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熱い想いを本に乗せて。

前回のあのあと。
私は確かに胸に燻るものを抱えていた。

描きたいものを描ききって、持ち込んで、人と交流する。
前回触れた描きたいものを描き切るのもそうだが、特に他人同士が交流するのを見ているのは微笑ましい。なんか空気を味わうだけでも嬉しい。

それを売り子という立場で一気に美味しいところだけ体験するのはそれはズルってやつなんじゃないか?という気持ちがぼんやり湧いてきた。
他人同士の交流をあの席から眺められるのは、途方もない産みの苦しみを乗り越えているからなんじゃないか?そんなに安くもない参加費とギリギリの赤字を抱えて道楽としてあの席に立つからこそのご褒美なんじゃないか?(零細サークル並の感想)だと、急に思ってしまった。

そしてふと思い立った。

そのズルに見合うだけの苦労をしようと。
すなわち本を出そうと。思った。

ただ出してもしょうがないので友人のサークルに頼み込んで直近のイベントの冬コミに急遽置かせてもらうことにした。(既に帰省の予定を入れていたため)急なお願いだったのに了承をいただいて本当にありがたかった。神。本当にありがとう。
それから締め切りを決めて、作業に取り掛かった。

あまり扱ったことのないジャンルだっていうのに、プロットは30分で終えられた。なんなら捗りすぎて仕事中にネームをきってた。知らないうちに40Pを超えていた。
みせたいコマも、動きも結構簡単に思い描くことができた。
そしてネームがしっかり決まっているので一番時間のかかるペン入れも好きなコマから始められて、いつでも進捗に結びついた。
夏の時からは考えられないほど、完成までの動きがはっきりしていた。
そして、ネームがしっかりできていて進捗を生み出やすい環境があったから、何があっても切り替えて作業に入れた。
何より原稿作業が楽しかった。
そして通常締め切りとはいかなかったものの、見事印刷所に入稿して脱稿した。

本は冬コミで少数部、友人のみに旅立っていったと聞いた。
それでいいと思う。しっかりあのズルの分私は描きたいものに向き合って、描ききったんだと思えるから…

と、思っていたのだが。
この本を買った友人が界隈の方に本を持って行ったところ、大絶賛されていたらしい。
というか歓喜のLINEが届いて正月早々叩き起こされた。えっ本当に?と思ったけど界隈では大歓喜の模様だった。今、ここにある本という情報がありがたいということだった。
知らず知らずのうちに私は即売会に参加した友人と同じくDo it your selfをしていたのだった。

そして正月明け、自分で刷り上がった本の実物を見た。
しっかり印刷された普段より倍の厚みの本。
タチキリも正常。
そして絶対入れたかった遊び紙。
テーマにぴったりのカラーで入れられた。

自信と勢いを持って本を作ると、こんなにも自分で良いと思える本ができるんだと学べた。

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