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22-23 ユベントス 通信簿

毎年恒例?の各選手を5段階で評価してみようという企画です。

GK

シュチェスニー …  5

個人的には今季のMVPはシュチェスニーです。GKとしてできることは全てやってくれたと思います。ビルドアップの貢献が低いなど言われることもありますが、ユベントスが求めるGKはゴールを守ることが第一です。シュチェスニーがいなければ失点していたであろう場面は数知れず。逆に失点したシーンはGKにとってはほぼノーチャンスでした。決定機を作れど作れど得点に繋がらなかった今季のユベントスが勝ち点を拾い、ELで準決勝まで勝ち上がれたのはシュチェスニーによるところが大きいと思います。

ペリン …  4

シュチェスニーの不在を見事に補う活躍を見せてくれました。ペリンのファインセーブで命拾いすること多数。仮にシュチェスニーが退団することになったとしてもGKに困ることはないでしょう。改善点としては、ボール保持時の不安定さ。シュチェスニーに比べて劣る点はビルドアップです。ハイプレスに対して慌ててしまうことが多く、ボール保持が安定しない要因の一つとなっていました。

ピンソーリオ … ー

プレー機会はありませんでした。しかし、第3GKは絶対に必要な存在です。シュチェスニーにケガがあった今シーズンは、ピンソーリオがベンチにいることが重要でした。さらにトレーニングでも欠かせないはずです。何より、ピッチ外でのトラブルによって精神的に難しいシーズンを乗り越えられたのは、ピンソーリオのキャラクターが支えになっていたのではないでしょうか。出場機会がなかったにも関わらず、契約が更新されたのは、彼の存在意義の証明です。

DF

デシーリオ …  2

やっぱり今年も怪我で離脱したユーティリティプレイヤー。怪我さえなければ左右のサイドバックの役割を高い次元でこなしてくれるため、ターンオーバーを敷くことも可能にしてくれる選手ですが、怪我が多すぎて正直計算できない選手になってしまっています。サイドの守備や周りの選手に合わせてプレーできる高い戦術眼は健在でした。来季も怪我次第でしょう。


ブレーメル …  5

シーズン開始当初は環境の変化に戸惑っていた様子もありました。しかし、3バックがベースになってからは高いフィジカルを活かした対人守備で正にゴール前の壁となりました。素早いカバーリング、読みの鋭さ、当たりの強さ。空中戦も強く、外からのクロスを悉く跳ね返していました。ブレーメルがいるかいないかで守備の強度が2段階くらい違っていた印象です。向こう5年はCBを任せられる選手だと思います。キエッリーニの正統後継者と言えます。ブレーメルを手放してはいけない。

ダニーロ …  4

異様なシーズンを過ごすチームをまとめ上げたアニキ。鬼気迫る表情でチームを鼓舞し、決死のクリア、魂のカバーリング…気迫あるプレーで後方からチームを支えていました。そしてディフェンスラインならどこでもプレーできる柔軟性は、ケガが相次いだ守備陣にとっては大きな助けとなったでしょう。何度か決定的なミスはあったことがマイナスですが、メンタル面で今季のユベントスを支えてくれました。

サンドロ … 2

左サイドバックと3バックの左を担当。ドリブルによる持ち運びでチャンスを演出していましたが、軽い守備で失点に絡むことも多々ありました。今季のハイライトは後ろから押されて倒れるものの流されて失点してしまったシーンでしょう。しかも2回も!サンドロのセルフジャッジが悪いのか、審判の判断が悪いのか…。出場試合数が多かったのはプラスですが、肝心の守備が軽かったのは大きなマイナスです。

クアドラード … 4

マッケニーやキエーザを使わなければならなかった右WB、右SBを一手に引き受けてくれました。攻撃性能は相変わらず高く、独特のリズムのドリブル、速いクロスで決定機を演出し、ダイアゴナルな飛び込みから得点も奪っていきました。クアドラードがいなければ、右サイドは死んでいたでしょう。特に後半戦は出場しっぱなしでした。ただ、自陣からドリブルして奪われるなどの判断ミスは相変わらずでした。

ガッティ … 4

主に後半戦から出場機会を得て躍動しました。高いフィジカルを活かした守備に加えて、守備戦術の理解や守備の読みの鋭さ、ビルドアップの貢献度は高まり、レギュラー格と言えるまでに成長しました。高さと強さを活かしたヘディングによる得点もあり、セットプレーの期待値を上げてくれた点も好印象でした。裏を狙ったプレーへの対応が今後の課題です。

