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Never Back Down - Downfallを正直レビュー

Never Back Downの3rdアルバム『Downfall』を聴いた感想を正直に書く回です。1曲ずつコメントした後、アルバムの総評をしていきます。

一リスナーとして、ただただ好き勝手に感想を述べるだけなので、ご理解の上よろしくお願いします。



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1: "In Time"

次曲と関連性のあるオープニングSE曲。世界観構築という視点から理解はできますが、やや分け方が中途半端かなと(次項参照)。1stアルバム1曲目みたいな、挨拶代わりのブレイクダウンチューンがきてほしかったですね。


2: "Golddigger"

1曲目と分けたのにもかかわらず、バンドインが遅い。1曲目のSEで1分も消化するメリットが浮かばなかったです。これなら、0:26のボーカルインから曲が始まっても良かったのでは。

「そしたら2ndアルバムの始まり方と同じになっちゃうよ!」という声もうなずけますが、だとしたら1曲目はそもそも無しにして、この曲から始めても充分成立するかと。バンドイン以降も少々イントロがあるため、個人的にはそれで充分期待感は煽れるかなと。

0:46のAメロでギターを抜いて、そのままサビ1回目まで歪みギター無しで進めたのは流石。このあたりは、バンドを1stアルバムから支えてきたプロデューサーのTimo Banner (Our Mirage) の入れ知恵かなと。Timoはエンジニアでもあり、本作では全曲にソングライターとしてもクレジットされています。

2:00からのフィルターギター投入も流石。「リズム隊だけ→リズム隊+フィルターギター→バンド全体」という分かりやすいビルドアップ展開。ここでフィルターエフェクトかけておかないと、「リズム隊だけ→バンド全体」の二段階進行になっちゃうんですよね。三段階にならない。

3:11ブレイクダウン周りのリバースVo、エフェクトディレイ、インパクト音の追加などは、もうただただ安定の「Timo節」炸裂。

曲尺が実寸より少し長く感じましたが、アルバム全体に期待が持てる幕開け。



3: "Call to Arms"

3枚目の先行シングル。なんか今作から一気にBreathe Atlantisっぽくなりましたね。この曲も前曲で触れたギター抜き(ベース残し)が見受けられます。アレンジ癖かな。

乗りやすいビートとシンガロングを軸に進行、例によってブレイクダウンはTimoのミックス手腕ぶん回し系。1:40のボーカルディレイ、こういうとこ絶対外してこない。そしてそれと同タイミングで一瞬登場するリードギターは、序盤0:49に出てくるフレーズの伏線回収となっています。憎いアプローチだ。

サビやCメロの歌メロは少し入れ組んでいますが、シンガロングが分かりやすい分、曲全体でバランスが取れていますね。もし歌メロまでキャッチーにしすぎてたら、安っぽい印象になっていたかなと。

ちなみにどうやら本作からギター隊がチェンジ。新加入のギター&クリーンボーカルDaniel Bisic、素晴らしいです。前任者の淡泊な感じも違和感なかったですが、Danielの加入により歌の魅力が爆増しております。もう1人のギターMarvin SchattevoiはMediokristとの掛け持ち。



4: "Marigold"

この曲のように、リフワークがほどよくメタルコアに接近したのが、本作の良いところ。それでいて、時折1stまで彷彿とさせるフレージングが好印象。体感0/1/3/4フレットしか出てこなかった1stの音階癖を、良い意味で残そうとしている。

今作のサビのメロディを誰が考えているのか分かりませんが、すごいセンスある。2:01~"wish for a brand new start" (かな?) のメロディとか、ハモりメロまでカッコいい。ドイツだからこその叙情性というか。

憂いある歌メロと、小細工なしのブレイクダウンパートのメリハリが、今作最大の魅力。エンジニアTimoの手腕が最前面に来ていた旧作に比べ、まず曲が伝わってくる感じがして楽しめる。



5: "Wrath"

ちょうどいいタイミングでパワータイプの曲。サビのクリーン、音量がシャウトより小さいあたりからも、今曲の意図が汲み取れます。

ただ、役割を考えるとこの曲は0:31~のパートから始めた方が、より"機能"したのでは。どの曲もクリーンのサビでミドルテンポに着地してしまう性質上、もっと2ビートを前面に打ち出した方が、アルバム全体を見渡したときにアクセントになったと思います。

サビのメロディは音階上下ではなく語感で押すタイプなので、メロディがちょっと薄い。バウンシーなリフの代わりに、リードギターがメロディを奏でるパートを入れたら、よりコントラストがついた気がします。ノンメロディックなセクションが多いので、ビートの緩急だけだとやや間延びしちゃうかなと。



6: "Nullity"

DanielのクリーンVoを全面にフィーチャーしたパワーバラード。

シャウトはちょびっとだけ登場。からの意外にもギターソロ! ただしこのソロは正直刺さらず、、。誰か外部から(Novelists FRのギタリストとか)featした方がプロモーション的にも良かったのでは?

