する
弾けるフレーズでも、ときには一音ずつ録ります。
※もちろん「ポジション移動のニュアンス」をあえて出したい場合は別です(スライドやグリッサンドなど)。
例えばNorthern Wingsの中間リフ、間に入る開放弦0を、切り貼りしています。
土台になっているテイクはこちら▼
間の5弦0を抜かして弾いています。波形がこちら▼
この隙間に、別で録った開放弦0(オレンジ)を切り貼りしています。
切り貼りした結果が、パラデータで聴ける完成形(2:16~あたり)です。
このリフは通しで弾けますが、音源上は一音ずつ録った方が、より音符の並びが伝わるので。整合性に重きを置くのであれば、一音ずつ録ることに何ら問題はありません。
もちろん各人の音楽観や曲調によりますが、僕は「一音録り」多用しています。音域移動がキレイに聴こえるので。譜面的な美しさというか、構築性を重視しています。
⑦チューニングを変えて録音する
ローチューニングが安定しないときは、録音時だけチューニングごと変えるのもアリです。
開放弦以外でもできます。例えば5弦7フレットが安定しない場合、5弦のチューニングを半音上げて、目的の音域が5弦6フレットに来るようにする、など。
⑧ポジションを変えて録音する
曲の場所によっては、同じポジション(フレット)を使っているのに、違和感を覚えるときがあります。「1サビと2サビで同じフレーズなのに、2サビの方がなんか変」みたいな。
今回のパラデータでいうと、Southern Crossの42小節と46小節の出だしは同じ音(DAWで見ないと分かりにくいですねスミマセン)。ですが、前者と後者で弾くポジションを変えています。
全体の響きがしっくり来なくて、同音異弦の4弦テイクへ差し替えた結果が、42小節と46小節の違い。42小節は5弦テイク、46小節が4弦テイク。
全体で鳴らしたときの違和感であれば、ベースではなく「ギターテイク側を変えてみる」選択肢もありますね。1サビと2サビのテイクを差し替えるとか。
現実的にはフレーズの運指上不可能な移動でも、その方が響きが良くなるなら、レコーディングではポジション変えて弾きます。
⑨奏法や弾き方に縛られない
例えばSouthern Crossは、ピック弾き以外もやっています。サビ終わりのエフェクトトラックは、指弾き。112-113小節の2音は、スラップ。
エフェクトトラックのフレーズは、高音弦側で音が細くなりやすいので、ネックに近い位置でピッキング。
というように、録音時に、適宜奏法や右手のポジションを変えています。
フレーズによってピックの種類を使い分けるのも良いですね。例えば、ブレイクダウンを弾くときと、ハイポジでメロディアスなフレーズを弾くときで、使い分ける。
ピック弾きであれば「オルタネイトで波形が揺れる⇄ダウンだと波形が揺れない」プレイヤーもいます(逆パターンもしかり)。どちらも試せるテンポならば、録り比べるとより正確な弾き方を選べます。
⑩よく使う音域は素材テイクを録る
エディット段階になって、「あれ、微妙にチューニングがずれてる」「謎のノイズが入ってた」などたまにあります。後になって気づくパターン。
そんなときのために、よく使う音域の素材テイクを録っておきます。「フレーズ丸ごとの予備」とは別の趣旨。
例えば
・5弦開放を伸ばした音
・4弦開放を伸ばした音
・5弦8フレットを伸ばした音
など。
白玉メインで録っておきます。白玉なら短く切ることで、短いフレーズにも転用(切り貼り)できるので。
こうして録っておいた素材を、「このテイク、気になるけど全て録り直すにはちょっと……」な状況時に使います。例えば、つい力んで一瞬ピッチが上がっている場所を差し替える。
もちろん「素材テイクは使わないで終える」のが理想です。念のための策。
同じフレーズを複数テイク保持しておくのも良いです。が、全部同じ現象起きてるパターンあります。つまり、複数テイク録っていたとしても、「ピッチが上ずる場所が同じ」になってたり「ノイズが出るタイミングが同じ」だったりする。
もちろん録り段階で完璧なテイクを録れれば良いんでしょうが、自分は、そこまで完璧な耳や腕があるわけじゃないので。
素材テイクは録るのに時間もかからないから、(それが無いときの)リスクを考慮して、録るようにしています。
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というわけで、以上10項目。
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