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「安定」したいから「未開拓」へ。ミレニアル世代の堅実キャリア観

誰もが知る大企業に新卒で入社した胡桃澤さん。でも、入社前から「数年勤めたら次に移ろう」と決めていたそうです。
3年半後、予定していた通りにメガベンチャーへ移り、そこでやりがいのある仕事をしていたものの、2年後には当時、創業3年目のビットキーへ。部署異動のように、数年おきに転職を重ねた理由を尋ねると、意外と堅実な答えが返ってきました。

『何歳になっても求められていたいから』

「安定」を求め、あえて未開拓の地へ向かう。そのキャリア観はどこからきたのでしょうか。

胡桃澤 圭佑

山梨大学に入学し、コンピューターサイエンスを専攻。同大学院にて音声認識の研究を進め、新卒では国内大手ITベンダーのソフトウェア開発職として入社。データ分析ソリューションのプリセールスやプロジェクトマネージャーを務め、LINE株式会社に転職。LINEマーケットプレイスの企画立案から提供開始までの業務に従事。ビットキーではHome事業にて、大手企業とのシステム連携が必要なサービス開発を牽引している。

手厚い新人教育。でも……。

大学院を卒業した胡桃澤さんは、従業員数10万人を超える大手ITベンダーに開発職として入社しました。

胡桃澤:「3〜5年働いたら、次の場所に移ろう。」学生時代からそう決めていましたが、最初は新人を丁寧に育てる仕組みが整っている大企業の方がいいだろうと思って入社しました。実際、期待通りの環境でした。
入社研修が半年間もあって、教育係の中堅社員が2年もついてくれました。僕がとった会議の議事録も毎回添削されて「てにをは」まで指摘してくれる。開発職でも伝わる文章スキルは不可欠です。社会人のスタートとしては恵まれた環境でした。

でも、次第に息苦しさを感じるようになります。

胡桃澤:当時、外資系データ分析ツールのプリセールス(*1)担当として、ツール導入と周辺のシステム構築をセットで提案する仕事をしていました。
でも、気持ちはモヤモヤしてました。ツール自体は他社が開発した製品なので、自分が開発や改善に関われない。他社のSierも似たようなセット提案をしていた。徐々に、この会社でこの仕事をする意味が見出せなくなっていったんです。

*1 エンジニアとしての専門知識を生かし、お客様の技術的な課題を引き出したり、自社のシステムやパッケージ製品の説明や解説、提案をする営業系職種。

揺さぶられ、広がった視点

入社2年目、視点が変わる経験をします。きっかけは、同じ部署だった先輩が社内で立ち上げたベンチャー企業の講演会でした。

胡桃澤:講演で、動画検証サービスを開発したときの話を聞きました。競合相手よりも使い勝手のよいものにするため、自社製品ではなく外資製品を採用したという話がありました。
目からうろこが落ちました。確かに、他社製品の方が性能や使い勝手がいいことはありますが、それでも自社製品を使うのが現場の「当たり前」です。でも、お客様のニーズや価値提供を最優先に考える、という視点に立てば、その当たり前すら疑って、よりよい提案ができるんだという視点に揺さぶられました。

外の人たちとも交流が増え、仕事に役立つヒントをもらうようにもなります。

胡桃澤:担当する外資系データ分析ツールの企業が主催した、3カ月の集中プログラムに参加して、自分の名前で仕事をしているような方々と沢山つながりました。
ここで、他社と差別化できそうなヒントをもらいました。有効なデータを手に入れるための分析手法や専門的知識を助言できれば、僕と一緒に仕事したいお客様が自社を選んでくれるかもしれない。そこで「コンサルティングサービス」の立ち上げを社内で提案しました。

ただ、個人の努力の限界にも気付きました。

胡桃澤:僕ひとりが認められても、事業拡大への影響は限定的です。それに、その分析ツールは「お客様自身でデータ分析できるようにする」ことを目指していました。となると、僕のコンサルティングも使い始めは必要かもしれませんが、いずれ不要になる。
そう考えたときに、自分というひとりの人間の価値を認めてもらうことだけを考えていいんだろうか。もっと大きな価値を生むような製品を作れないだろうかと考えるようになりました。

