イキルコト

走る。
走る。
走る。

喉が裂ける。
肺が破れる。
脚が千切れる。

止まる。

汗が出る。
汗が出る。
汗が出る。
湯気が出て、身体を冷やす。
じっとりとしたシャツは、吸汗性の限界を迎える。

これが、終電帰り。

これが、働くこと。

これが、生きること。

……嫌だ。

楽しく生きたい。
嫌なことは全て避けたい。

それでも、これが、生きること。

嫌だ。

誰に決められて生まれたわけでもない。
自分で決めて生まれてきたわけでもない。

生来どっちつかずの人間だ。

それでも今は、只走る。

いつかどちらに走るかわかると信じて、暗闇のなかをひた走る。

おこころづけ