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Mちゃんのこと。
学生の頃、養護施設のボランティアに参加したことがある。
まだ私自身も、ボランティアの本質を理解してはいなかった。
25日の、ある施設のクリスマス。
ツリーの飾り付けをしていた。
さまざまな親の理由で、預けられた子供達と接した。
無邪気にはしゃいでいる子も居るが、大概の子は、
子供ながらに、自身の置かれた立場をよく理解していて、思慮深かった。
孤独感が背後に満ちていた。
私も、子供時代を子供らしく過ごせなかった、埋めることの出来ない思いがあっただけに、何とも言えない気持ちになったのを覚えている。
ただ、なるべく自然体を意識して、明るく務めた。
その中のひとり。
忘れられないのがMちゃん。
5歳の女の子。
私生児として産まれ、実の母親のネグレスト、暴力により、入所した子だった。
まず、人から見られるのが苦手。
視線を感じたら、石のように固まってしまう。
私は横から、カニのように近づいて、ツリーに飾るオーナメントをそっと渡してみた。
Mちゃんは、近づいて来たことも、ふいに渡されたオーナメントにも、物凄く驚いて、逃げてしまう。
(知らない人、そりゃコワイよね)
そんなにも、心に傷を持つ小さなMちゃんが、切なくてたまらなかった。
私は、気にしないように、オーナメントを他の子と飾り付け始めた。
寄付されたオーナメントの中には、本場ドイツ製のものもあり、その美しさに感銘受けた。
あまりに夢中になってたせいか、いつの間にか、隣にいたMちゃんに気が付いたのは、その後…笑。
どうやら、「この人は敵ではない」
と…分かってくれたようで、
意を決して、静かに話しかけてみた。(カニ🦀のまま)
『その編み込み、可愛いね。上手だね。』
『お母さんが、Mのかんかん(頭の意味)をキレイにしてくれるの』
(話してくれた!)
『いいね、似合ってるね。わたしも編み込みしたいなぁ…』
(その時、私は無謀にもショートヘアでした)
頭の後ろにくすぐったい感覚を覚えて、気付くとMちゃんが、その小さな手で、三つ編みをしてくれていました。
(私は背が高いので、必死に小さくしゃがみこみ過ぎて、足が痺れました、笑)
クリスマス会の間、ずっと隣に居ました。
最後に、私に抱きついて離れない姿に、
その手の感触に、見上げる眼差しに、
「寂しさ」と闘っている彼女の胸中を思いました。
わたしも闘っているよ。
私は、自分も5歳の当時に戻って、Mちゃんと交流していたのだと思います。
だからこそ、背筋を伸ばして、私も生きなくてはいけない。そう思った、あの日。
あれから、だいぶ経つけれど、
どうか幸せで暮らしていて欲しい。
メリークリスマス。
(笑顔が何故か浮かびます…)
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