見出し画像

白いハイドランジア。

とっくに梅雨入りしたと思っていたら、今年の梅雨入りは例年より遅く、関東・甲信エリアでは今日あたりから梅雨が始まるとのこと。なるほど、あの30度近い暑い日は異常ではなかったのかと思うと同時に、これから1か月ばかり雨の季節が続くことを考えると、やれやれといった気分になる。

梅雨といえば、紫陽花(あじさい)。いたるところで紫陽花の花をみかけるようになった。季節を代表する花であり、不思議な雰囲気がある。

理科の豆知識ではないけれど、紫陽花の花の色は、土壌の成分の影響を受ける。酸性の土であれば青い色、アルカリ性の土であれば赤い色になる。ちなみに中性は紫。根から吸い上げられたアルミニウムがアントシアニンと結合することにより、花の色になる。だから、青と赤のきれいなグラデーションになっている場所もある。

混乱するのは理科の実験で使うリトマス試験紙と逆になることだ。リトマス試験紙では、酸性が赤くなり、アルカリ性は青くなる。文系なのでよく分からないのだけれど、調べたところ、リトマス試験紙はリトマスゴケから取り出したアゾリトミンという色素の分子が反応するらしい。

ところで、最近は真っ白な紫陽花をよく見る。たいてい紫陽花は暗い場所に植えられていて、深い緑の葉だから、闇の中にぽっかり明るいスポットライトの陽だまりができたような存在感を醸し出している。コントラストが目立ち、ぽうっと浮かび上がる白が眩しい。

白い紫陽花について調べていたら、紫陽花の学名はHydrangea macrophyllaであり、ハイドランジアと呼ばれていることを知った。なんだかカッコいい。同じ紫陽花でもニュータイプみたいなイメージだ。

デイヴィッド・シルヴィアンの楽曲の歌詞で、ハイドランジアという言葉を聞いたような気がする。探してもみつからないので、偽りの記憶かもしれない。とはいえハイドランジアという言葉は、彼の気怠い曲に似合いそうだ。

花屋さん的な意味としては、ハイドランジアは日本原産の紫陽花を西洋で品種改良したものらしい。コットンキャンディなど、ピンク色の紫陽花もある。紫陽花も進化している。

ふと思い出したのだけれど、松田聖子さんの曲に『赤いスイートピー』という曲がある。松本隆さんの作曲による昭和アイドル歌謡の名曲だ。

実は、松本隆さんはスイートピーに赤い花がないことを知らずに作詞されたそうだ。歌詞に編まれた赤い花は、架空の世界でしか咲いていないスイートピーだった。ところがヒット後に品種改良をして、歌詞通りの赤い花が市場に売り出されるようになったという。凄い。

人間の想像力は現実を変える。それがよいのか悪いのか分からないけれど、地球上の生物を変えてしまうチカラを人間は持っている。

白いハイドランジアの花言葉は「寛容」。「一途な愛情」の意味もある。6月といえばジューンブライド。ブライダルの季節でもあり、結婚式にも白い紫陽花は使われる。

そんな白いハイドランジアをイメージした曲を趣味のDTMで作ろうと考えて、X(旧Twitter)で公開した。雨の季節でもあり「Rain」の「-ain」、「ハイドランジア」の末尾の「-ア」で韻を踏もうと試みた。うまくいったとはいえないけれど、土曜日の深夜に6時間以内で完成させるという縛りを決めて制作した。

紫陽花(ハイドランジア)は見た目から、星雲に似ていると感じている。そこで「地上の宇宙」という歌詞を入れてみた。

だいたい、こつこつDTMのピアノロールに打ち込まなくても、プロンプトさえ入力すれば生成AIが音楽を作ってしまう時代だ。かつてVocaloidが登場した頃に、合成音声ってどうなの?という嫌悪感を抱いた方が多かったと思うが、それを超える時代に突入している。

つまり、人工的なものが自然になりつつある。それがよいのかどうか。まったく自分には分からない。ただ、未来には人工知能や人工生命体も自然の一部になっているのではないか。白いハイドランジアがふつうに咲き、人々の日常に受け止められるように。

雨降りの日、傘を差しながら歩く路上で、白いハイドランジアに出会えることを楽しみにしている。

2024.06.21 Bw

Xで公開した自作DTMになります。最初はスクリッティ・ポリッティみたいなリズムをイメージしていました。まったく変わってしまったのだけれど。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?