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ドライブイン富士の とり野菜鍋

国道8号を石川県加賀市から福井県に向かって行くと、県境の牛ノ谷峠に向けて登り坂にさしかかる辺りの左手に「ドライブイン富士」がある。

1990年代の初頭くらいまでは、国道沿いには、食堂と売店の機能を兼ね併せた、ドライブインがたくさんあったものだ。だんだんと道の駅やコンビニにその役割をうばわれて今はほとんど見かけることがない。そんな数少ないドライブインの生き残りがドライブイン富士だ。

ここのとり野菜鍋が旨いという噂は、何年も前から聞いてはいたが、なかなか食べる機会がなかった。そもそも、加賀市の実家に立ち寄るときは実家で食事する。仕事で来るときも、会社の同僚と昼飯に入るにはややハードルが高い。

決してきれいとは言えない外観だし、国道を走る車からは営業しているのかどうかさえ定かではない。食に貪欲なひとならいいが、あまり興味ない人にとっては、昼から職場の同僚と鍋を突っつくのは嫌かもしれない。

先月の春の日射しが気持ちよかった日に、会社を早退して母の様子を確かめに実家に行った。そのついでに、昼飯をドライブイン富士で食べた。

とり野菜鍋のセット(1500円)を注文すると、ステンレス製の鍋に山盛りになった野菜が運ばれてきて、卓上コンロに点火。白菜、キャベツ、玉葱、もやし、にんじんなどが入っている。鶏肉は鍋の底に仕込んであるそうだ。

5分くらい経っても山盛りの野菜の高さ変化なし。ほんとにこれ食べられるようになるのかしらと心配になるころに、野菜の山の標高が少しずつ下がってくる。お店のお姉さんの「鍋の端の野菜を箸でつっついて鍋底に押し込むように。」という指示を忠実に守って、かいがいしく鍋の世話をしていると、お姉さんがきて、手のひらで野菜の山の頂上をぐっと押しつけた。

お姉さんによると、煮上がった時にちょうど鍋の縁ぎりぎりにおさまるように、野菜の量を調整してるそうだ。確かに、しばらくすると野菜の山が低くなり、確かに鍋の縁の高さピッタリにおさまった。しばらく、そのままぐつぐつと煮込んでできあがり。

再びやってきたお姉さんは、みんな午後も仕事あるだろうからベースの味噌にはニンニクは一切はいっていないので、少しいれると美味しくなるよと教えてくれた。おおせのとおり、テーブルの小瓶のおろしニンニクをひとさじ鍋に投入してみると確かにうまい。

セットにはご飯と冷や奴と漬物がつく。なんとか全部食べきったけれど、一人で食べるには量が多い。もし、二人で行くんであれば、とり野菜鍋一人分と、焼き肉定食の組み合わせで注文したらいい。隣のおじさん二人連れは、とり野菜鍋と豚バラの焼肉を食べていた。

とり肝や鶏皮の煮物もあるようだし、運転手してくれる人がいれば昼飲みにもいい。次回は妻を誘って来よう。

これが
こうなって
こうなる

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