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その時の私を救った曲

あなたの人生に明確に救われたと思う瞬間はあるか?
人だったり時間だったり物だったりいろんなものに救われたと思う瞬間はあれど、私が1番記憶しているのは音楽に救われた瞬間だった。
その中でも特に記憶のある2曲の話をする。

1曲目:手紙〜拝啓・十五の君へ〜/アンジェラ・アキ

その頃私はまだ15にもならないぴよぴよのひよこであった。
日々いじめられたりやり返したりでひよこなりにすり減っていた。
みんなとなぜ仲良くできないんだろう?みんなどうしてそんなことするんだろう?実は一生このままなんだろうか?(ひよこの時に卒業したら離れるということは理解できなかった)
学校には行きたくないが、行かないと親とか先生とか後始末が面倒だ。
そんな暗鬱な気持ちで毎日近所の祖母の家に学校が終わってから晩御飯の時間まで転がり込んでいた。

そんな折、祖母の家のテレビをぼんやり見ていたらNHKのみんなのうたの枠でこの曲が流れたのだ。
思わず釘付けになってしまった。
今までそんな釘付けになってしまうような経験はなかったのに。
今辛いかもしれない人生も全て意味がある、夢を育てることを恐れないで欲しいと言う歌詞が誰にも話したことのなかった学校での辛さを全て肯定してくれたような気がした。
流れたあと、私は思わず涙をこぼしていた。
祖母は何か察したのか、それでも私に普通に振る舞ってくれて私にはそれがありがたかった。

2曲目:原罪と福音/東京事変

これは割と最近の曲になる。
元から私は椎名林檎が好きだったりするのだが、その都合で東京事変もぼんやり追いかけることがある。
ファンクラブに入ったりライブに行くような類ではないがとりあえず曲が出たら聴きに行く感じ。
そんなノリでこの日もFNS歌謡祭をつけたら東京事変がそろそろ出番だと言うので見ていた。しかも新曲初披露らしい。

現れた東京事変がこの歌を披露した時、冗談抜きで儀式めいて見えた。歌い始めた瞬間空気が変わったのだ。
心をゆっくりと洗うようなバラードだった。
もちろん彼らがそう言う格好をして出てきたと言うのはあると思う。たしかサンタと天使と牧師だったような気がするが、それにしてもだった。

さすがに昨今の情勢も当時2年目となり、世の中を窮屈に感じることも少なくなくなった。
というかこんな世をみんな耐えてるんだから当たり前に余裕がないのだ。
家族とも以前と比べたら本当に些細なことで空気が悪くなることも増えた。
そんな時に人間は愛する人を満たすために生きていたいだけ、なんて曲を聴いたらそれは聴き入ってしまうのも当たり前だった。
もう自分のことを許して堂々と生きても許されるんじゃないか、それを決めていいのは自分自身なんだ。
そう歌われる歌詞から、東京事変から目が離せなかった。
東京事変に乗せられることはあっても心底励まされたような気がしたのはこの曲が初めてだった。

本当に鮮明に覚えているのはこの2曲だ。
今も私の心を救った曲を私は忘れない。

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