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夏休み

今日の午後は夏休みをとった。12時ちょうどにお先に失礼しますと、職場を飛び出し自転車で走り出す。お腹が空いたので、中央卸売市場周辺の飲食店を物色する。午後は風呂に入るつもりなので、軽くなにかお腹に入れる程度にしたい。

ということで、お寿司のポンタにはいる。「ひとりです。」と店員さんに告げると、カウンターに空きがあるのに、なぜか座敷に案内される。メニューは、880円、1320円、1980円の3種類のランチセット。これらは寿司8貫で、並、上、特上で値段が違う。他に、12貫の満腹セット、1080円。15貫のセットが1400円。特上ずしの15貫セットは3300円。

私はランチBセット。上寿司8貫とアラ汁のセットだ。特上にしようかと迷ったが、昼飯に2000円も蕩尽するわけにもいかない。かといって一番安いセットにするのも、なんだかなぁ。結局、真ん中1320円のセットにしてした。汽車に乗るなら一等か三等。間の二等に乗るのは下衆な人間のすることと言っていた内田百閒先生に叱られる。

セルフサービスのアラ汁をよそいに行くと、先客がなにやら、何度も何度もお玉でアラ汁をすくっている。何をしているのかと横から覗き込むと、少しでも多くの魚の身をお椀に入れようと、お玉ですくったお汁と魚の身の混合物から、お汁を鍋に戻して魚の身だけをお椀にいれようとしたいる。1,2回なら我慢してまっているのだが、5回も6回もすくっては魚の身だけをお椀にいれてお汁を鍋にもどしている。セコい。自分の番がまわってきたので、お玉で鍋の底からぐぐぐいっとかき回すと、たくさんのアラがお玉にのっかっている。あまり考えずにお玉に引っかかった中身を全部ドサっとお椀にいれと、大きな骨ばかり積み上がってしまった。

そうこうしているうちにBランチが到着。イカ、サーモン、中トロ、ガスエビなど合計10貫のお寿司。10貫といえば回転寿司5皿分。回転寿司で5皿くらい食べても、全く足りないのだが、下駄の上に10貫のっている寿司を一つづつ味わいながら食べると、あら不思議お腹が一杯になる。

お寿司をさくっと食べて金沢駅に向かう。駅の駐輪場に自転車を置いてアパホテル2階のアパスパへ。ここは宿泊者でなくても1000円でお風呂に入れるのだ。露天風呂とサウナがあって、バスタオルとタオルも貸してもらえるので手ぶらでも大丈夫。平日の真っ昼間ということもあって、お客さんは私含めても5人もいない。観光客で賑わう金沢駅から徒歩30秒のところに、こんなのんびりできるお風呂があるなんて、私も最近まで知らなかった。秘密の温泉だ。今日は10分✕3回サウナに入った。出入り含めて1時間半ほど体がふやけるくらい風呂でのんびりした。

風呂で体が火照ったまま、次は駅のおでん屋さん黒百合へ行く。何も考えず「生中ひとつ。」一気に冷えたビールを飲み干す。スーパー銭湯の飲食コーナーで飲むビールとも違う。日常生活が繰り広げられる金沢駅で、自分ひとりだけ、日常から遊離してサウナでリラックスして生ビールを飲んでいる。そう考えただけで贅沢な気持ちになれる。

生ビールで一息ついたところで、牛すじ煮込みネギかけ、あじぬた、あじフライを注文。お酒が微妙に値上げされて、1合300円台のお酒がなくなっていた。一番安くて1合400円。今日は贅沢して1合600円の甚を燗で2合お願いする。黒百合に通うようになったのは、35歳で金沢にもどってきてからなので、かれこれ20年になる。厨房を取り囲むロの字のカウンター。駅のお店特有の常に人が出入りするざわざわした感じ、放おって置かれてる感は、ひとりで飲むときにはかえって心地よい。午前中から午後9時まで通しでいつでもお酒を飲める場所がある、ここに来ればなんとかなる安心感、近所にいいお店がある幸せを噛みしめる。

ここの鯵フライは780円。居酒屋のおつまみとしては高いが、いい鯵フライを食べると思えば安い。身はたっぷり4切れある。さらに骨はパリパリの唐揚げにしてつけてくれる。ボリュームもあるし美味しい。ウスターソースをおお目にかけると日本酒にも合う、ような気がする。

黒百合を出たのが午後3時。このまま喫茶店で夕方まで本でも読もうかとも思ったが、酔いが回って眠くなってきたので、おとなしく家に帰りガンガンにエアコンで冷やして、昼寝した。

たった半日ですが、よい夏休みでした。

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