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【帝王切開】手術前日 - おいしい夕食で一筋の光 -

午後から入院して数時間のあいだ、
ベッドのうえで、落ち着かない気持ちで過ごしていた。

夕食の時間になり、運ばれてきた夕食をみて、
『わぁ・・涙』

なんとも言えない温かい気持ちが溢れて、
涙が出てきた。

料亭のような和食の丁寧な味付けに、
工夫された彩り豊かな盛り付け、
ひとつひとつがおいしくて色んな人の想いを噛み締めていただいた。

明日の手術で、もし何かあってもこれを食べれたことを幸せに感じていようという前向きな気持ちが溢れてきて、食べるって幸せなことだって思えた。
早食い癖が出て、一瞬反省もした。
もっとゆっくり噛み締めて、丁寧に食べたいって心の底から思った瞬間だった。

明日今まで経験したことないことを経験するんだっていう事が受け止められずに、
そわそわして落ち着かない気持ちでいっぱい。

剃毛の時に、看護師さんから『お腹が大きいのも今日までだね』と優しく声をかけてもらって、
そうなんだって自分で気がついて、

心身ともに色んな思いを抱えて過ごしてきたので、決して短くは感じられなかった妊娠生活が明日で終わるっていうのが、嬉しいのか寂しいのかも分からない気持ち。
ただただ、周りに支えられて日々過ごしてきた。

お腹の子は、いつもはテレビの音や話し声に反応して胎動するけど、静かな病室でおいしい夕食を食べたあとに大きく伸びをしてお腹を押してくるのがわかった。きっと美味しいって思ってくれてるにちがいない。

例えるなら、刑の執行を静かに1人で待つような気分っていうのだろうか。
そんな気分で、いいも悪いも嬉しいもの悲しいも寂しいも分からないで、ただ時間が過ぎていくような感覚。
そんな感覚のなかで、おいしい夕食を食べたことで血が通い始めて、気持ちまで温かくなることができた。

あと数時間後、明日の何時か分からないけど、
君は外に出てきて生まれるんだよなぁ・・
どうやって接したらいいんだろう。
私はどういう風に感じるんだろう。

楽しみっていう感情ではないのはわかる。
怖い、不安っていうのともちがう。
どうしたらいいんだろう、どう思ばいいんだろう、戸惑いに近い両極端のどちらでもない感覚。

ただ素直に自分がどう思うかを
感じてみるつもりだ。


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