それか2作連続になっちゃうけど、曲調的にはTimoを召喚しても良かったかと(Our Mirageリスナーに受けそうな曲だし)。

全体的にコードストロークが多く楽器隊に聴かせどころがないので、もう少しフレーズを作り込んだりキメを設置したりしてくれたら、聴き応えが増したと思います。



7: "Fear Of Failure"

こちらもAメロはお得意の歪みギター抜きですね。サビメロはめちゃクールなのですが、歌がうますぎてキャッチーさに欠ける印象。クオリティ自体はかなり高い曲なので、スーパー欲を言えば、ですが。

アルバム通して「クリーンが複雑+楽器隊はシンプル」のパターンが多いので、「クリーンがキャッチー+楽器隊が複雑」のパターンも聴いてみたい。

(この曲に限らずですが)ベースラインはもう少し人間っぽく動いてほしいですね。「実際にどう録音されたか」の問題ではなく、単純にフレージングがMIDIっぽい。コードからコードへの間にもう少し経過音も入っていれば……。

Motionless In Whiteの新譜とかは、ベースラインもクオリティが高いです。そういう部分に、アメリカの第一線級バンドとの違いを感じる。


8: "Retrospect"

一リスナー目線では、このSEに必要性は感じませんでした。もしかしたらライブを想定しているのかも。ライブの曲間に流すのだとしたら、理解できます。アルバム的にはあってもなくても印象が変わらない=なくても。1曲目もSEなので、曲数をかさました印象を受ける人もいる気が。



9: "Best Of Me (feat. Ifa)"

イントロからカッコよすぎ。ドイツらしい叙情的なサウンドスケープと空間形成、確実に名曲確定。

からの高校球児直系のストレートすぎるリフ~そのままサビへなだれ込みホームラン。そしてサビ後安心安定のブレイクダウン、1:58~うっすら左右を旋回しているエフェクトも渋い。

(この曲に限らず)基本的にサビ直前は音数を減らしてくれるので、サビ頭のインパクトが分かりやすくて◎。このあたりの鉄則はさすがTimo、外してこないですね。

3:39~のブレイクダウン+クリーンVoみたいなパターン、他でももっと聴きたい。バンドの新しい可能性も感じさせた、新旧NBD要素合併ウルトラソング。

ちなみにfeatの女性ボーカルIfaはTwitchのストリーマーで、エンジニアのTimoが彼女の音源も手掛けていたことからつながったようです。



10: "Karma"

お得意の曲構成によるNBD節な曲。0:35のハモりは隙がないアプローチで良いですね。

0:41~サビのリードギター(たぶんタッピング)は、音数を倍にした方が良いと思います。現状4分音符フレーズですが、8分音符周期にする。分かりやすくいうと、フレーズを2倍速にして2周分にする。なぜならメインのリズムが大きめのグルーヴなので、リードは細かく刻んだ方がかみあわせが良いです。どっちも大きいとちょい緊張感が欠ける。

最後のブレイクダウンは1stを彷彿とさせるチンパンジー展開で笑顔。これこれ!


11: "Downfall"

先行シングルカット1枚目。初めて聴いたとき「これ名盤来るかも?!」と真顔たかぶりました!

まずサビのメロディがカッコいい。声もカッコいい。1サビ後のブレイクダウンは、まさにNBD節! 2サビ後のバリエーションが違うブレイクダウンも最高!

4:04あたりで聴こえる、高音ボーカルを伸ばしたトラック配置もお見事。先行カット1曲目にしたのがうなずける名曲です。

め~ちゃくちゃ強いて言えば、0:50~1:08はカットして良かったかも? サビを結構繰り返す都合、1回目のサビにはもう少し早く入っておきたい気がしました。とはいえ、「これぞNBD!」な魅力詰まった最高トラックです。




総評

バンド8周年にしてフルアルバム3枚目、確実に進化を遂げた1枚。プロデューサーのTimoが以前やっていたサウンド(Forever In CombatやBreakdown Bros)の、継承者的存在ともいえる。

アメリカの最先端メタルコア勢に比べたら「トレンド感」は薄いですが、良く言えば普遍性のある曲ばかり。Wage Warの『The Stripped Sessions』みたいなアンプラグド的作品を作れるくらい、メロディは充実しています。

次作も当然楽しみですが、ある意味本作でもうフォーマットは"完成"しちゃってるんですよね。これ以上を出すには、一つ一つのリフやフレーズのクオリティを上げるしか、もはや残されていない。素材の味は、Timoによる調理(ミックス/エフェクト処理)で限界まで引き出されているからこそ。

かなり良い作品だと思うんですが、先行シングル4曲を超えるトラックが、アルバムに1つも無かったのが、惜しまれます。異常に贅沢なことをいうと、歌の上手さも相まってメロディが滑らかすぎるかもしれないですね。良い意味でシンプルな旋律の歌があれば、また違ったのかなぁと。

しかしながら、今時珍しくなってしまった「リフ/クリーン/ブレイクダウンの三種の神器スタイル」は好感しかわかないので、今後も応援していきます。





というわけで、正直レビュー第2回。最後まで読んでいただきありがとうございます!

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それではまた!



▼参考資料(インタビュー)


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