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フラム再生案

インターナショナルマッチウィークを明けてフラムが苦戦している。アストン・ヴィラに1-3、ウルブスに0-1と連敗を喫した。この2戦で勝ち点を稼げなかったことは残留を目指す上でとても厳しい結果と言える。しかし、まだあと6試合残されている。出来るだけ勝ち点を積み重ね、最終節のニューカッスル戦まで望みをつなげたい。そのためにどうすれば良いのか、考察してみよう。

ゲームモデルを取り戻せ!

マンチェスター・シティ戦くらいから、パーカー監督は相手に合わせてチームのプレースタイルを変更している。相手チームのキーマンとなる選手へのマンマークだったり、5バックへの再起だったりしている。その代わり、好調だった2月のプレーが失われているように感じる。4-4-2で守備陣形を整え、ミドルプレスで前進を食い止め、バックパスをトリガーにハイプレスへと移行する。3バックベースのボール保持も組み合わせて相手を自陣に押し込むプランだ。
特定の選手へのマンマークや守備陣形の変更は、4-4-2の守備を捨てることにつながる。アッレグリのユベントスやトゥヘルのチェルシーなど、戦術理解力が高い選手が揃っていて指導も徹底できるなら有効な対策となりうるが、フラムでは難しい。今シーズンの試合を見てきた限りでは、1試合限定で上記の戦術変更を行なってもゲームモデルを損なわずに十分対応できる選手を11人揃えられてはいない。相手の良さを消すことはできても、それ以上に自分たちの良さが消えてしまうことにつながりかねない。もしくは、そもそも戦術変更で意図した効果を得られない可能性の方が高い。
例えば、ウルブス戦は相手の3バックによるビルドアップに対して4-4-2で挑むのはプレスが空転すると考えて後ろに人数をかけた5-3-2を採用したのだと思う。しかし、相手に押し込まれ、自陣でプレーする時間が長くなってしまった。相手を引き込んでカウンターを撃つプランだったのかもしれないが、それなら人選が違う。ミトロビッチではなく、スピードのあるマッジャやルックマンをトップに起用した方が効果的だろう。
とにかく、下手な戦術変更は自分たちの良さを消してしまう。3バックに対して2トップでプレスに行くことになったとしても、「アンカーポジションの選手にレミナを上げる」程度の微調整で対応しつつ、2月のプレーモデルをできる限り維持する方向のゲームプランで臨んでほしい。トッテナム、ウェストハム、リバプールと互角に渡り合ったゲームモデルをもう一度取り戻すことが最善のプランだと思う。

マッジャの先発起用

セルビア代表でゴールを量産して好調を維持してチームに合流したミトロビッチ。インターナショナルマッチウィーク後は先発で起用されている。ヴィラ戦ではゴールも決めて結果も残しているが、彼の起用はフラムが目指すべきゲームモデルと合っていないと感じる。マッジャと比較すると、技術、フィジカルの強さでは上回っているが、動きの質の部分では互角だ。そして、スピードと動きの量ではマッジャに軍配が上がる。攻守にわたってアグレッシブにボールにアプローチするためには、ミトロビッチよりマッジャがより適任ではないだろうか。

デコードバ・リードのトップ起用

今季、フラムで一番点をとっている選手がデコードバ・リードだ。運動量もスピードもあり、CHやWBでとプレーできるほど戦術理解力も高い。彼をベンチに置いておくのはもったいない。2トップの一角で起用された試合では2CB+アンカーのビルドアップに対してポジショニングを微調整することで背後のアンカーを消しながらCBへプレスに出て行くタスクをほぼ完璧にこなしていた。動きの質、量、スピードを備えた、フラムが目指すべきプレーモデルにフィットした選手である。裏抜けを狙う頻度とタイミングが良くなれば得点の機会も増えるはずだ。

アダラビオヨへの信頼回復

マンチェスター・シティ戦、ヴィラ戦と立て続けに後方でのボール保持でミスをして失点につながってしまった。懲罰人事とは思わないが、ウルブス戦は先発からは外れていた。しかし、アダラビオヨの高さはフラムの守備には必要だし、足元の技術やボールを前進させるための眼は持っている。そもそもCBまで相手がプレスに来ているということは、相手のディフェンスラインも高い位置まで上がっているということ。(そうでなければ中盤がスカスカになっているはずで、アダラビオヨならばパスを繋げるはず。)だとしたら、プレスを受けたら裏にロングボールを蹴ってしまえばいい。無理してボールを繋ごうとして危険な位置でボールロストすることはない。仮に相手ボールになっても4-4-2で守備陣形を組み直し、守備を行えばいい。いい時のフラムであれば、的確に前進を阻んでロングボールを蹴らせて回収できていた。ハイプレスに対してロングボールを蹴るという対抗策をハッキリと準備しておきたい。
後方でのボール保持の際にハイプレスをかけられてボールロストにつながると、その選手のミスのように捉えられがちだ。もちろん、当該選手の技術的なミスや判断ミスが大きな要因の一つではある。しかし、ハイプレスに対する逃げ道を用意しておくことでそのミスは減らせる。結局は、チームのミスなのだ。アダラビオヨの高さ、強さ、足元の技術を活かすことでチームの総合力は高まる。チームとしてハイプレスに対して裏へのロングボールとその後の守備を用意しておくことでアダラビオヨを活かすことができる。

能動的でアグレッシブなスタイル

17位のニューカッスルとは勝ち点6差。しかも1試合フラムが少ない。最終節にニューカッスル戦が組まれているため、あと5試合で勝ち点差を2まで詰めることができれば逆転残留の目は出てくる。勝ち点を取らなければ降格する。相手チームへの対策を打って相手のいいところを消すばかりでは勝ち点は取れない。自分たちのいいところを押し出し、試合を支配して点を取りに行く。フラムがやるべきことはこれしかない。2月のプレースタイルを取り戻し、マッジャ、デコードバ・リード、アダラビオヨを先発起用してもらいたい。そうすると、ベンチにはミトロビッチ、ルックマンが控えている。同点やリードを許した場面で得点を取りに行くカードとして効果的に活用できるだろう。

パーカー監督はどう考えているのか?
明日のアーセナル戦に注目したい。

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