高田城址の桜
高田の桜はいい。高田城址は桜で埋め尽くされていた。
2年前に思いつきで始めた金沢から東京まで旧街道を歩くプロジェクトを再開しようと、昨日は金沢駅を朝7時19分に出発する新幹線で糸魚川まで行き、えちごトキめき鉄道に乗り換えて名立で降りた。
着いたのが8時50分ごろ。そこから海岸沿いを歩いて、直江津経由で高田まで行き、高田城址公園の桜を見物して、上越妙高駅から新幹線で戻る予定だった。
ところが、国道沿いを歩き始めて3キロほどで崖崩れで遊歩道が通行止めになっていた。1月1日の能登半島地震で崩れて、遊歩道の部分が復旧していない。しばらく車道沿いを歩けばなんとか先に進めそうだったが、今日は妻も一緒なのであまり無理もできない。この先さらに何カ所も通行止めがあるかもしれないので、おとなしく来た道を引き返して電車で高田に向かうことにした。
名立駅に戻ったのが10時30分。直江津行きの電車が10分ほど前に出発したばかりで、次の電車は11時49分、1時間半以上もある。待合室で、それぞれ本を読んで時間を過ごす。
直江津駅で、妙高高原行きの電車へ乗り換るために30分ほど待った。高田駅に到着したのが午後1時。花見の前に、昼酒したい気分だったので、駅近くの「富寿司」に入って、寿司ランチとビールを注文。大きなお店でチェーンの回転寿司店くらいの広さがある。お客さんは引きも切らず来店している。
メニューを眺めていたら、上越名物の欄に「スル天」という料理がある。スルメの天ぷらなのかと思い、店員さんに聞くと、一夜干しのイカを天ぷらにしたものだという。やわらかくて美味しいらいい。ビールのつまみにと追加でお願いする。
スル天がうまかった。よく考えてみると、高田は海からは、そこそこ離れた土地。物流網が今のように発達するまえは、新鮮な海産物を入手するのが難しかったのかもしれない。海に近くて新鮮な魚介類が手に入る土地で、わざわざ一夜干しにしたイカを天ぷらにすることなど思いつきもしない。でも、スル天は、柔らかくて塩気がほんのり効いていてうまかった。
お店を出て、雁木風の立派なアーケードのある商店街を歩く。空き店舗は多いものの営業している店舗もかなり残っていて、それなりに賑やかだった。高田は上越地区の中心都市だったのだろう、裁判所やら大きな銀行の支店やら、一通りのものはそろっている。昔は陸軍の師団の駐屯地もあったところ。
お城に向かう途中で、青田川沿いの道に入る。青田川沿いにもたくさん桜の木がある。街中の川にはめずらしく、堤防の土手は草に覆われて、タンポポやつくしが生えている。田園地帯を流れる小川のような趣で、その背後に桜が連なっているので。川の奥には遠く、山肌に雪が残る妙高の山並みが望める。いい景色。
高田城址のお堀端、場内も桜で埋め尽くされている。こんなに広い面積に、密集して桜が植わっている場所は金沢にはない。確かに、青森県の弘前城と東京の上野公園と並んで、日本三大夜桜と呼ばれるだけはある。
リンゴ飴やたこ焼き、焼きそばなど露天がたくさん、お化け屋敷の見世物小屋もあった。テキ屋さんのお化け屋敷には初めて遭遇した。入場料は600円。次々とお客さんが入ってキャーキャー叫ぶ声も聞こえる。楽しそう。
暗くなるまで待って、夜桜を見たい気もしたのだが、たくさん歩いて疲れたので、引き上げる。
途中、高田駅近くのクラフトビールの「Orion」というお店で、ハーフパイントで2杯飲む。1杯目は、上越市のオタマブルーイングさんの「ハルマチHazy IPA」。フルーティで爽やか。2杯目は、十日町の醸燻酒類研究所のの「スノーカントリーポーター」。焙煎の香りが鮮烈。
お通しのロールキャベツはソーセージをキャベツで包んだもの。いぶりがっこ風クリームチーズは、いぶりがっこ風に燻製して輪切りにしたタクアンの上に、蜂蜜とラムレーズンを練り込んだクリームチーズをのせたもの。お店の雰囲気も気軽なかんじで、暑くもなく寒くもなく、開け放った窓からからの風が気持ちいい。
このままずっと飲んでいたかったが、電車の時間。16時43分高田駅発の電車で、上越妙高駅へ。17時15分発の敦賀行きの北陸新幹線はくたかに乗った。新幹線は早い。18時20分には金沢に着いた。
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