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コッパイタリア準決勝1stレグ イタリアダービー(home) 〜白と黒と青

コッパイタリア準決勝のインテル戦は1-1のドロー。セカンドレグで勝った方が決勝進出という、シンプルで分かりやすい状況になりました。ただ、スタジアムはジュゼッペ・メアッツァであることは肝に銘じておかなければいけないでしょう。さて、興味深いのは、ユベントスとインテルの戦い方がとてもよく似ていたことです。今回は、ユベントスとインテルの相違点について考えてみたいと思います。

黒 〜共通点

さて、両者の直接対決はイタリアダービーと称されるだけあって、ユベントスとインテルはセリエAのクラブの中でもライバル同士。しかし、今季のスタイルは回り回って共通点が多くなってきている。ユベントスは白と黒を基調としたユニフォームを着用しており、ビアンコネロ(白と黒)とも呼ばれている。そして、インテルは青と黒を基調としたユニフォームを着用しており、ネラッズーロ(黒と青)とも呼ばれている。互いのユニフォームには、黒という共通点がある。多少の共通点があってもいいのかもしれない。

では、両者の共通点についてサッとあげてみよう。

①5-3-2をベースフォーメーションとしている。

②前線から下りてくるFW。(ディマリアとジェコ)

③ボール保持を狙いつつ、守備はロープレスを基本とすること。

これらの点についてはほぼミラーマッチだった。互いに前線からディマリアとジェコを動かしてボールを保持を強化。守備側は5-3-2ブロックの守備で対抗。トランジションで激しくやり合うことはほとんどなく、効果的なカウンターを打つシーンは試合開始当初のディマリアの右足シュートくらい。ボール保持vs 5-3-2守備ブロックが延々と続く試合展開となっていた。

白と青 〜縦と横の違い

ベースフォーメーション、基本的な戦い方は似ている両チームだが、当然、監督、コーチ、選手が異なるため、違うところは出てくる。大きく違っていたのは、縦か横かというところだ。

縦のユベントス

ユベントスは縦の意識が強い。ダイレクトにゴールに迫るという点もそうだが、攻守に渡って選手の移動が縦になっている。クアドラードとコスティッチは大外のラインを上下動するし、ダニーロとガッティもハーフスペースを攻め上がる。ラビオとファジョーリは中盤から積極的にペナルティエリアに飛び出す。縦に縦にポジションを移動して攻撃をしている。フリーで動き回るのはディマリアくらいで、中盤の3枚がポジションを入れ替える程度。イメージとしては、5バックとブラホビッチが奥行き、幅をとる外枠をガッチリ作って、中盤とディマリアがその中をバランスよく動いているような感じだ。これが今季、アッレグリが見出したボール保持のバランスなのだろう。

守備においてもディフェンスラインから前に人を出す守備を敢行している。中盤の守備はロカテッリは静的に動いてディフェンスラインの前をプロテクトするのに対し、ファジョーリとラビオは機動力を生かしてサイドまでボールをチェイスする。そのため、ロカテッリと左右CHの間が開くことになるが、そこにガッティとダニーロが前に出て人を捕まえに行く。また、タイミングを見てファジョーリとラビオがインテルの3バックまでプレスに出てハイプレスをかける時間帯もあった。守備でも選手を縦に動かして穴を埋めたり、インテルにプレッシャーをかけていた。ただし、この試合でインテルが作った最大のチャンスはコスティッチが中盤に上がった背後のスペースを使われたシーンだった。人を前に出す守備の裏を取られたら決定機につながる。高い位置でボールを奪いに行っている分、背負うべきリスクではあるが、うまく管理していきたいところではある。

横のインテル

インテルは攻守に渡って、選手の移動が横を強く意識していると感じた。

守備は5-3-2守備ブロックを自陣ペナルティエリア前に敷いて、組織をコンパクトにして堅く守る。特徴的なのは、5バックを維持すること。その分、中盤3枚は恐ろしい運動量とスピードで左右にスライドするタスクが与えられている。インテルの守備組織は、各ラインの枚数を変化させることなく、横へのスライドを素早く行うことによって守備の強度を維持するように設計されている。この守備のやり方だと、特に3センターハーフには大きな負担がかかる。左右に揺さぶられてスライドが間に合わなければ、3センターハーフの脇を取られてチャンスを作られてしまう。何度かユベントスに3センターの脇からシュートに持ち込まれていた。ただ、5バックから人を前に出してしまうとゴール前の強度が落ちてしまう。現段階では、インテルは5バックを維持してゴール前を固める方に重点を置いているのだろう。

攻撃においても横への選手の移動が特徴的だった。例えば、ディマルコが内側に入り、ダルミアンがサイドに張る。ジェコも左サイドに張り出してくることもあった。ベースフォーメーションのポジションから内と外のポジションを入れ替えるポジションチェンジを頻繁に行なっていた。そのことによって相手のマークを混乱させる狙いがあるのだろう。主にハーフスペースをとった選手がフリーになってチャンスを作っていたが、中を固めるユベントスをあと一歩崩し切ることはできなかった。ジェコが下がって受けたり、横を意識したポジションチェンジをしていることで、ゴール前でシュートを狙う選手が足りなくなっているように思う。

セカンドレグに向けて


互いの持ち味を出して渡り合った好ゲームだっただけに、試合終了間際に退場者を3人出す後味の悪いゲームとなってしまったのはとても残念だった。

ハンダノビッチに関してはカップ戦にもオナナを出せばいいだけで、少なくとも戦力的にはインテルにダメージはほぼないと言っていいだろう。クアドラードは攻撃的なウイングバックとしては唯一無二の存在で、デシーリオでは攻撃性能に大きな差がある。次戦、インテルはユベントスの右サイドをそこまで警戒する必要がなくなります。もし、アッレグリがキエーザをウイングバックで起用するなら、守備ではむしろ穴になるのはナポリ戦で証明済み。その期待値もおそらく大きなマイナスで、キエーザの起用が原因で負けることまで覚悟しなければならない。クアドラードの不在がセカンドレグで響く可能性は十分にある。ハンダノビッチを殴るとか、本当にいらないことをしてしまった。まあ、クアドラードらしいといえば、クアドラードらしいのたが…。ルカクの出場停止については、むしろ基準点型のフィジカル強者を抑え込むのはユベントスは得意な方で、動き回るジェコや機動力を武器とするコレアを相手にする方が難しくなるかもしれない。もしかしたら、ルカクがいないことがインテルにとってプラスになる可能性すらあると思う。

両チームともに4月は週2試合をこなす恐ろしくハードなスケジュールが待っている。ヨーロッパではポルトガルの攻チームと2連戦が控えており、ユベントス、インテル共に勝ち抜けを決めてもらいたい。怪我人も心配だが、両チーム揃ってヨーロッパの舞台で輝きを放ち、ジュゼッペ・メアッツァへ凱旋した上での再戦を期待したい。

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