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セリエA 第31節 ユベントス vs ナポリ 〜4バックへの回帰

ナポリとの一戦は0-1で敗戦。ディマリアのゴールがVARの介入によって取り消されたこともあってスッキリしない試合ではありました。ミリクは右足でボールを守るプレーをしていたのでむしろロボツカのファウルでもよかったのでは?と思いますが、審判の判定は違っていました。ダニーロが試合開始早々指摘していた通り、この試合の主審は基準がブレブレでした。後ろからのチャージに対してファウルをとったりとらなかったり…。しかし、だからと言ってクアドラードがナポリではなく審判と勝負して守備に戻ってこなかったことがOKとなるわけではありません。結局クアドラードのそのプレーがラスパドーリのゴールにつながっており、残念ながら負けは必然というしかないでしょう。クアドラードが守備に戻っていればクリアできたはずですから。ただ、試合自体はポジティブなもので、次のイタリアダービーやEL準決勝に向けて期待が持てる内容だったのではないかと思います。ナポリ戦を振り返っておきましょう。

4バックへの回帰

ユベントスのスタメンは、シュチェスニー、クアドラード、ガッティ、ルガーニ、ダニーロ、スーレ、ロカテッリ、ラビオ、コスティッチ、ミレッティ、ミリク。ポイントは守備時のコスティッチのポジショニングだ。ディフェンスラインではなく、ラビオの隣に位置しており、守備のベースは4-4-2と言っていいだろう。スポルティング戦から4バックを意図的に採用している。中盤から前にかけて人を増やせるため、ハイプレス、ミドルプレスに適している。ボールを奪う位置を高くしてショートカウンターからチャンスを作る、もしくは敵陣に押し込んで試合を進めるという狙いがあるのだろう。4-4-2で構えてボールに対してチャレンジ&カバーを徹底してボールの前進を阻みつつ、バックパスを出させて押し返す場面が多々あった。4バックを使って前に重心をかけた戦い方を選んだ効果が出ていたように思う。そこにロカテッリという戦術理解の鬼がいることで、ローブロックでもロカテッリがディフェンスラインに下りて5バックへ可変することもできる。押し込まれた時に失点を避けるためのメカニズムも完備されている。

対ナポリの微調整

そして、ナポリ戦ではアンカーのロボツカ番をミレッティに任せ、スーレを中盤右サイドに置いてきた。ロボツカが小気味よくボールを動かして攻撃のタクトを振るうとナポリの攻撃は活性化される。ロボツカを自由にさせないことがナポリ対策としては重要になる。ただ、ロボツカはマンマークにつかれてもそれを利用して味方をフリーにするプレーも仕掛けてくる。それに対しては4-4ブロックは動かさず、ミリクがボールを持ったCBのドリブルを阻害することで簡単には守備ブロックに穴が開かないようにしていた。さらにクバラツヘリアにはクアドラードがマークにつくが、スーレも素早くダブルチームに行って得意のドリブルを封じ込める。

特に前半は4-4-2をベースにした守備でナポリの前進を阻みながらカウンターからチャンスを作ることに成功。ロカテッリを起点としたパスワークから攻め込むシーンもあって、攻守において試合をコントロールできていた。ダニーロやミリクのパスミスからピンチは招いたものの、アッレグリが狙った通りの試合展開にはなっていただろう。

ボール支配率はナポリが圧倒していたらしいが、それはユベントスの守備の前に前進できず、横パス・バックパスが多く、結果としてナポリがボールを保持する時間が長かったからだ。ユベントスは縦に速い攻撃を仕掛けており、シュートなり、クロスなり攻撃の最終局面まで持っていくまで時間と手数をかけなかった。ペナルティエリアへの侵入回数は多く、効果的な攻撃を仕掛けられていたと言える。支配率だけでは試合を評価することはできない。

交代策の是非

そして後半16分にミレッティ、スーレに替えてディマリアとキエーザを投入。攻撃的な選手を入れて得点を狙いに行ったが、この交代がナポリにとってはプラスになってしまった可能性がある。ディマリアとキエーザに守備の貢献を求めるのは酷だ。両者とも攻撃に特化した選手であり、守備戦術の理解には少々難がある。(特にキエーザ。)その守備を補って余りある攻撃力が最大の武器なのだが、キエーザはコンディションは万全ではない。ミレッティがうまくマークについていたロボツカが解放されるため、ナポリからしたらむしろ幸運だったかもしれない。実際、60分過ぎの交替以降、ナポリが押し込んでプレーする時間が増えた。ロボツカを経由してボールを動かすことができるようになったため、CBがフリーになり、ロボツカ自身もターンして前を向くシーンが増え、ボールを前進させられるようになったからだ。そして、2人が得点に迫ったプレーもVARとゴールラインが助けてくれた。結局、この交代策は裏目に出てしまったように思う。

キエーザは一点獲っても、守備のお粗末さで一点とられて±0の選手のような気がする。CR7のような攻撃全振りでもお釣りが来るような選手ではない。ユベントスの選手なら、守備にも貢献して自らの得点で勝ち切ることができるようにしていってほしい。

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