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2022ー23 プレミアリーグ 第6節 トッテナムvsフラム 備忘録記事

トッテナム2-1フラム

得点者(TOT)
40' 5ホイビュア
75' 10ケイン

得点者(FUL)
83' 9ミトロヴィッチ 

両チームのフォーメーション

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ハイライト

 前節、ウェストハムとのロンドンダービーは1-1の引き分けになったトッテナム。今節はホームでフラムとのロンドンダービーとなった。

 今節は、前節から5人のスタメンを変更。シャドーにリシャルリソン。左HVにラングレを起用。またロメロが怪我から復帰し、CHには前々節に頭部を負傷したベンタンクールが戻って来ている。そして、左WBにはセセニョンが入った。

 序盤は、4-2-3-1の形で守るフラムに対しトッテナムはダイアーを一列上げた「バルトラロール」的な形を採用していた。

 バルトラロールってなんや!と思った方は下記記事を是非読んでください(説明放棄)

 ここの変化は試合が始まってから直ぐに見られた。まずはラングレがボールを運んだシーン。前節はデイビスをサイドに開いて、サンチェスとダイアーがビルドアップ隊として振る舞っていた。だが、ダイアーが運ばずに落ちてくる選手にボールを当てたり無理やり蹴り出すシーンが散見された。

 それでも今回は、セセニョンが相手の右SHをピン留めし、ボールを受けたラングレがフリーのままボールを運んでいる。ここは、これまで無かった場面であり、ラングレの能力も現れてたように感じる。

 それに加え、これまでCHが相手のトップ下に捕まるようなケースが多かったが、ダイアーを1つ前に押し上げることで、ホイビュアやベンタンクールを低い位置で捕まえにくくさせることに成功。それに加え、ダイアーをビルドアップの出口として採用していた。

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 それが形と現れたのは4分のシーン。ロメロに対して左SHのケバノが出てくるが、この横でダイアーがサポートしボールを受ける。これによりダイアーがフリーで前を向いてケインにボールを入れることが出来た。

 この際、相手のSBはエメルソンを見るために釣り出されているため、相手のDFラインとトッテナムの前線で3vs3の局面が生まれている。ここでケインのフリックがリシャルリソンに渡っていたら、擬似カウンターが成立してたはずだ。

 このように、直近の試合で度々あった「受け手が捕まった時に何も出来ない」の解決策の一つが、ダイアーの「バルトラロール」なのだろう。低い位置でボールを動かした所で相手を動かせないなら、ボールを持っていない選手が持ち場を離れてスペースに入り込み呼吸をする。あわよくば、相手を動かしてズレを作りたいという狙いがあるはず。

 そして先程も書いたように、この試合では左HVで出場したラングレも存在感を発揮。特に敵陣でボールを受けた時の楔の精度が高い。WBのセセニョンにボールを出すような身体の向きからリシャルリソンに付けたり、ケインに向かって斜めのボールを入れていた。

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 32:25にはそのラングレのパスを受けたケインが背後に送り、斜めに侵入してきたソンの決定機を演出している。

 一方でフラムも途中から4-4-2っぽい守備に変更。そうなるとダイアー1列前に出るのを辞めて、スリーバック気味でビルドアップを行なっていた。ここで落ちてくるホイビュアに対し、フラムのCHが厳しく来なかったのが救いである。

 また非保持の面も良かった。特にリーグ戦初先発となったリシャルリソンは守備も頑張る。高い献身性があり王様タイプでは無いことを再確認した。

 そして先制点は右サイドでのプレッシングから生まれてた。負傷交代したロビンソンに代わって出場したムバブを捕まえてから、狭いエリアでのパス交換から最後はホイビュアが決めて見せた。

 先制して以降はフラムが4-4-2の守備から高い位置でボールを奪いに来るようになる。そこで多少なりとも手こずるも、前半を1-0で折り返す。

 後半に入り、フラムはもう一度守備の陣形を4-2-3-1にし、前半の終盤と同じくらいの強度でボールを奪いに来る。トッテナムはそれをどういなすかである。1つはラングレでひっくり返すこと。ラングレの長いボールがケインに収まれば、前線のメンバーでの疑似カウンターが成立する。

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 かと言って中途半端な出方をすれば1枚ずつ剥がされて前進を許す。51分のリシャルリソンのシュートに繋がる前の崩しも、上手くサイドを経由してCHが釣れて広がったバイタルでソンが前を向いた所からスタートしている。

 しかし、1つ前に出るダイアーが捕まることでピンチになったシーンもあった。54分には、ダイアーが囲まれてボールを失い、ミトロヴィッチに決定機を作られるもロリスのビッグセーブで難を逃れた。この試合ではメリットとデメリットがハッキリ出たように思える。

 トッテナムとしても次の1点が欲しいところだが、今季アーセナルから加入したGKのレノがスーパーセーブを連発。お互い両GKの活躍によって次の1点が奪え無い時間帯が続く。

 それでも迎えた75分。1つ前に位置取るダイアーを使いながらプレスを回避し、リシャルリソンからのボールを受けたホイビュアがサイドチェンジ。ボールを受けたセセニョンのスルーパスに抜け出したソンが折り返して、セセニョンがシュートを放つ。相手DFに当たったボールをすかさず拾い、折り返しをケインが押し込んで2点目を奪った。

 しかし、83分にカウンターからボールを受けたミトロヴィッチにリーグ戦4試合連続となるゴールを決められ1点差とされる。

 90分にはホイビュアのスルーパスからセセニョンの折り返し、リシャルリソンが決めて移籍後初ゴールかと思われたが、オフサイドとなりゴール取り消し。それでも試合は2-1でトッテナムが勝利した。

雑感

 ビルドアップでの工夫が見られたのは良かったと思う。4ー2-3-1で守る相手に対し、HVがCBとなって、ダイアーがトップ下の脇で受けるというビルドアップの形は良かったと思う。

 また新加入組が随所に良さを発揮。ラングレの左足はチームにとって欠かせない武器になりそうだし、リシャルリソンも落ちて来てからボールを捌く技術はとても良かった。また、本文でも触れたように献身的な守備も有り難い部分である。

 個人的にはセセニョンも良いと感じた。この試合のように、相手が縦に間延びしつつある中で、SBが釣れた裏に走るソンに良いスルーパスを何本も出していた。ペリシッチがクロスに特化している中で、セセニョンはセセニョンなりの武器を見せてくれたなと思う。

 勿論そもそもの選手の質的なアドバンテージがあるゲームだったということは、忘れてはならない点。フラムのCB陣の押し上げが遅かったり、ケインと競らせたらほぼケインが勝っていた。あそこで起点を作れれば、今回の試合のように自然と良い攻撃に移行できる。

 この戦い方で上位陣相手に通用出来れば、本物だと言えるだろう。

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