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個展『曼荼羅酉の市』、熊手アートのきっかけ。

2024年9月23日(月)~10月9日(水)
『曼荼羅酉の市』久喜ようた個展、熊手アート即売をすることになりました。
場所は神保町ブックカフェ二十世紀でございます。
個展初日のオープニングトークショーでは会田誠氏(現代美術家、アーティスト)と対談もさせていただける事になりました。是非お立ち寄り観てみてください。

大小様々な熊手アートをその場でお持ち帰りできます。

今回はどうしてうちが熊手アートをやるようになったのかお話出来ればと思います。個展の告知は目次から、それでは熊手アートの世界へようこそ。


石垣島BAR「うるべ」に飾ってあった熊手を見て。

石垣島の新川の方にBAR「うるべ」はある。
うちはよく1人で行く、ニクヤさんからいただいた自転車を漕ぎながら歌を歌って真っ直ぐ市役所通りを行く、誰と行ってもいいんだけどなんとなく1人でもいい。
「うるべ」のマスターキースさんとサシで話すのもその場で知り合ったお客さんと話すのもなんでも好きな場所、音楽の鳴る場所で居心地が良い「うるべ」

「うるべ」にはうちの絵も飾ってくれている。魔除けとして2023年正月に描いた絵。
ガラスの扉を開けるとカランカランと金属の音が鳴る。薄暗い店内から犬のコンキチがお出迎えしてくれる。「もうおやつ後であげるからねぇ」と店内に入るとうちの顔を見たキースさんが声をかけてくれる「お〜ようたか、元気しとるば?いつものでいいか?」と灰皿と殻付きジーマミーを出してくれる。
いつものというのは「ビタミンの多いやつ」の事だ。
お酒の飲めない喫煙者はビタミンが必要なのだ。
「甘いのにするか?酸っぱいの?炭酸入れていいか?」キースさんはグラスを用意しながらオーダーを聞いてくれる。
「甘いので!炭酸勿論ですむしろ実験してください」実験は大好きだ成功でも失敗でもなんでも美味しいのだ。
「今日はシークヮーサーあるんだよ、それでやるかそうだな」
そしてキースさんもそのまま実験してくれる。そういう所も大好きだしキースさんの作るものは美味しいのでその間煙草に火をつけながら通称コンキチガチャという100円のガチャガチャでコンキチのおやつが手に入るガチャをガチャガチャする。
こういう時だけ近う寄ってくれるコンキチ、そういう所が好きだな。

魔除け絵、左に見えるはまだ熊手だった熊手

「熊手改造していいですか?」

ビタミンを待っていると熊手がある事に気づいた。
「キースさん、石垣にも熊手文化あるんですか?」うちは自分のない知識で関東の文化だった気がするなぁと思いながら聞いてみる。
「分からんさぁ、正月に桃林寺で買ったんだよ」とキースさんは出来上がった飲み物を目の前に置いてくれた。
「これ改造していいですか?」なんか作れそうでなんか楽しそうでなんか幸せっていうものを一つ具現化できたら面白いなぁと思って言ってみた。
するとキースさんは「ヨウタの好きにしていいよ、やっちゃえよ」とキッチンからオリオンの紙袋を持ってきてくれて持って帰らせてくれた。

うちは数日後友人のイケちゃん家に持って行った。
「やほーここで熊手魔改造して良き?」「熊手ですか?改造?どういう事ですか?ようたさん熊手ってなんですか?暑かったでしょうお茶ありますからばんない飲んでください」「熊手って内地にしかないのかなぁ、ありがとうだよー」
心優しきイケちゃんがくれたお茶を飲みながらオリオンの袋から熊手を取り出す。
「これが熊手だよ!知らない?」「ヒヌカンみたいな事ですか?」
ヒヌカンとは沖縄の文化で、家の中に住む神様の事だ。お台所に祀ってるのを見る事がある。
「ちょっと違うかも、商売繁盛とか幸福とかを熊手で掻き集めるって感じ」「へー!何それ!いいですね」
「これを今から魔改造しようと思う!」

熊手を作ったり改造したりなんて初めてだったものでまず手始めに熊手から全てのパーツを取り外し分解してみた。
「ようたさん、これからどうするんですか?」「わからん」「えっ」イケちゃんは本当にこの人バラバラにしといて何言ってるんだろう?という顔をしていた。
「とりあえず、1番強いプロレスカードくれ・・・」

創造と破壊と想像で創造

イケちゃんが持ってる中で一番強い藤波辰爾のカードをいただき、アナーキーバッチ、石垣は海が綺麗珊瑚、旅人の木の抜け殻を並べ、ハロウィンの時に血糊で使った食紅を粘土に混ぜて捏ねる。
石垣で何かを作るというのは大体道具や画材はありものでやる。限られた中で自分の最大限を引き出さなければならない。離島ですぐ手に入る環境ではないのだから。だから楽しい。
初期装備のおかめ面に猫と達磨を紙粘土で変身させ色々とパーツを作っていく。
勿論曼荼羅キューピーちゃんも忘れずに。テーマとは最強の守護神熊手であった、縁起を盛りに盛る。キースさんの事うるべの事を考えていたらてんこ盛りになってしまった。それを後はバランスを見ながら感覚で組んでいく。
自分で用意したのは持ってきていたキューピー人形とポスカマッキー、100円均一で買った紙粘土と針金、新川のマックスバリュで買ったボンドだ。
解体した時にこうなってるんだなぁと学習した事を応用し自分のやり方でくくり付けていった。

