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子育てとキャリア構築、両立への道のり。葛藤の先に描くものとは〜High Standard Interview #2 〜

ビットキーnote編集部です。
さて、High Standard Interview第二弾に登場するのはリーガル担当の保泉さんです。法務領域の中心メンバーとしてパワフルに活躍する保泉さんは、4歳と2歳のお子さんを育てるお母さんでもあります。

今回は、仕事と子育てにフルコミットする保泉さんのハイスタンダードに迫りました。

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保泉 綾香(Ayaka Hoizumi)

早稲田大学法学部を卒業後、新卒で決済業界の大手へ入社し法改正対応や取引先窓口を担当。ITメガベンチャーなどを経てビットキーへ。現在はリーガルとして契約書レビューや業務フロー構築を担う。


ーー保泉さんは元々大手企業やメガベンチャーに勤めていらっしゃいましたよね。創業わずか1年のスタートアップに転職された理由を教えてください。

夫から、大手よりスタートアップの方が輝くんじゃないかとアドバイスされたんです。主体的で何でもやりたがる性格だからどんどん手を挙げられる環境の方が向いていると。夫の助けと理解があるならスタートアップでもやれそうだなと思って背中を押されました。

ーー旦那様のアドバイスがあったのですね。主体的なスタンスはいつ頃からでしょう?

高校の委員会活動が原体験ですね。「君はどうしたい?」と常に意見を求められる環境だったので、委員会活動を通して自ら思考し行動する力が養われました。

ちなみに、思考の深さには三段階あると思っています。とりあえずパッと思いついた「こうしたらいいのかな」。いくつか案がある中で比較した「こうするべき」。この手しかないというところまで思考を高めた「こうしたい」。私はできる限り「こうしたい」を大事にする人でいたいなと。さらに、その行動に責任を持つというのが仕事の基本スタンスかもしれません。

ーーたしかに、保泉さんは積極的にアイディアを出したり、自発的に新しい取り組みを始める印象があります。Slackのワークフロー(業務フローを自動化できる機能)も導入しましたよね。何がきっかけだったのですか。

一人法務からチーム体制に変わったことが大きなきっかけでした。一人であれば自分の記憶を頼りに仕事を進めることができますが、チームになれば情報共有や進捗確認が必要です。「チームとしていかに成果を出すか」が大事なので、メッセージや口頭での依頼を廃止して窓口を統一する仕組みを考えました。ワークフローで依頼を受けた案件はすべて番号づけし、工数や依頼数など様々なデータを可視化しています。0から学んだSlackワークフローでしたが、いつしか「ワークフローマスター」と呼んでもらえるようになり(笑)、メンバーにナレッジを共有する会を開くことができました。

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(社内メンバーから業務効率化の貢献に対して表彰状が送られた)

さらに、ワークフローの導入は公平を実現するための取り組みでもあるんです。

ーー公平、ですか?

リーガルチームとランチや雑談をしたことがある人は依頼しやすくて、そうじゃない人は依頼しづらいとなるのを避けたかったんですね。関係性によって業務に不平等が生じるのは感情的にも嫌でしたし、会社が大きくなっていく上でも支障になってしまうと考えました。

ーーワークフロー導入の裏側にはそんな強い思いがあったんですね。さて、保泉さんはお二人のお子さん育てるお母さんでもありますよね。子育てと仕事の両立に対して、大変だなと感じることはありますか。

大変なこと・・・めちゃくちゃあります(笑)。毎日必ず18時に帰るという業務時間の制約がある中で、日々至急案件に対応し、周囲の期待に応えていかなくてはなりません。そのプレッシャーがあるために「あと一本だけメールを打つ!」と粘ることもあるんですけど、そのあと保育園で「お母さんが一番最後ですよ」と怒られることも。保育園の帰り道に涙ぐんだお母さんは私だけじゃないはずです(笑)。

