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セリエA 第5節 サッスオロ vs ユベントス 〜ミドルシュートへの守備

サッスオロとのアウェイゲームは2-4で敗戦。サッスオロの数々の決定機逸に助けられてこのスコア。なかなか厳しい結果となりました。数々のパスミスやコンビネーションミスで自らカウンターを誘発してサッスオロにチャンスを与えてしまいました。4失点目はどうにもならないので置いておくとして、ミドルシュートをシュチェスニーに任せる守備の是非について考えてみたいと思います。

試合展開

ユベントスのスタメンは、4節と同じく、シュチェスニー、マッケニー、ガッティ、ブレーメル、ダニーロ、コスティッチ、ミレッティ、ロカテッリ、ラビオ、キエーザ、ブラホビッチ。5-3-2でかつポジションチェンジを多用しないポゼッションを狙うスタイルでした。ハイプレスを多用してボールを奪って素早くシュートに持ち込む失点までの展開はユベントスの想定通りでしょう。ブレ球のミドルをシュチェスニーが処理し切れなかったことは想定外だったはず。思わぬ形で先制を許したユベントスでしたが、キエーザのクロスがオウンゴールに繋がって同点に。しかし、ガッティの縦パスがラビオと合わずにカットされてショートカウンターから失点。ベラルディの技術の高さを見せつけられるシュートで1-2でハーフタイムを迎えました。後半は重心を前がかりに攻め込むものの敵陣で不用意なパスカットを連発してカウンターを喰らい続けました。キエーザのゴールで同点に追いつきますが、再びミドルシュートをシュチェスニーが弾き切れずこぼれ球を押し込まれてリードを許します。最後は、ガッティが無人のゴールにバックパスを蹴り込んで敗戦。

この試合のポイントはユベントスの多すぎるパスミスとミドルシュートへの守備だったと思います。ただ、ポゼッションを志向するのであれば、パスミスからカウンターを喰らうのはある意味容認すべきことで、スタッフも新たに相応の決意で始めた今季の取り組み自体を一回の敗戦で考え直す必要はないでしょう。実際、ラビオのミドルシュートやオフサイドだった可能性もありますがブラホビッチのGKとの1対1は作れているので、ポゼッションスタイルへの挑戦は継続していけばいいでしょう。となると、この試合の評価のポイントは、ユベントスのミドルシュートへの守備の是非です。

現状維持!

では、ユベントスの守備を見ていきましょう。ハイプレスも駆使しますが、基本は5-3-2の守備ブロックを敷いて守ります。今回のミドルシュートによる2失点はいずれもロリエンテに撃たれたものでした。1点目はスローインをブレーメルのクリアを拾われたもの。3点目は右サイドで3対3を作られ、ガッティが外されて撃たれたもの。1点目については、ガッティがもう少し寄せられていれば…とは思いますがシュチェスニーは防がなければいけなかったでしょう。2点目については、ロカテッリとブレーメルがあと少し右にスライドしておくべきだったでしょう。カバーの意識が薄かったように思います。右に後2、3歩スライドしていればロカテッリはシュートブロックできていた可能性は高いですし、そもそもロリエンテがシュートに行く前に寄せられたかもしれません。試合終盤とはいえ、カバーリングのポジションをとることをサボってはいけませんでした。ピッチは広く、選手一人一人がカバーできる範囲は限られています。どこを厚く守って、どこを捨てるか。守備においても選択は必要になってきます。ユベントスが構えて守る時には、ゴール前を固めることが第一。ミドルシュートに対するケアは優先順位は低くなっています。シュチェスニーというシュートストップに長けているGKを擁していることからミドルシュートは撃たせてもいいという選択は間違っていないと思います。ガッティ、ブレーメルといった屈強なCBを並べることでクロスを完璧に跳ね返すことに力点を置くのも間違っててはいません。だとしたら、カバーリングのポジションを絶えず取り続け、クロスを上げさせる守備を徹底すべきだったでしょう。そして、ミドルシュートを撃たせるなら、素早くプレスをかけるなり、コースを塞ぐなりしてフリーで撃たせないようにしなければいけません。3点目に関しては、その準備を怠ったところに「喝」だ!!というところですが、ミドルシュートを今以上にケアすべきだとも思いません。守備組織のチェーンを意識したポジショニングをするという基本的なことを、80分を過ぎた時間帯でも徹底すべきでしょう。

ただし、今後の試合でもミドルシュートから失点を重ねるようなら対策を講じる必要はあります。プレミアリーグなどでは遠目からのミドルシュートを積極的に狙って決めてくる選手も増えてきています。守備戦術が練られ、ゴール前を固めてくる相手に対して、守備ブロックの外からゴール撃ち抜くことが求められつつあります。その意味で、ロリエンテは今後注目すべき選手になってくるかもしれません。ミドルシュートを意識させれば、相手の守備を吊り出すことができ、ゴール前にスペースを作ることができます。遠目からのシュートは今後トレンドとなるかもしれません。その時、周りがプレッシャーをかけつつシュチェスニーに任せるという現在のユベントスの守り方で通用するのか。その点は見守る必要があるでしょう。

ダニーロが指摘した通り、連勝中の気の緩みがあったのかもしれません。改善するいい機会と捉えて、連戦となる火曜日に備えてもらいたいところです。

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