ボヌッチ …  1

度重なる怪我で出場試合数は激減。出場した試合では持ち前の急所を突く鋭いパスは健在でしたが、肝心の守備では存在感を発揮できませんでした。むしろ出場した試合に限って失点するなど守備の衰えを指摘されても仕方がない印象です。キャプテンとしては期待外れというほかなく、厳しい採点となってしまいました。

ルガーニ …  1

出場した試合では守備、ビルドアップも無難にこなして見せましたが、いかんせん出場試合数が少なすぎます。攻守のバランスを考えれば、もっと出場していなければいけない選手のはずです。アッレグリの信頼を得られていないなら、移籍して出場機会を求めてもいいと思います。


MF

ロカテッリ … 4.5

いるといないとではまるで別のチームになるほどの影響力を備えるまでになった近未来のカピターノ。ポジショニングとパスワークでビルドアップに貢献しつつ、身体を張ってディフェンスラインの前をプロテクト。攻守に絶大な存在感を示していました。攻め上がった際には高い技術とアイデアで決定機を演出しており、アタッキングサードでも違いを見せています。物足りないのは得点です。得点力を向上させれば、絶対的な選手へと成長できるでしょう。

マッケニー …  2

中盤では飽き足らず、右WBにも挑戦しました。結局はファジョーリにポジションを奪われ、リーズへとレンタルされることになりましたが、危機的状況にあった右サイドを一時的にでも救ってくれたことには感謝すべきかもしれません。推進力と戦術眼があるため、意外と右WBもしくは右SBはハマるかもしれません。残るなら奮起を期待したい選手です。まずは身体を絞ってシーズンを迎えてほしいところです。

ポグバ …  1

怪我でほとんど出場しないままシーズンを終えました。しかし、出場した試合で示したクオリティはチーム随一でした。高い技術、傑出した戦術眼、当たり負けしないフィジカル。メルカートの結果に関わらず、ポグバの復帰が来季に向けた最大の補強になることは間違いないでしょう。怪我がないことを祈るばかりです。

コスティッチ …  4

左サイドを駆け上がり、多数のチャンスを演出したクロッサー。左のアウトサイドを主戦場とする左利きの選手は最近では珍しく、得点よりアシストやチャンスメイクでチームに貢献していました。クロスが最大の武器ですが、ゴール前にターゲットがいないことも多々あり、チームとしてコスティッチを活かし切れなかったように思います。何より、カウンター発動時には必ずゴール前まで駆け上がって攻撃に厚みを加えていたことはもっと評価されるべきでしょう。

ミレッティ …  4

ユベントスの攻撃に意外性や創造性を加えることができる稀有なヤングタレント。ディマリアとのパス交換はまるでダンスを踊っているかのようでした。さらにスペースに走り込んで決定機に絡んでいきます。課題は決定力。ミレッティが決めていれば…というシーンはいくつもありました。今季のハイライトは13節のインテル戦。若さ漲るスピードとスタミナを活かした縦横無尽の守備でインテルの攻撃を封じ込めました。攻撃のタレントながら守備にも活躍できるミレッティには、今後のユベントスを背負って立ってもらいたいところです。

ラビオ …  4

覚醒のパワードリブラー。ペナルティエリアへの走り込みをついに解禁し、FWがパッとしない中得点を重ねました。他にも懐の深いキープで時間を稼ぎ、運ぶドリブルでボールの前進に貢献。ビルドアップの大部分をラビオ1人で担っていました。守備のポジショニングも改善されており、守備の貢献度も上がっています。序盤と終盤に調子を落としてペナルティエリアから遠ざかったのは残念でした。

パレデス … 2

最終盤に調子を上げてロカテッリのバックアップを努めました。本来はレギュラー格として獲得したはずなので物足りなさを感じます。パレデスは動き回って攻守にリズムを生み出すタイプの選手で、ディフェンスラインの前をプロテクトするタスクが与えられるユーベのアンカーに向かなかったのかもしれません。キック精度や縦パスの鋭さで輝きを放っていました。新天地での活躍を期待しています。

ファジョーリ …  4

今季ブレイクしたユベントス期待の新星。本人はユベントスの10番に憧れを持っているようですが、タイプ的には8番・マルキージオの後継者のように思います。テクニックもありつつ、最大の持ち味はそのダイナミズムでしょう。ピッチを所狭しと走り回り、サイド深い位置まで下がって守備をしたかと思えば、ペナルティエリア内に飛び込んでシュートを放つ。ネドベド→マルキージオの系譜を継ぐ選手として、フォア・ザ・チームを体現するプレーを見せてくれたと思います。

バレネチェア …  ー

出場試合数は少ないもののポテンシャルの高さを見せてくれたと思います。周りを見つつ判断を下せる冷静さと1試合で修正してきた守備のポジショニングは更なる成長を期待させてくれました。恵まれたフィジカルもあるので、ポグバやラビオ追いかけてほしいところです。