そして出来たのが熊手アート一号「うるべ」熊手だ。

うるべに納品。

数日後うちと石垣島の縁を結んでくれたハヤシさんに写真を撮ってもらっていた。
ハヤシさんは今この石垣島で100人を撮る企画をやっていて「ようた誰か撮ってもいいよって人いるかな?」と聞かれていたのでキースさんに話をしてみたら「おう、シュッとしたにーにーね、いいよ、俺でいいのかぁ?」と恥ずかしいなぁと撮影を承諾してくれた。
午後1時、ハヤシさんの車で「うるべ」に到着する。
お店に入るとキースさんは2人分のお水を出してくれてまずはハヤシさんから今日のお礼の挨拶や世間話。うちはそれを隣で聞いている、キースさんの照れ臭そうな様子に少し笑みが溢れてしまう。
小雨降る中でキースさんを切り取るハヤシさんをカメラの後ろから見守ってうちの本題改造した熊手を渡した。

熊手アート一号「うるべ」

「重さが10倍くらいになってしまったんですけど、あとそれは藤波です」
「ようたありがとう!熊手は正月に取り替えるからさ、後1ヶ月だよ、ヨウタにプレッシャー与えてみた、なんてなぁ」

納品した日は2023年11月13日。
2024年も賄っていただいてと勝手言ってますが今年は来年の熊手をお届けしますからね。よろしくお願いいたします。

熊手アートへの想い。

BAR「Tandy ga tandhi」への熊手

あれから6本の熊手アートを作った。
熊手アートを作る時に思う事心掛けている事がある。
熊手は福を掻き集める縁起物。 アート熊手は日常で見て幸福になれるもの、好きな色、モチーフ、見ていて楽しく、驚くような、偶然見つけ出す喜びのようなギミックも入れて生活の一部に色が付くと幸福だなと制作しています。
おもちゃ箱を好きな物で埋め尽くす感覚です。 私の作品は埋め尽くすように描く、並べる事が多いです。 この作品もその一つで、その所狭しと配置したものの中から小さな幸福を見つけてくださる事があったら、すでに一つ幸福を掻き集めていただけた、そう思えるアートです。 オーダーメイド品は、好きな色どんなモチーフが好きかヒアリングしながら世間話からも拾って組みます。 アート熊手は人の心と会話して繋がったその人だけの作品でもあるのです。童心に帰るような目指してく過程で必要なもの、ワクワクする事をこれからも盛り込んで行けたらなと思って制作しております。

今回の個展『曼荼羅酉の市』では手のひらサイズから大縁起なるドデカいサイズまで大小様々なサイズの熊手を全て一点もので展示即売いたします。
開催日まで20日を切りましたがまだまだ制作中です。展示場を埋め尽くしたいです。個展開催中も制作し増やしていこうと思ってますので是非触れて自分だけのお気に入りの熊手を見つけてくださいませ。

久喜ようた個展『曼荼羅酉の市』個展情報。

2024年9月23日(月)~10月9日(水)
11時~19時(金曜日は12時~17時)
定休日:月曜日、木曜日
東京都千代田区神田神保町2-5-4開拓社ビル2F
「神保町駅」A1出口より徒歩30秒
場所:神保町ブックカフェ二十世紀

電話:03-5213-4853 問合せ:kirira@nifty.com

「南島曼荼羅 曼荼羅酉の市」開催記念
オープニングトークイベント
枠に収まらないで在る事
出演:久喜ようた(画家、モデル)
会田誠(現代美術家、アーティスト)
9月23日(月祝)14時半受付開始 15時開演
定員:50名 入場料2,000円 予約1,500円 ドリンク代500円
会場:ブックカフェ二十世紀(ネオ書房運営)

性別を超えノンバイナリージェンダーとして在る久喜ようた。美術館に絵を見に行くのが苦手な私が、小さい頃から本や街の中、あらゆる場所で出会い、心躍る体験をした会田誠氏の作品。今回、画家とモデル両方の展示のはじまりにあたってお話いたします。
生活とそこから生まれる絵についての対談。表現を枠づけようとする我々の社会はこのままでよいのであろうか。
予約はこちらまで→ kirira@nifty.com

ニクヤ個展『南島曼荼羅』

石垣島「カロライナの肉屋」のオーナーニクヤさんとのダブル個展になります。
沖縄県石垣島にあるBAR「カロライナの肉屋」その佇まいは現地に行けなくともネットで調べれば画像が出てくるだろう。石垣島の1番のお土産物街にあるこのBARの店主「ニクヤ」私、久喜ようたはニクヤさんの誰よりも人間で下衆で深い情を持ち深く心を見つめる目に。独学で埋め尽くされる絵に心打たれ私は勝手に絵の師匠と呼んでいる。出会いは2018年だった7年の時を壊して笑って描いて対話して築いたこの関係が東京神保町にて展示が始まる。
絵のモデルは全て久喜ようた、描いてもらった絵から出る人間という生き物はどんな形をしているのか。
絵描きではないニクヤと久喜ようたの南島・石垣島の日々。

ダブルで個展、トークショーとトリプルで是非楽しんでいただければと思います。
心より御来廊をお待ちしております。

うれしいこと

久喜ようた。

久喜ようたの書籍発売中です。


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