ーーそれは苦しいですね。どのように現実と向き合ってきたのですか。

まずは、やれることを模索してひたすら実践してきましたね。業務の優先順位をつけて「絶対やること」にコミットするようにしたり、家電で家事を自動化したり、ベビーシッターさんに手伝っていただいたり。

育児の超初期段階である第一子妊娠中には、夫に「子育てはあなたと私との共同プロジェクトだよね?」と正面から伝えて(笑)、家事育児を分担できる方法を一緒に考えました。現在は夫の方が家事育児を担当してくれているので、とても助かっていますね。向上心が高い夫からたくさん刺激を受けているので、「もっとできることがあるのでは?」と試行錯誤を続けられているのかもしれません。私の原動力となっています。

日常的な工夫でいうと、例えばちょっと口頭で会話をする際もタイマーで目安の時間をセットしています。こういった工夫の積み重ねでなんとか時間を捻出する毎日です。

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ーー主体的な保泉さんだからこそ、様々な工夫をしてきたのだと想像します。尊敬する一方で、保泉さんのように子育てとキャリアを両立できるのか不安に思うのが正直なところです。

そうですよね。私も就活生のときから女性のライフイベントとキャリア構築の両立に漠然とした不安を抱いていました。本気でそこと向き合うようになったのは、26歳のときです。

ーー何かきっかけがあったのですか?

不妊治療のプロボノ(無償でスキルを提供するボランティア活動)に参加したんです。不妊治療中の方々の声を聞いて、そこにある悲しみや苦しみが胸に突き刺さって涙がポロポロと止まらなかったんですよね。強く印象に残ったのは、「キャリアを最優先にしていたが、子どもがほしいと思ったときには授かりづらくなっていた。20代の女性に妊娠出産適齢期のことをきちんと伝えたい」という声でした。このメッセージを受け取った当時の私は、「人生で出産をしなくても良い」という意思決定をすることはできず、それであればいつか子育てとキャリアを両立できるように、今から訓練を積まなくてはならないと考えました。

ーー具体的にはどんな訓練を?

決められた時間内でパフォーマンスを出す訓練です。最大限のパフォーマンスを出そう、業務を効率化しようと思っても、ある日突然できるようになるものでもないと考えたんですね。

これまでは時間を投下してクオリティを担保していたのですが、そこからは思考に時間を割くようになりました。仕事に手をつける前に、効率的な進め方、効果的な手法を熟考するんです。回数を重ねるうちに、手を止めて悩む時間や手戻りがほとんど0になり、残業時間は年間400時間から80時間になりました。もちろん、クオリティやアウトプット数は維持したままです。26歳から訓練したことが今に繋がっていると感じるときがあります。

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ーーハッとしました。ライフステージの変化を迎える前に準備を積み重ねていたのですね。

それでは最後に一つ質問させてください。ビットキーで働きながら妊娠・出産・子育てをするメンバーに対して保泉さんはどんなことを伝えたいと思いますか。

「pay it forward」、親切を繋いでいくという考えを伝えたいですね。例えば、妊娠・子育てによって仕事になんらかの支障が出て、誰かに支えてもらう場面があるとします。そのときに、支える側が感謝されて支えてもらった側は感謝する、という1対1の関係で完結することが理想だとは思いません。自分が支える立場になったとき、頑張っている人をどれだけ支えられるかという観点が大事なんじゃないかと思います。私もそのような思いを持って、後進に対してできる限りのサポートをしていきたいですね。

子育てとキャリアの両立は私自身もまだまだ試行錯誤している最中ですが、自分なりのカタチを見出すことで、周囲のメンバーに希望を見せることができたらいいなと思っています。

ーー保泉さん、貴重なお話をありがとうございました。


◆編集部より

今回のインタビューを通して、主体性を持って行動するとはどんなことなのか考えさせられました。ライフステージの変化がある・ないにかかわらず、保泉さんの根本にはずっと「ハイスタンダード」があったのではないでしょうか。

さて次回は、法人向けプロジェクトの最前線を走るメンバーのインタビューをお届けします。

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