自分も会社も「成長」。 ベンチャーの楽しさ

その後、胡桃澤さんは27歳でLINEに転職。ソリューションコンサルタントとして働き始めました。お客様の企業公式アカウントに、どんな機能を追加したら「お友達」が増えるかを考え、新しい機能を提案する仕事です。

胡桃澤:サービス提供から7〜8年目(当時)という若い会社ながら知名度は抜群。利用者数(当時)も7000万人規模。ベンチャーとしての動きやすさがありながら、規模の大きな仕事もできる。いい会社でした。
自分がいた部署は、入社当時は数人規模だったのですが、そこから急拡大し、扱う仕事の規模や内容もどんどん大きくなっていきました。

入社2年目の2020年、LINEマーケットプレイスという、中小の事業者向けにパッケージ化したサービスを企画し、ローンチする事業を手掛けました。たとえば、飲食店なら店の予約や料理の注文、会計、リピーター登録まで、LINEの公式アカウントで完結できるサービスです。
以前からやりたいと思っていた、お客様にとって最良の価値を提案できる仕事でしたし、「変化」を大事にするベンチャー気質もまだまだあって、とても楽しく仕事ができていました。

「インフラ企業」で働くということ

裁量の大きい職場で新しい事業も生み出し、アシスタントマネジャーにも昇進しました。それなのに胡桃澤さんは、また転職を考え始めます。

胡桃澤:あらゆる場面で、すでに「インフラ」になっているサービスのうえで仕事をしているんだと実感しました。
お客様からは、LINEを使って何ができるか考えてほしいという相談が大半で、サービスをイチから説明する必要はないし、僕が担当した新規事業も、強固な基盤があるがゆえに成立した事業です。でも、この先も「インフラ」として存続しているのかなんて、誰もわかりません。新しいものが次々と生まれる時代ですし、淘汰されることもありえます。

どこで働いても活躍できる人になりたいし、何歳になっても「あの人と働きたい」と求められ続けたいと思っています。だから、一か所に留まるのではなく、いろんな場所でいろんな経験を積む必要があると思うんです。
だから次は、インフラを作る企業の初期から経験しようと思って、創業まもない会社への転職活動を始めました。

ほどなくスタートアップ1社から内定をもらった胡桃澤さん。しかし、ひょんなことからビットキーに目が向くようになりました。

胡桃澤:社員が10人ちょっとのスタートアップです。魅力的でしたが「ここしか受けなくていいのかな」とも思い、ベンチャーで働く高校の同級生に声をかけると「ほかの会社も受けたほうがいい」とアドバイスをくれました。
聞いてみると、ちょうど彼も近く転職する予定で、それがビットキーでした。勧められて面談を受けてみることにしたんです。

胡桃澤:先に内定をもらっていた1社とどっちにしようかギリギリまで悩み、最終的にビットキーへ入社を決めました。選んだ理由はいくつかあります。

「製品が見すえている発展性」
「影響を及ぼす範囲の広さ」
「製品の初期段階に関われる」
ーーという点でした。

面談を通じて、あらゆるものをつなげて社会を変えていくというビジョンや、暮らし全般に関わるプラットフォームを根付かせるために、いまスマートロックに取り組んでいるという話を聞きました。その製品の初期から関われるのかと、すごくワクワクしました。

「変える」というキーワードは、多くの会社が言います。ただ、社会が変わるほどの影響力を持つ会社は少ないと思いますし、初期から関われるチャンスなんてさらに少ないと思います。ビットキーは「社会インフラ」への道筋がすでに描かれていて、「社会全体にインパクトを与えたい」という自分の仕事観とも重なったんです。

予想以上に「未開拓」だった

2021年、創業3年目のビットキーに入社した胡桃澤さんは今、Home事業に所属しています。「homehub」というプラットフォームを通じ、ユーザーの暮らしに必要な機能を管理会社やサービス運営企業が提供する仕組みを作っています。

胡桃澤:入社前のイメージより、正直いろんなものが未開拓の状態でした。2021年末にリリースされたbitlock MINIとhomehubのサービスも、当時は構想段階で、どんな機能が導入されるかも漠然とした状態でした。
だから、サービス運営企業にプラットフォームへの参画をお願いするときも、十分に説明できないもどかしさがありました。
状況を理解したあとは、ここからどう変えていこうかと切り替えて淡々と臨むようになりました。

