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日本の美しい風景

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日本は南北に細長い島国です。北から南までその土地ならではの自然があり、美し光景があります。その四季折々の美しい姿を一瞬切り取ってみました。いつもは気づかない風景も、改めて見るとど… もっと読む
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2019年6月の記事一覧

額紫陽花の魅力

紫陽花の種類は豊富で、世界中に2000種類ほどあるようですが、その中でも額紫陽花は日本原種。その美しさに西洋人が持ち帰り、やがて西洋紫陽花を作り出したとか。それが日本に逆輸入して、日本でも人気が出たそうです。  額紫陽花は、真ん中に小さく集まった花の周りに、大きく開いたガクが囲み、まさに額縁のよう。派手な西洋紫陽花に比べると、楚々として地味な花ですが、どことなく優しい美しさがにじみ出ています。この時期に、気づくと静かに咲いている姿が健気に見えるのです。(金井)

紫の大輪、紫陽花の花

5月下旬、暑い日が続くと一斉に花を咲かせる紫の紫陽花。初夏の庭を鮮やかに飾る様は、鬱陶しい梅雨時に心を明るくしてくれます。庭の片隅や、何気なく通っている道などにも鮮やかな花が見られます。普段あまり見ない庭、忙しさに紛れて素通りしている公園や道端など、ちょっと意識して見てみましょう。 名前の由来は諸説ありますが、青色の花が集合して咲く姿から「あづ」集、「さあい」真藍と言う言葉が「あじさい」に変わったといわれている説がそれっぽい。  紫陽花の鮮やかな青や紫の花は実はガクで、花は中

赤紫の鉄線

藍にやや赤みを加えた紫の花。梅雨時、竹垣や柵などに蔓を巻き、鮮やかな紫色の花を咲かせる鉄線です。大きく開いた6枚の花弁は、実はガク弁。真ん中に雄しべの様に見えるところが花で、その中心部分に雄しべと雌しべが開いています。ぎゅっと絞ったような蕾が一日でぱっと開く様子は力強く、元気を感じる花。しっとりと濡れる雨模様の庭に輝やいて見えるのです。 (金井)

朝の紫の顔

幼い頃、朝顔日記を付けた人は少なくないでしょう。栽培が簡単で日々の成長も早く、子供でも毎日楽しめる植物だからでしょう。朝顔はまさに朝が開花の時。午後は萎んでしまうので、瑞々しい姿を見るのに早起きをしたものです。  日本に朝顔が入ってきたのは遣唐使が薬として種を持ち帰ったのが始まり。爽やかな群青色が代表的な色ですが、赤紫や薄藍など色も豊富です。ただし、万葉集に出てくる朝顔は、今の朝顔ではなく、むくげやききょうの事だとか。 かつて秋の七草に数えられていた朝顔も、ききょうを指してい

ポン!と咲く紫のききょう

古くから馴染みのある星型の花、ききょうは、家紋にもなっている日本の花。秋の七草の一つです。初夏から花屋さんに出回っている園芸品種はありますが、実は野生の品種は絶滅危惧種に指定されているのです。かつて野山に華麗な紫の花を咲かせていた野生のききょうもなかなか見られなくなったのですね。  ふっくらとした蕾をプッと押すと、ポン!といって花が開くといわれ、幼い頃はききょうの蕾を見るとプツプツと潰したものです。(金井)

涼しげな音を奏でる風鈴、チリリン

暑い陽射しが傾き始める夕暮れ時、どこからともなく、チリリンと風鈴の音が響いてくると、なんとなく涼しさを感じます。まさに風鈴は暑さを和らげ、癒しを与えてくれる夏の風物詩です。 昔は蒸し暑くなる頃、風鈴や吊りしのぶ、金魚をたくさん積んだリヤカーの金魚屋さんが売りにきたものです。吊りしのぶとは古典園芸の一つで、江戸時代に庭師が得意先にお中元として配ったのが始まり。しのぶというシダ科の植物をシュロなどに巻きつけ、水を毎日差しながら育てるハンギングプラントです。 この吊りしのぶの下

独特の形が愛らしいひょうたん

真ん中がくびれた独特のフォルムが面白いひょうたん。ヘチマ同様、夏の日よけ棚にからませて育てる植物です。棚のところどころに下がるひょうたんの実が何とも可愛らしく、その光景は、まさに夏の一瞬のアート。 果実は苦くて食べられませんが、完熟してぷっくりと膨れた果実をくり抜き、中を空洞にして乾かしたものを水筒代わりの容器として使いました。ひょうたんは日本だけでなく、中国、韓国、北米や南米、インドネシアやパプアニューギニアなどでもさまざまに利用していたようです。 かつて我が家の棚にも

夏の訪れを知る、半夏生

京都の庭園を歩いていると、葉の半分が白くなった植物に出会います。その名はハンゲショウ。 なるほど半分化粧したようなその姿から付いた名ねぇ。 と思いつつもよく考えると、七十二候の一つに半夏生というのがあり、夏至から11日目、7月2日ごろから七夕頃までの5日間の候、まさに季節の変わり目で、この頃から梅雨が明けます。農家は田植えを「夏至の後、半夏生に入る前」に終わらせるという、いい伝えがあり、これを過ぎると秋の収穫が減るのだそう。そんな半夏生の頃に花が咲くからという説もあるとか

ポン!と咲く?はすの花

大きくて丸い緑の葉が印象的なはす。6月から8月上旬には、大きくて美しいピンク色の花を咲かせます。 はすとは蜂巣の略で、花が落ちた後に花托、つまり花の中央の黄色部分が残り、穴に実が詰まっている様子がまるで蜂の巣のようだからとか。花は朝早く開いて昼頃に閉じ、この開閉を3~4日繰り返します。花が咲くときに、「ポン!」と音がするという話がありますが、それは、まだ聞いた人がいないようです。ふわっと見る間に咲いていく様子が、音が出るように感じるのではないか、ともいわれています。 仏教