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四万六千日

金沢市、観光客でにぎわう東山茶屋街の通りから、ひとつ浅野川寄りにあるのが観音町。この観音町の通りを卯辰山方面へ行って、突き当り右手の石段を登っていくと、長谷山観音院というお寺がある。

観音町の通り
観音院に続く石段

毎年旧暦7月9日は、観音院の「四万六千日」だ。この日にお参りすると、46,000日お参りしたのと同じ功徳があるという日で、藩政期から続いている行事だ。

境内では、縁起物のとうきびを売っていて、とうきびを家の玄関につるしておくと、魔除けや商売繁盛、家内安全のご利益があることになっている。

東山かいわいでは、毎年7月になると四万六千日を知らせるチラシが、そこかしこに張り出される。黒々と大きく刷られた「四万六千日」の文字のインパクトが強くて、金沢に引っ越して最初にこのチラシを見たときには、あれは何じゃ?、どんなオドロオドロシイ宗教の儀式なんだろうと思った。

四万六千日を告げるチラシ

どんな行事なのか気になってしょうがなかったので、引っ越した年にお参りに行った。とうきびも買い玄関につるした。とうきびは、翌年の四万六千日のときに観音院に納めて、新しいとうきびを購入した。

とうきび

旧暦の7月9日の開催と決められているので、毎年開催日が異なる。今年は8月12日だけれど、去年は8月24日だった。しかも、平日のこともあるので毎年お参りできるわけでない。

今年は10年ぶりにお参りした。秋から娘が留学するので、娘の無事を祈念しようと殊勝な気持ちになったのだ。

境内でとうきびを買って帰ろうとしたら、チラシの文字をそのまま印刷した、手ぬぐいとトートバッグを売っていた。トートバッグが無性に欲しくなり迷わず買った。

瞬間逆上気味に買ってしまったが、家に帰って冷静になってみると、金沢でこのトートバッグを使うのは、ちょっとあざといような気がするので、娘にお土産として渡して留学先でつかってもらうことにした。

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