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DTM日和 2023年10月配信号 Beep音とDTM

日々の生活を送っていると、好むと好まないとに関わらず様々な電子音を耳にします。サンプリングを利用した複雑な環境音などが使われる事も有りますが、何かを知らせるアラームのような物には今も単純な電子音(Beep音)が使われています。今日はそんなお話です。

うるさい?

 アラームやはり自然界とは違った音なので異質に感じるのでしょうか。環境音の中でもはっきりと聞くことができます。アラームである以上、ある程度うるさくなければ役に立ちません。
 このBeep音と呼ばれる電子音はかなり歴史の長いものと思われますが、最初はピーピーやピッピッと言ったいわゆるアラームの音で、そのうちクラシックなどを奏でることも多くなったかと思います。メモリーの容量が大きくなってきた80年代、90年代は、目覚ましで様々な曲を選べるようになったり、サンプリングも使われるようになりました。

Beepと音源チップ

 サンプリングはメモリを使ったアイディアですが、当時電子音の方は電子チップで奏でられる事が多く、機能や音質の制限はあれど中身は立派な小型シンセサイザー。という事は、作り手がこだわればかなりの事ができてしまいます。
 よく「昔のゲーム」の音、という感じのあの独特の電子音はこのような電子チップをプログラミングする事で鳴らしています。大昔のゲーム(ファミコンよりもずっと以前です)は無音の物すらもあり、音があっても効果音だけではなくそれこそ「ゲームスタート」や「ゲームオーバー」を知らせるためなどまだ注意を引くためのBeep音の役割もあったと思います。

いつしかゲーム音楽へ

 それも高機能なチップがゲーム機に搭載されると、本当に様々な音色の美しいサウンドがプログラムされるようになって行きました。
 私も一番最初に買ったMSXパソコンについていたPSGと呼ばれる音源チップ(正確には音源チップ+そのコントロールシステム一式)をプログラミングしてよく遊んでいましたが、メロディは3音と効果音の組み合わせしか鳴らせませんでしたので、私などが単純にプログラムを作るとピーーピピピーなどとアラーム以外のない物でもないノッペリしたものになってしまったものです。
 一方、当時の雑誌などに載っていたプロ(ゲーム会社)の方のプログラムなどを見ると、メロディに使う音をまさにシンセの音作りのようにうまく作り込みをして幅を持たせたり、時には擬似的にディレイをかけたり、効果音をドラムスに割り振るなどして機能のはるか上を行くような使い方をされていました。まさに職人芸です。もちろん、現代の打ち込みからするとものすごくチープな音なのですが、そのこだわりと労力があったからこそ今でも昔のゲームミュージックの音が好きな人が沢山いるのでしょうね。


 さて、スマホの時代になっも毎朝Beep音に起こされますし、洗濯が終わってもレンジで温めが終わっても、炊飯器でご飯が炊けても、お風呂が沸いても、Beep音で注意を促されます。大方の場合「はいはい、わかってますよ」と思うだけですが、たまにはこの電子音を注意して聞いてみてはいかがでしょうか。意外な部分を見せてくれるかもしれませんね。