FW

キエーザ …  2

ワールドカップ後に待望の復帰を果たしたスピードスター。得意のドリブルでチャンスを演出しましたが、判断のミスと守備意識の低さで失点にも関与し±0という計算になってしまいます。ナポリ戦、セビージャ戦と大事な試合でポカをやってしまって更に印象が悪くなったように思います。ただ、怪我から復帰したシーズンなので、来季以降に期待するべきかもしれません。

ブラホビッチ …  2

チームの軸としてスタートしたものの細かいケガを繰り返し、シーズンを通して出場することができなかった姿は昨季のディバラが重なります。それでもセビージャ戦のゴールなど、重要なゴールも決めていることもまた事実。何より、移籍金やフィオレンティーナ時代の数字から厳しい目で見られがちですがまだ23歳。ポストプレーの精度も上がっており、守備意識が改善されればFWの軸となれる選手だと思います。

ミリク …  3

メルカートの締切間近にレンタルで獲得したミリクが結果としてFW陣を支えてくれました。ナポリ時代の動きの鋭さは失われていたものの、的確なポストワークと積極的なプレスバックでチームに貢献。その姿勢はブラホビッチに是非とも見習ってほしいところです。決定機逸も意外と多く、その点がマイナスポイントです。正式に加入が決まり、若手が多くなるチームでリーダーとしての役割にも期待したいところです。

キーン …  2

ハイライトは交替40秒で相手にカマした膝蹴りでしょう。ゴールやシュートよりこちらの方が印象に残っている時点で、難しいシーズンだったと思います。セビージャとの2nd legで先発起用されたように、そして動きも悪くなかったように、コンディションは良かったはずです。守備への参加やポジショニングも徐々に改善されつつあり、あとはゴールを決めるだけ。未完の大器で終わってほしくはありませんが…。

ディマリア …  3

シーズン中盤以降は前線から下がってくるプレーでボール保持とビルドアップに加わり攻撃を活性化。主にチャンスメイクで違いを見せつけていました。しかし、終盤に差し掛かるとそのプレーは見られなくなり、前線で激しいプレスに苦しむ場面が増えました。アッレグリの判断なのか、ディマリア自身の判断なのかは分かりませんが、シーズンを通して見れば尻すぼみ感は否めません。ただ、ミレッティとのダンスは最高に美しかったし、ナント戦のビューティフルゴールは目に焼き付いて離れないでしょう。アリアンツ・アレナでプレーしてくれてありがとう。

スーレ …  3

右サイドを主戦場とする左利きのスピードスター。確かなテクニックを備えており、スピード感溢れるカットインからシュートを狙うプレーはロッベンを彷彿とさせました。セリエA初ゴールも記録し、今後の成長が楽しみな選手です。

イリング …  3

同じく左利きのスピードスターですが、主戦場は左サイドでした。フィジカルでブチ抜くタイプのドリブラーで、若さ漲る今が旬と言えるでしょう。途中出場で流れを変えるジョーカー的な役割を見事にこなしていました。先発起用された試合ではゴールもマーク。スーレと並んで、楽しみなウイングの選手です。仮にキエーザが移籍しても、スーレとイリングが残ってくれれば面白いと思います。

COACH

アッレグリ …  3

シーズン途中の勝ち点剥奪という、誰も経験したことのない事態に直面し、非常に難しいマネジメントを強いられました。特に選手のメンタルを維持、もしくは立て直すことは至難の業だったでしょう。また、アニェッリという後ろ盾を失いながらの指揮はアッレグリ自身もメンタル的に厳しかったかもしれません。経営陣の不祥事によって引き起こされた勝ち点剥奪によるシーズンの結果に対する責任を全て押し付けられる立場にあったわけですから。
ただ、試合においてピッチで見られた現象に関しては、監督として打てる手は打っていたように思います。明確に失策だったのはナポリ戦のキエーザWB起用くらいでしょうか。問題視されるとしたら、ゴール欠乏症に陥った攻撃面に関する指導力でしょう。しかし、今季のユベントスは決定機の数自体は少なくはありません。例えば、敗退したセビージャ戦でも、前半だけでアッレグリの目論見通りカウンターから決定機を3回は創出しています。ここをどう評価すべきかは難しいところですが、個人的には、あとは選手に期待する他ないというところではないかと思います。敢えて言うなら、全員守備をベースとする戦略・戦術が外様の攻撃的な選手と合わないことに問題を抱えています。もしかしたら、この夏はキエーザ・ブラホビッチをとるか、アッレグリをとるかを迫られることになるかもしれません。どちらを選択するにしても、この先10年を見据えて、長期的なプランに基づいてクラブを運営してほしい。

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