「ノー」を言うコミュニケーション

ゼロから立ち上げる領域で取り組むうちに、胡桃澤さんは相手に考えを伝えることの大切さを、身をもって感じるようになりました。ときにはお客様やマネージャーに「ノー」を言うこともあるといいます。

胡桃澤:「ノー」を言えるようになったのは、徐々に、という感じです。特に、この会社に来てからでしょうか。
振り返れば、僕が最初に働いたITベンダーは「ノー」を言わない文化だったように思います。お客様のどんな要望にもやり方を見つけ、何とか100点に近づけていくイメージでした。事業の特性の違いもあると思います。ITベンダーは発注元と1対1の関係が多かったので、発注元の便宜を最優先に考えるからかもしれません。

対してビットキーは、あらゆる人たちが使うことを想定したプラットフォームを提供しているので、インフラとしての自覚をもって、お客様の要望も、全体を俯瞰して判断する必要があります。
鉄道会社で例えると「うちの社員専用の車両を作って欲しい」と企業から要望されても、まず通りませんよね。社員専用車両を設けることの意義や効果と、他の乗客に不便を強いることで起きうる影響を踏まえて判断する必要がありますから。

あと、ビットキーの入社初期の経験も影響しています。入社当初は追いつくのが精いっぱいで「これって何でやるんだろう」と違和感を持った仕事も、指示されるままに進めていたことがありました。
でも後で頓挫したり、無駄になったりしたものも多くて、違和感をきちんと伝えていたら、と感じる経験が何度かありました。それ以来「おかしい」「違う」「こっちの方がいい」と思えば、きちんと伝えるようにしています。今では、意見を言い合うことは、最短でゴールに到達するための必要なコミュニケーションだと思っています。

社会の「当たり前」を変えたい

胡桃澤さんは2021年夏から同年末、日本郵便など宅配大手との「置き配」の実証実験(PoC)を担当しました。ビットキーの顔認証システムが事前登録した配達員の顔を判断し、マンション入り口の自動扉を自動解錠し、居住者の玄関前に届ける内容で、再配達率や配達時間、住民の満足などを調べ、サービスの課題を把握するのが目的でした。

胡桃澤:この会社で少ないながら出せた成果のひとつです。検証項目を想定通り確認できましたし、企業やユーザーから置き配への具体的な意見もいただき、次のステップに向けた展開も具体的に描けるようになりました。

利益にすぐ結びつく訳ではありませんが、自分たちが手がけるサービスや製品が、社会にどう役に立つのか、ユーザーにどんな体験価値を提供できるのかを考えてサービスを作れるのは、一番やりがいを感じました。

創業数年でも、大きな企業と一緒にインフラづくりに取り組めるのも、この会社で働くおもしろさのひとつだと思います。とはいえ、インフラづくりは、乗り越えなければいけないことがたくさんあります。
たとえば、homehubで家事代行サービスを利用できる技術はすでにありますが、不在の間に家事代行業者が家に入ることに、プライバシーや信頼感、安心感などの面で壁もあります。
そうした、人と人の気持ちをどうつなげていくのか、技術以外の方法で克服する方法も必要になってくるでしょう。

でも、そういう風景がいつか「当たり前」になっている社会を、自分の手でつくったぞと言えるときには、すごく成長できている気がするんです。そこまでは決して平坦な道のりではないとわかっています。それでも、それを乗り越え続ける先に、僕の目指している安定があると思うんです。


「What's your "KEY"」 とは

ビットキーってどんな会社ですか? 
面接などで、よく聞かれる言葉です。毎度うまく説明しようと試みますが、私たちも、十分伝えきれていない気がしています。
ビットキーには、この会社に何かしらの魅力を感じた人たちが集まっています。これまでたどってきた道は様々で、その人自身の持ち味も様々です。
いまはまだ、うまく説明できないこの会社の魅力を、彼/彼女たちの語りから感じ取ってもらうことはできないだろうか。
同時に、その人となりも伝われば。
そんな想いから、新シリーズ What’s your “KEY” を始めます。
あなたをこの会社に導いたものはなんですか?
この問いかけから、ここに集う人たちの思いや、この会社が持っているなにかが浮き彫りになれば、と思っています。

みんなにも読んでほしいですか?

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