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伸びる締め切りの、その後

上のnoteでウダウダと言い訳していた本が出た。
そしてごくごく少数部が旅立っていった。


あの後

あの後、本当に最後、直前に徹夜を敢行し私は文字通りの死に物狂いで本を仕上げた。全盛期の自分と1ミリも変わらない力、すなわち40時間で本を仕上げるのである。
ペン入れが一番時間がかかってしょうがないので素早く終わらせる…それからトーン・ベタ、セリフ入れ、表紙文字組み、後書きの順に終わらせる。終わった。
よいこのみんなは真似をしないように…印刷所でデータ不備が発覚して出力し直したり、右綴じ左綴じがだんだんわからなくなってくるからね…

そうして前日に出来上がったのは全12ページの拙い本である。が、紙を折ったらそれは紛れもなく本なのだ。
印刷所に駆け込んで刷ったり、閉店間際の100均に駆け込んで感染対策用品を買い込んだり、慌ただしく前日までが過ぎ。

そして、当日がやってきた。

当日のこと

当日売子と合流し、設営する。何にも覚えてない。
平面に物が置ききれない。
棚を使えばもう少し物が置けることも忘れてぼんやりしていた。
売子に手伝ってもらって設営完了、開場。

そこからはまったりとした時間が流れた。
私の配置されている区画はとあるジャンルの、昔からあるCP…言ってしまえば旬じゃない方のCPのエリアだ。
お向かいさんの方が旬な方になるので来る人はそちらを見て歩く。
周辺スペースに立ち寄る人の会話を聞いていると、やはりコミケにだけ出す人というのがいるらしく(私もそう)生存確認して喜び合う構図が見られた。
コミケの醍醐味の一つに推し絵師の実在・生存確認はあると思う。
私も今回、初めて推し絵師の存在を確認できた。嬉しすぎて何も声が出なかった。
本当に無事に開催できてよかったな…

そんなこんなで知り合いの差し入れをもらったり自分も少し買い物に出たりして当日は終わった。
新刊と既刊が少し捌けた。こんな本でもお手にとっていただいた方には感謝しかない。毎回新刊を買っていただいてる方ももしかしたらいるんだろうか。そうだとしたらさらに感謝しかない。

感想

今回記念すべきC100に出られたのは驚くべきことでもあり、喜ばしいことでもあった。普通にここ2年まともに絵なんか描いてなかったのに、当選通知をもらったときは本当に正気か!?という気持ちでいっぱいだったけど。

そこからコンセプトから設定から練ったのになーーーーーんにもかけなかったのは相当堪えた。お前の2年間のプライベートはもろに空白なんだよと言われたような気がして。冗談じゃないと思いながらも手がさっぱり動かないのは本当で、何度新刊が落ちると思ったか。何度印刷所の締め切りを検索して、当日見送ってを繰り返したか。
なぜこの状態から新刊がでたのか、正直わからない。追い詰められて出るアドレナリンなんかもう使い果たしてしまって無かったのに。
なぜか原稿を進めているとき、あの時だけもう無理という感情は消えていた。
外の世界のことやこの後のこと、同居人の存在、毎日を平和に暮らすためにこなすはずの日常ルーティン、それとこの後食べるご飯のこと。全てを考えずにただ推しCP=原稿だけに集中できた。あの時だけは全てがクリアな思考・視界でかけた。
今後このジャンルもしくは他ジャンルでまだ描こうとおもうなら、間違いなくここは課題になるのでどうにか思考をクリアにする方法を模索していかないといけない。

そういえば…もし新刊が出た要因が一つあるとしたら、前日からでも印刷できる印刷所の存在を教えてくれた友人のことはあるかもしれない。
その友人は私の惨状を聞くと、「諦めるな」という言葉とともにいくつか印刷所をピックアップしたリストを送ってきてくれていた。営業時間から逆算して原稿を進め無事に入稿できたのはその友人の助言も大きい、と思う。
本当に感謝しております…

なので今回は以下で締め括ろうと思う。

最後まで諦めなければ、本は出る。

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